中国工場の実状を知る、日本人駐在員について 中国工場の品質改善(その21)

更新日

投稿日

 

生産マネジメント

【第2章 中国工場の実状を知る】

【設備ノウハウの落し込み】

 前回のその20に続いて解説します。

(5)勝手にやり方を変える中国人

 日系中国工場では、機械のオペレーションや工法などを必死に中国人に教えます。最初は中国人も素直に聞きますし、教えに従ってやります。ところが、ちょっと覚えて、機械操作や工法に慣れてくると、「自分はすべて理解した」と勘違いをします。勘違いで終わればよいのですが、自分のすごさを見せようとやり方を変えてしまうことがあります。

 これは大きな問題で、やり方を変えて無事に済むことはまずありません。大抵の場合、不良品が発生してトラブルとなります。これは当然のことです。やり方を変えたことによる影響など何も検証していないのですから。中国人は、自信家なところがあるので、このようなことが起きます。

 筆者もある部品で勝手に加工方法を変えられて不良になったという経験があります。しかも自社工場で経験しました。

 筆者の以前勤めていた会社は、部品を生産する子会社を持っていました。その子会社も中国で生産をしていました。会社の事情でその子会社の部品生産を親会社の中国工場で取り込むことになったのです。親会社は、その部品を作ったことがないので、子会社の中国工場から指導してもらう必要があります。指導された通りのやり方を習得し何とか生産を開始する段階にまで漕ぎ着けました。

 生産を開始して3ヵ月くらい経ったときに、組立工場からこの部品に不良が発生していると連絡がありました。慌ててその部品の生産現場に駆け付けました。不良内容を確認し生産工程の状況をチェックしていくと、一つの加工工程で子会社の加工方法と違うやり方をやっているのに気が付きました。調査の結果、今回の不良は加工方法を変えたことによって発生したことがわかりました。生産の責任者に「どうして加工方法を変えたのか?」と聞くと、「このやり方の方が生産性が高いから」との答えが返ってきました。「加工方法を変えて問題ないことは確認したのか」と聞くと「やっていない」とのことでした。

 通常では考えられないことです。一つ考えられるのは、親会社としての面子です。子会社に指導を受けるということに対して面子が立だない部分があったのかもしれません。親会社として「子会社とは違うんだ。我々が...

 

生産マネジメント

【第2章 中国工場の実状を知る】

【設備ノウハウの落し込み】

 前回のその20に続いて解説します。

(5)勝手にやり方を変える中国人

 日系中国工場では、機械のオペレーションや工法などを必死に中国人に教えます。最初は中国人も素直に聞きますし、教えに従ってやります。ところが、ちょっと覚えて、機械操作や工法に慣れてくると、「自分はすべて理解した」と勘違いをします。勘違いで終わればよいのですが、自分のすごさを見せようとやり方を変えてしまうことがあります。

 これは大きな問題で、やり方を変えて無事に済むことはまずありません。大抵の場合、不良品が発生してトラブルとなります。これは当然のことです。やり方を変えたことによる影響など何も検証していないのですから。中国人は、自信家なところがあるので、このようなことが起きます。

 筆者もある部品で勝手に加工方法を変えられて不良になったという経験があります。しかも自社工場で経験しました。

 筆者の以前勤めていた会社は、部品を生産する子会社を持っていました。その子会社も中国で生産をしていました。会社の事情でその子会社の部品生産を親会社の中国工場で取り込むことになったのです。親会社は、その部品を作ったことがないので、子会社の中国工場から指導してもらう必要があります。指導された通りのやり方を習得し何とか生産を開始する段階にまで漕ぎ着けました。

 生産を開始して3ヵ月くらい経ったときに、組立工場からこの部品に不良が発生していると連絡がありました。慌ててその部品の生産現場に駆け付けました。不良内容を確認し生産工程の状況をチェックしていくと、一つの加工工程で子会社の加工方法と違うやり方をやっているのに気が付きました。調査の結果、今回の不良は加工方法を変えたことによって発生したことがわかりました。生産の責任者に「どうして加工方法を変えたのか?」と聞くと、「このやり方の方が生産性が高いから」との答えが返ってきました。「加工方法を変えて問題ないことは確認したのか」と聞くと「やっていない」とのことでした。

 通常では考えられないことです。一つ考えられるのは、親会社としての面子です。子会社に指導を受けるということに対して面子が立だない部分があったのかもしれません。親会社として「子会社とは違うんだ。我々がやればこんな改善ができるんだ」というところを見せたかったのではないでしょうか。筆者の工場でも変更管理の決まりはあり、勝手には変えられないことになっています。しかし、この件に関しては、その決まりが活用されませんでした。会社としては不良が出たことよりも、こちらの方が大きな問題でした。

 次回は、ノウハウ・技術は細分化して落とし込む、から解説を続けます。

【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行 筆者のご承諾により、抜粋を連載

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
SQHKライン戦略とは(4) 【快年童子の豆鉄砲】(その78)

       2.SQHKラインとは 前回の5)SQHK化後に大幅な省力と環境改善が出来た理由の説明に続け...

       2.SQHKラインとは 前回の5)SQHK化後に大幅な省力と環境改善が出来た理由の説明に続け...


作業標準書について(その1)

【目次】 1.作業標準書について 2.作業標準書の項目の記述内容 3.作業標準書の有効な使い方   1.作業標準書(Job i...

【目次】 1.作業標準書について 2.作業標準書の項目の記述内容 3.作業標準書の有効な使い方   1.作業標準書(Job i...


請負会社の管理ポイント、コスト高の原因は発注会社にあり!

 コスト削減の一環として、請負を活用する工場が多くなっています (ここでの請負とは、自社工場内における他社や子会社への作業移管を指します)。  活用方法...

 コスト削減の一環として、請負を活用する工場が多くなっています (ここでの請負とは、自社工場内における他社や子会社への作業移管を指します)。  活用方法...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
現場主義の一例 技術者の対応

 現場主義に関するお話、今回は技術者(技術・品質等)の対応の事例を紹介します。  現場で技術的な問題や品質問題が発見され、技術者(技術、品質)に連絡が入...

 現場主義に関するお話、今回は技術者(技術・品質等)の対応の事例を紹介します。  現場で技術的な問題や品質問題が発見され、技術者(技術、品質)に連絡が入...


4M管理を知らなかった中国企業 中国企業の壁(その34)

        プレス加工でワークの位置決め方法を変更したにも関わらず、問題点の有無を検証していなかった事例を前回紹介しました。なぜ変更後による問題...

        プレス加工でワークの位置決め方法を変更したにも関わらず、問題点の有無を検証していなかった事例を前回紹介しました。なぜ変更後による問題...


プレス金型設計におけるサーフェースモデリング教育 伸びる金型メーカーの秘訣 (その41)

 今回紹介する金型メーカーは、U精機株式会社です。筆者は毎年、同社で採用される新卒社員の技術教育を担当させていただいており、今回は同社の若手社員2名に...

 今回紹介する金型メーカーは、U精機株式会社です。筆者は毎年、同社で採用される新卒社員の技術教育を担当させていただいており、今回は同社の若手社員2名に...