【実践編 第4章目次】
第4章 標準作業で作業のムダを取る
1. 標準作業で作業のスタンダードを設定する
2. 動作分析で作業のムダを取る
3. 自働化と人離しで作業者の負担を減らす
4. 生産を守る保全・安全の取り組みを進める←今回の記事
5. 「目で見る管理」で現状をオモテ化する
【この連載の前回:流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その74)へのリンク】
◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!
4. 生産を守る保全・安全の取り組みを進める
故障が発生しない機械設備、安全な現場を「標準作業」と「目で見る管理」で実現する。
(1)保全は流れ生産の条件
【よく機械が故障する現場】
製造メーカーにとって、安全はすべてに優先する課題であり、製造メーカーにおける保全とは、機械設備の保守、点検、故障の防止です。これは「標準作業」の改革項目であると同時に「目で見る管理」への取り組みでもあります。
「よく機械が故障する」という生産現場があります。工場のなかを歩いていると、機械の音にリズムがなく、ぶつ切れだったり、音が重なり合って不協和音のように聞こえたりするものです。また、よく観察すると、あちこちに次のような現象が散見されます。
- 機械から油が漏れて床にたまっている。
- 機械や床に切粉がたくさんたまっている。
- 機械の汚れがひどく、指でさわれない。
- ダクトが詰まって粉塵が飛び散っている。
- レベル計やレベル表示が汚れていて見えない。
- 給油口の周囲が汚れている。
- タンク内の油ににごりがある。
- 油やエアーが漏れている。
- ボルトやナットが緩んでいたり、取れていたりする。
- 機械が異常な音を出している。
- 機械におかしな振動がある。
- 光電センサーやリミット、スイッチに粉塵がこびり付いている。
- モーターが発熱している。
- 配線からショートの火花が見える。
- Vベルトに緩みがある。
- Vベルトが切れて、残りの本数で動いている。
- 壊れた計器類がそのままになっている。
- 機械のすき間に、ボール紙などでつめものをしている。
このような生産現場で、理想的な生産などできるわけがありません。
規模の大小にかかわらず、モノをつくるときには、機械設備は確実に、不良を出さずに動かなければなりません。つまり、可動率が重要なのであり、そのためには、故障ゼロであることが必要です。
【故障ゼロは流れ生産の必須条件】
ジャスト・イン・タイムでは、モノがサラサラと流れる流れ生産を目指しています。それは、あたかも人の身体のなかを流れる血液のようなもので、大物部品 (本組みのライン)は動脈で、小物部品(小さな部品をつくる工程)は毛細血智のようです。
しかし、流れ生産では、たとえ小さな部品でも、生産が間に合わなかったり、供給が止まったりすれ...
次回に続きます。
【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)