コアコンピタンスとは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その94)

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プログラムマネジメント

 

【この連載、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その93)へのリンク】

戦略について学習すると、早い段階で「コアコンピタンス」というキーワードを目にします。今回はコアコンピタンスについて解説します。

 

1.コアコンピタンスとは

コアコンピタンスとは、他社を圧倒する能力を示します。1990年、ゲイリー・ハメルとプラハラードが寄稿した「The Core Competence of the Corporation」の中で初めて登場したと言われます。他社を圧倒する能力とは、例えば他社と比べて圧倒的に優れた保有技術です。コアコンピタンスは技術に限りませんが、広く知られる例にはホンダのエンジン技術やソニーの小型化技術があります。コアコンピタンスには3つの要件があり、次にソニーの小型化技術を例に示します。

 

要件①顧客に何らかの利益をもたらす自社能力

 ウォークマン:他社のカセットデッキに対して、屋内外に持ち運びできる

 

要件②競合相手に真似されにくい自社能力

 ウォークマン:他社のカセットデッキに対して、カバンやポケットに入るほど小型・軽量である

 

要件③複数の商品・市場に推進できる自社能力

 ウォークマンからポータブルCD、ポータブルTVへと展開できる

 

2.コアコンピタンスの5つの評価軸

保有技術からコアコンピタンス、つまりコア技術を選定するために、以上3つの要件を満たすことが条件となります。実際にコアコンピタンスを選定する時には、5つの評価軸を使います。

 

  • ①模倣可能性(Imitability)  ・・・・・真似しやすい技術か否か
  • ②移動可能性(Transferability)  ・・・他の商品、事業に展開できる技術か否か
  • ③代替可能性(Substitutability)・・・代わりとなりうる技術があるか否か
  • ④希少性(Scarcity)・・・・・・・・・技術や特性が希少か否か
  • ⑤耐久性(Durability)・・・・・・・・長期間、競争優位な技術か否か

 

コアコンピタンスは模倣可能性、代替可能性が低く、移動可能性、希少性と耐久性が高い技術がベストです。しかしながら、全てが満足する技術がない場合もあります。

 

この場合の1つの方針として、移動可能性と耐久性が高い技術を抽出し、研究開発テーマを設定する。テーマを継続し、模倣可能性と代替可能性が低く、希少性が高い技術へと育成することで、将来的に5つの評価軸全てを満足させる方法です。

 

3.コアコンピタンスの評価手順

最後に自社のコアコンピタンス(コア技術)を定義するための手順を解説します。

 

  • ①コアコンピタンスの仮説・・・・・QFD展開などを活用し、保有技術の中から、コアコンピタンスとなりそうな技術を抽出する。
  • ②ベンチマーキングによる検証・・・他社技術と自社技術を同条件で評価し、優位性を確認する。
  • ③5つの評価軸による評価...

プログラムマネジメント

 

【この連載、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その93)へのリンク】

戦略について学習すると、早い段階で「コアコンピタンス」というキーワードを目にします。今回はコアコンピタンスについて解説します。

 

1.コアコンピタンスとは

コアコンピタンスとは、他社を圧倒する能力を示します。1990年、ゲイリー・ハメルとプラハラードが寄稿した「The Core Competence of the Corporation」の中で初めて登場したと言われます。他社を圧倒する能力とは、例えば他社と比べて圧倒的に優れた保有技術です。コアコンピタンスは技術に限りませんが、広く知られる例にはホンダのエンジン技術やソニーの小型化技術があります。コアコンピタンスには3つの要件があり、次にソニーの小型化技術を例に示します。

 

要件①顧客に何らかの利益をもたらす自社能力

 ウォークマン:他社のカセットデッキに対して、屋内外に持ち運びできる

 

要件②競合相手に真似されにくい自社能力

 ウォークマン:他社のカセットデッキに対して、カバンやポケットに入るほど小型・軽量である

 

要件③複数の商品・市場に推進できる自社能力

 ウォークマンからポータブルCD、ポータブルTVへと展開できる

 

2.コアコンピタンスの5つの評価軸

保有技術からコアコンピタンス、つまりコア技術を選定するために、以上3つの要件を満たすことが条件となります。実際にコアコンピタンスを選定する時には、5つの評価軸を使います。

 

  • ①模倣可能性(Imitability)  ・・・・・真似しやすい技術か否か
  • ②移動可能性(Transferability)  ・・・他の商品、事業に展開できる技術か否か
  • ③代替可能性(Substitutability)・・・代わりとなりうる技術があるか否か
  • ④希少性(Scarcity)・・・・・・・・・技術や特性が希少か否か
  • ⑤耐久性(Durability)・・・・・・・・長期間、競争優位な技術か否か

 

コアコンピタンスは模倣可能性、代替可能性が低く、移動可能性、希少性と耐久性が高い技術がベストです。しかしながら、全てが満足する技術がない場合もあります。

 

この場合の1つの方針として、移動可能性と耐久性が高い技術を抽出し、研究開発テーマを設定する。テーマを継続し、模倣可能性と代替可能性が低く、希少性が高い技術へと育成することで、将来的に5つの評価軸全てを満足させる方法です。

 

3.コアコンピタンスの評価手順

最後に自社のコアコンピタンス(コア技術)を定義するための手順を解説します。

 

  • ①コアコンピタンスの仮説・・・・・QFD展開などを活用し、保有技術の中から、コアコンピタンスとなりそうな技術を抽出する。
  • ②ベンチマーキングによる検証・・・他社技術と自社技術を同条件で評価し、優位性を確認する。
  • ③5つの評価軸による評価・・・・ ・優位性ありとした技術について、先に示した5つの評価軸を使い、コアコンピタンスを選定する。

 

コアコンピタンス評価は長期間かけて選定するのではなく、R&D部門内において2~3ヶ月程度で行うことを推奨します。これは技術革新が急速に進む現代の技術開発には、必要不可欠です。なぜなら顕在する他社以外にもベンチャー、外資企業といった潜在する競合に打ち勝つために、コア技術を早く選定し、圧倒的なレベルに育成することが重要だからです。

 

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この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

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