◆ 新規事業のターゲット設定、かたよりは禁物
新規事業を目的としたターゲットを設定する時、どのような方法を採用していますか。ここではターゲットを「業界」「メイン顧客」として捉えますが、いずれを決定する場合でも苦労が絶えません。先を読むことが難しい現代において、完璧な予測は不可能です。
さらに大量生産時代にように、商品を作れば売れるという保証もありません。このような背景から、経営陣も現場も新規事業のターゲット設定は慎重にならざるを得ず、結果としてターゲット決定までのプロセスが長期化します。
ではスピード勝負で決めればよいのかといえば、それも違います。今回は「ターゲットを決める時は、あえて多様な意見を出しあい、議論することで、納得性を高める」を解説します。
1. ターゲットを設定するために、何が必要か
ターゲットを設定するために、何が必要か、それはステークホルダー全員が納得することです。
経営陣、現場が十分に議論し、納得できるターゲットを定義することができれば、その後の目標設定や開発は格段に進めやすくなります。では、納得できるターゲットを定義するには、どうすればよいのでしょうか。
それは、『あえて多様な意見を出しあうこと』です。
【ターゲット設定の際のチェックポイント】
(1)声が大きい人物の意見を鵜呑みしていないか?
声が大きい人物とは、事業部長、R&D長などの意思決定の権限を有する人が望むターゲットを設定しがちではないかチェックします。影響力が高い組織、人物の意見であれば即OKと鵜呑みにせず「本当にこのターゲットがよいのか」議論の対象とすることが重要です。
しかしながら組織経営である以上、どんな企業でもこの傾向はあるものです。これを回避するために、社外の第三者にファシリテートや討議への参加を依頼するなどもよいでしょう。
(2)若手の意見を無視していないか?
新入社員や若手社員の意見を聴かない、無視する傾向が強くないかチェックします。
ベテラン社員と比較して若手社員の強みは、トレンドに対するアンテナを有していることや常識にとらわれない発想力です。「どうせ、この市場は無理」「この辺りがターゲットだろう」といった先入観が少ない若手の意見も議論の対象とすることが、既定路線にとらわれないターゲット決定では有効です。
(3)決定プロセスで「なぜなぜ」をしているか?
議論を重ね、ターゲットを絞る段階で「なんなく良さそう」「儲かりそう」で決...