スタートアップ知財支援とは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その67)

更新日

投稿日

知財

1. 特許庁主催の知財活動表彰ニュース

 2020年3月19日、特許庁のスタートアップの支援やイベントの開催を行う知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」で優れたスタートアップや支援を行う専門家、エコシステムのプレイヤーに対する表彰のニュースを目にしました。2019年は「IP BASE AWARD」の記念すべき第1回だったそうです。

 テクノロジー起業の支援は、各種団体や企業におけるアクセラレータープログラム等で何年も前から目にしていましたが、なるほど「知財」に関する支援はほとんど目にしたことがありませんでした。

 ビジネスモデル第一、技術は二の次ということなのでしょうか。

 私個人はビジネスと技術は共創(どちらも必須であり両立)と考えていますが社会全体の傾向、経営側からの目線では、まずは資金集めからという図式なのでしょう。特に資金繰りに奮闘しているスタートアップや小規模事業者にとって、早期かつ低価格の知財権利の獲得は必要不可欠であり、今後の支援に期待しているでしょう。次に「IP BASE」の活動内容から考えたことを記します。

2. 時間の流れが変化している

 スタートアップに対する知財活動の支援内容の中に「ベンチャー企業対応!面接活用早期審査・スーパー早期審査」という項目がありました。

 ”一次審査結果の通知前に担当審査官と面接を行うことができます。早期審査のスピードで対応(一次審査まで約2.3ヵ月、最終処分まで約5.3ヵ月)します。”

 ”約2.5ヵ月で権利化が可能です”(2020年03月20日時点 IP BASE より引用)。

 驚きの速さです。みなさんもご存知のように、知財権利の獲得には非常に長い期間がかかります。スタートアップを支援する目的とはいえ、こんなに早く対応することに驚きました。

 ここで感じたことはスタートアップであろうが、大企業であろうが、ビジネス(技術を含める)の土俵は同じであるということです。仮に同じ技術同じタイミングで知財としようとした場合、スタートアップの方が実現できることにならないでしょうか。現実的な有無をここで議論することはいたしませんが、注目するべきは「時間の流れ」です。

 日本だけではなく、世界中でこれだけ多くのベンチャーが立ち上がっている中、今までと同じ時間の流れで技術開発・知財...

知財

1. 特許庁主催の知財活動表彰ニュース

 2020年3月19日、特許庁のスタートアップの支援やイベントの開催を行う知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」で優れたスタートアップや支援を行う専門家、エコシステムのプレイヤーに対する表彰のニュースを目にしました。2019年は「IP BASE AWARD」の記念すべき第1回だったそうです。

 テクノロジー起業の支援は、各種団体や企業におけるアクセラレータープログラム等で何年も前から目にしていましたが、なるほど「知財」に関する支援はほとんど目にしたことがありませんでした。

 ビジネスモデル第一、技術は二の次ということなのでしょうか。

 私個人はビジネスと技術は共創(どちらも必須であり両立)と考えていますが社会全体の傾向、経営側からの目線では、まずは資金集めからという図式なのでしょう。特に資金繰りに奮闘しているスタートアップや小規模事業者にとって、早期かつ低価格の知財権利の獲得は必要不可欠であり、今後の支援に期待しているでしょう。次に「IP BASE」の活動内容から考えたことを記します。

2. 時間の流れが変化している

 スタートアップに対する知財活動の支援内容の中に「ベンチャー企業対応!面接活用早期審査・スーパー早期審査」という項目がありました。

 ”一次審査結果の通知前に担当審査官と面接を行うことができます。早期審査のスピードで対応(一次審査まで約2.3ヵ月、最終処分まで約5.3ヵ月)します。”

 ”約2.5ヵ月で権利化が可能です”(2020年03月20日時点 IP BASE より引用)。

 驚きの速さです。みなさんもご存知のように、知財権利の獲得には非常に長い期間がかかります。スタートアップを支援する目的とはいえ、こんなに早く対応することに驚きました。

 ここで感じたことはスタートアップであろうが、大企業であろうが、ビジネス(技術を含める)の土俵は同じであるということです。仮に同じ技術同じタイミングで知財としようとした場合、スタートアップの方が実現できることにならないでしょうか。現実的な有無をここで議論することはいたしませんが、注目するべきは「時間の流れ」です。

 日本だけではなく、世界中でこれだけ多くのベンチャーが立ち上がっている中、今までと同じ時間の流れで技術開発・知財活動を行っていては、権利を獲得できないということもあり得るということです。

 数多くのシーンで「製品ライフサイクルが短くなっている」と話題に登りますが、技術開発も知財獲得活動も同様、さらなる短期化に挑戦していくことが必要ではないか、と私自身改めて感じるきっかけとなりました。

 みなさんの業界・技術分野では、どんな時間の流れとなっていますか?5年、10年前と比較してみると業務改革の可能性が出てくるかもしれません。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
腹落ちする戦略への近道とは 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その58)

◆ ありたい姿は自分ごとにする 1. 腹落ちしない戦略  事業戦略や技術戦略のコンサルティングを行う中で次のようなケースに出会います。  時間を...

◆ ありたい姿は自分ごとにする 1. 腹落ちしない戦略  事業戦略や技術戦略のコンサルティングを行う中で次のようなケースに出会います。  時間を...


普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その170) 動物を深く知る

【目次】   【この連載の前回:普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その169)へのリンク】 これまでアナロジーと体感につい...

【目次】   【この連載の前回:普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その169)へのリンク】 これまでアナロジーと体感につい...


外発的動機付けから内発的動機付けを誘引するには 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その80)

 前回はエドワード・デシの四段階理論で、外発的動機付けから内発的動機付けを誘引する4つの段階を解説しました。今回も引き続き、本トピックについて解説しま...

 前回はエドワード・デシの四段階理論で、外発的動機付けから内発的動機付けを誘引する4つの段階を解説しました。今回も引き続き、本トピックについて解説しま...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
新事業開発のステップを事例で考える

 中小ものづくり企業が自前のヒット商品を開発し、販売まで行うのは容易なことではありません。しかし、だからと言って下請け仕事を続けていて、利益を上げることは...

 中小ものづくり企業が自前のヒット商品を開発し、販売まで行うのは容易なことではありません。しかし、だからと言って下請け仕事を続けていて、利益を上げることは...


R&Dの価値創造力を高めるシンプルツール、iMapとは、

 技術経営とは、「企業の経営資源である技術を経営戦略の中核に位置づけ、顧客価値の創造へ向けて、その獲得・強化・活用を戦略的に行うことにより、継続的な企業の...

 技術経営とは、「企業の経営資源である技術を経営戦略の中核に位置づけ、顧客価値の創造へ向けて、その獲得・強化・活用を戦略的に行うことにより、継続的な企業の...


進捗の可視化は必要最小限にするのがポイント(その1)

  1. メトリクスによる進捗管理サイクル    進捗管理とは、作成した計画にもとづいて現在の状況を把握することと、計画と実績に...

  1. メトリクスによる進捗管理サイクル    進捗管理とは、作成した計画にもとづいて現在の状況を把握することと、計画と実績に...