ベンチャーのように考える 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その69)

更新日

投稿日

技術マネジメント

◆ 社内ベンチャーを目指す

1、Withコロナ時代に求められるR&D

 2020年6月現在、新型コロナウィルスにより世界中の経済が影響を受けています。事業によっては売上げの大幅増となった嬉しい企業もありますが、全体としては売上減となった企業が多く、またこれから1年、2年先までも影響がありそうです。

 このような先の予測が立てられない不安定な未来を前に、企業の研究開発活動はどのような道をたどるでしょうか。

 事業の特性、企業の規模などそれぞれに判断ポイントは変わるはずですが、今まで以上に「事業につなげる」ことが要求されるであろうことは容易に予測できます。

 「事業につなげる」は今までも当たり前のオーダーであったかもしれません。しかし要求されるレベルが次のように変わるでしょう。

  • 「100% 必ず事業につなげる」
  • 「研究開発技術は全て既存事業に搭載すること」
  • 「新規事業を狙った研究開発テーマを凍結する」

 「皆様の会社は大丈夫」でしょうか。もし仮に要求されるレベルがそうであったとしても、新規事業関連テーマが凍結されたらどうすればいいのか、この機会に一度立ち止まって考えてみましょう。

2、ベンチャーのように考える

 もし今、取り組んでいる研究開発テーマが凍結されたら、どんなことが起こるでしょうか?

 既存事業の商品に搭載される予定の別の研究開発テーマに取り組むことになるでしょうか。念のためですが、何も不安を煽るつもりはありません。

 新規事業を創出することを目的とし、熱意を持って行なっていた研究開発テーマの継続が危ぶまれるのであれば、まずは視点を上げてください。

 視点を上げるとは、自身が対象技術を有しているベンチャーだと仮定することです。ベンチャー創業者であれば、きっと対象技術をどうにか生かし、別の事業に展開できないかを懸命に模索するはずです。

 つまり「研究開発テーマを一事業、一商品だけに搭載すればいいとは考えない」。研究開発テーマを狙っている事業以外の既存事業や別事業へと生かせないかと常に考えておくということです。シンプルに言えば、逃げ道をいくつも用意しておくのです。

 ...

技術マネジメント

◆ 社内ベンチャーを目指す

1、Withコロナ時代に求められるR&D

 2020年6月現在、新型コロナウィルスにより世界中の経済が影響を受けています。事業によっては売上げの大幅増となった嬉しい企業もありますが、全体としては売上減となった企業が多く、またこれから1年、2年先までも影響がありそうです。

 このような先の予測が立てられない不安定な未来を前に、企業の研究開発活動はどのような道をたどるでしょうか。

 事業の特性、企業の規模などそれぞれに判断ポイントは変わるはずですが、今まで以上に「事業につなげる」ことが要求されるであろうことは容易に予測できます。

 「事業につなげる」は今までも当たり前のオーダーであったかもしれません。しかし要求されるレベルが次のように変わるでしょう。

  • 「100% 必ず事業につなげる」
  • 「研究開発技術は全て既存事業に搭載すること」
  • 「新規事業を狙った研究開発テーマを凍結する」

 「皆様の会社は大丈夫」でしょうか。もし仮に要求されるレベルがそうであったとしても、新規事業関連テーマが凍結されたらどうすればいいのか、この機会に一度立ち止まって考えてみましょう。

2、ベンチャーのように考える

 もし今、取り組んでいる研究開発テーマが凍結されたら、どんなことが起こるでしょうか?

 既存事業の商品に搭載される予定の別の研究開発テーマに取り組むことになるでしょうか。念のためですが、何も不安を煽るつもりはありません。

 新規事業を創出することを目的とし、熱意を持って行なっていた研究開発テーマの継続が危ぶまれるのであれば、まずは視点を上げてください。

 視点を上げるとは、自身が対象技術を有しているベンチャーだと仮定することです。ベンチャー創業者であれば、きっと対象技術をどうにか生かし、別の事業に展開できないかを懸命に模索するはずです。

 つまり「研究開発テーマを一事業、一商品だけに搭載すればいいとは考えない」。研究開発テーマを狙っている事業以外の既存事業や別事業へと生かせないかと常に考えておくということです。シンプルに言えば、逃げ道をいくつも用意しておくのです。

 一つダメでも別の方法、つまり技術の展開先へとターゲットを変えればいいということです。

 このように、ゆくゆくは研究開発テーマを主軸に社内ベンチャーやカーブアウト[1]するといった視点を一つ上げる思考を訓練することで、研究開発テーマはもちろん、あなた自身の将来のキャリアも安心して歩めるはずです。まさに「備えあれば憂いなし」というわけです。

[1]カーブアウトとは、企業が事業の一部を外部へベンチャー企業として独立させる手法。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
Gainは見えにくい 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その87)

   今回も引き続き、エドワード・デシが内発的動機付けに必要と主張している2つの要素である「自律性」と「有能感」の内、後者の実現手段として...

   今回も引き続き、エドワード・デシが内発的動機付けに必要と主張している2つの要素である「自律性」と「有能感」の内、後者の実現手段として...


ロボットとの共存とは

 今回はロボットと人間の感情について考えます。2020年4月現在、新型コロナウィルス感染による肺炎騒動で世界中が先の見えない状況です。このような中、外...

 今回はロボットと人間の感情について考えます。2020年4月現在、新型コロナウィルス感染による肺炎騒動で世界中が先の見えない状況です。このような中、外...


技術系ビジネスリーダー養成とは 【連載記事紹介】

  技術系ビジネスリーダー養成の連載全てが無料でお読みいただけます!   ◆こんな方におすすめ!=技術者がリードすべき重要な...

  技術系ビジネスリーダー養成の連載全てが無料でお読みいただけます!   ◆こんな方におすすめ!=技術者がリードすべき重要な...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
製品設計におけるトレードオフのコントロールとは

        今回は、次のような想定で、製品設計におけるトレードオフのコントロールをどう考えればよいかを解...

        今回は、次のような想定で、製品設計におけるトレードオフのコントロールをどう考えればよいかを解...


イノベーション戦略のキーツールとは

  1. 現代のワークショップ    ワークショップは元々、職人が集まって共同で何かを作るための「工房」「作業場」といった意味の...

  1. 現代のワークショップ    ワークショップは元々、職人が集まって共同で何かを作るための「工房」「作業場」といった意味の...


進捗の見える化:第1回 プロジェクト管理の仕組み (その10)

 この数回はプロジェクト管理の仕組みについて解説していますが、表面的な仕組みではなく、本質的な課題に対応したより進化・深化した仕組みにするための考え方を解...

 この数回はプロジェクト管理の仕組みについて解説していますが、表面的な仕組みではなく、本質的な課題に対応したより進化・深化した仕組みにするための考え方を解...