◆ OKRを活用した組織力アップ
今回は、イノベーションを起こす組織を目指すには、どのようなツールを選び、活用したら良いかについて解説します。
新規事業・新商品を生み出す技術戦略の連載では「今こそイノベーションを起こせ!」、「研究開発組織がボトムアップ革新的商品を開発しよう!」と様々なアプローチを解説しています。しかしながら何も準備をしていなければ、単なる掛け声で終わってしまうことが大半です。
新規事業・新商品を生み出す技術戦略にはノウハウやフレームワークを学ぶだけではなく、組織・人材育成が欠かせません。
みなさんはタイトルのOKRという目標設定・評価方法をご存知でしょうか。
OKRはGoogleやFacebookといったシリコンバレーをはじめ、日本でもメルカリやChatWorkといった企業で採用され、OKRを取り扱ったビジネス書も多く出版されている目標設定の方法です。OKRはObjective and Key Resultの略語であり、ぞれぞれ目標と目標達成ための主要な成果を意味します。
OKRを解説する上で、よく比較する目標設定方法として、みなさんの会社の人事評価などで活用されるMBO、業績や研究開発テーマ達成度といった直近の管理指標として使われるKPIがあります。これらとOKRの大きな違いは、OKRは成果よりも『過程に重きを置く、失敗を許容する』ことです。
- 目標:組織や人の成長につながる、わくわくする内容とする。表現は定性的にする。
- 主要成果:定量的な表現をする。60%~70%の成功率となる目標とする。
例えば、以下のような設定が考えられます。
- O: 目標 2025年までに世界最高の医薬品会社となる
- KR:主要成果 3ケ月以内に海外売り上げ、プラス100億円を達成する。半年後までに海外の営業拠点を50か所、開設する
受験など100%達成を目指すことが当たり前の人にとって、達成率60~70%となる目標を設定することは、正直言って怖いでしょう。しかしOKRは、あえて今の組織・自分の限界を超えるための活動に挑戦する機会を与えてくれるものです。
OKRの仕組みは、企業として挑戦する風土を獲得すること、つまりイノベーティブ組織・人材を育成する効果が狙えます。
新規事業を初めて担当する、もしくは慣れていない組織や人においては、OKRを活用し、挑戦すること=失敗を恐れない活動に慣れてもらうことから始めましょう。具体的には、マネージャークラスが経営目標から組織目標へと、つながりとともに定義、説明した上で、1on1と呼ばれる上司...