ミラー指数の方向 金属材料基礎講座(その24)

更新日

投稿日

 

 ミラー指数には結晶の面だけでなく、方向の表示も重要です。方向の表示にもいくつかの決まり事があります。

 まず、面の時と同様に図1(a)のようにx軸、y軸、z軸上に一辺がaの立方格子を考えます。そして図1(b)の表示方法について考えます。方向は一般的な数学の座標系の表示と同様に考えます。図1(b)の場合、座標表示ではxyはともに1、zは2です。これを方向の表示を表す表記として角カッコ[  ]を使用します。そのため方向は[112]となります。

金属材料

図1. ミラー指数の方向の表示方法

 図2にミラー指数の方向として頻出する方向を示します。これらはすべり系の方向としてもよく出てきます。また面のように対称性のある等価な方向の表示としてはカッコの形状を<>にして<112>として表示します。

金属材料

図2. 主なミラー指数の方向表示例

 ここで、体心立方格子、面心立方格子、稠密六方格子の代表的なすべり面とすべり方向を図3に示します。稠密六方格子は立方体から六角形になるので表示方法が複雑になるので詳細は割愛しますが、4桁の表示になります。すべり面を赤、すべり方向を青で表示しました。これによると、すべり面は各結晶構...

 

 ミラー指数には結晶の面だけでなく、方向の表示も重要です。方向の表示にもいくつかの決まり事があります。

 まず、面の時と同様に図1(a)のようにx軸、y軸、z軸上に一辺がaの立方格子を考えます。そして図1(b)の表示方法について考えます。方向は一般的な数学の座標系の表示と同様に考えます。図1(b)の場合、座標表示ではxyはともに1、zは2です。これを方向の表示を表す表記として角カッコ[  ]を使用します。そのため方向は[112]となります。

金属材料

図1. ミラー指数の方向の表示方法

 図2にミラー指数の方向として頻出する方向を示します。これらはすべり系の方向としてもよく出てきます。また面のように対称性のある等価な方向の表示としてはカッコの形状を<>にして<112>として表示します。

金属材料

図2. 主なミラー指数の方向表示例

 ここで、体心立方格子、面心立方格子、稠密六方格子の代表的なすべり面とすべり方向を図3に示します。稠密六方格子は立方体から六角形になるので表示方法が複雑になるので詳細は割愛しますが、4桁の表示になります。すべり面を赤、すべり方向を青で表示しました。これによると、すべり面は各結晶構造における最密充填面となり、すべり方向は最密充填面の中で原子がつながっている方向ということがわかります。

 次回は、回復と再結晶について解説します。

金属材料

図3. 各結晶構造の代表的なすべり面とすべり方向

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
孔食とは:金属材料基礎講座(その68)

  【目次】   ◆ 孔食とは 孔食(こうしょく)とは、材料表面のある箇所だけが優先的に腐食されることです。孔...

  【目次】   ◆ 孔食とは 孔食(こうしょく)とは、材料表面のある箇所だけが優先的に腐食されることです。孔...


ミクロ偏析 金属材料基礎講座(その19)

   合金では一つの製品の中で濃度差が出てきます。それを偏析と言います。  偏析は大きく分けてミクロ偏析とマクロ偏析があります。ミクロ偏析と...

   合金では一つの製品の中で濃度差が出てきます。それを偏析と言います。  偏析は大きく分けてミクロ偏析とマクロ偏析があります。ミクロ偏析と...


ネオジム磁石の特長とは?利用例も紹介

  ネオジム磁石は、レアアース磁石の一種で、小型でも高い磁性を発揮する特に強力な永久磁石です。この記事では、ネオジム磁石の特徴や活用方法に...

  ネオジム磁石は、レアアース磁石の一種で、小型でも高い磁性を発揮する特に強力な永久磁石です。この記事では、ネオジム磁石の特徴や活用方法に...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...