孔食とは:金属材料基礎講座(その68)

更新日

投稿日

 

【目次】

     

    ◆ 孔食とは

    孔食(こうしょく)とは、材料表面のある箇所だけが優先的に腐食されることです。孔食が発生していない場所は金属光沢を保持していることもあります。また、孔食は一か所だけでなく複数個所に発生することもあります。孔食が発達すると、配管などでは穴が開き、そこから漏れが発生します。

     

    ◆ステンレス鋼は孔食...

     

    【目次】

       

      ◆ 孔食とは

      孔食(こうしょく)とは、材料表面のある箇所だけが優先的に腐食されることです。孔食が発生していない場所は金属光沢を保持していることもあります。また、孔食は一か所だけでなく複数個所に発生することもあります。孔食が発達すると、配管などでは穴が開き、そこから漏れが発生します。

       

      ◆ステンレス鋼は孔食の材料となる

      孔食を起こす材料としてステンレス鋼があります。ステンレス鋼の不動態皮膜は通常の環境では耐食性が良いですが、塩化物イオンが多量に存在すると孔食を引き起こします。

       

      ◆孔食の原因

      孔食の起点としては、不純物介在物や微細な凹みなどです。孔食によってステンレス鋼の不動態皮膜が破られると、鉄イオンやクロムイオンが溶出します。これら金属イオンはプラスのため、マイナスイオンである塩化物イオンをさらに集中させてしまいます。

      金属

      図1.孔食

       

      孔食の様子を図1に示します。また孔食していない場所は不動態皮膜を維持しているので、カソードとして安定します。そのため、一度孔食が起きると腐食がその場所だけで進行します。塩化物イオンは海や沿岸などの地域に多いため、これらの場所では防食塗料などの対策がとられます。

       

      次回に続きます。

      ◆【関連解説:金属・無機材料技術】

         続きを読むには・・・


      この記事の著者

      福﨑 昌宏

      金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

      金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


      「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

      もっと見る
      ネルンストの式 金属材料基礎講座(その58)

        ◆ネルンストの式とは ネルンストの式とは電気化学において電池の電極電位を示した式です。 熱力学において化学反応が進行するためにはギブス...

        ◆ネルンストの式とは ネルンストの式とは電気化学において電池の電極電位を示した式です。 熱力学において化学反応が進行するためにはギブス...


      電磁鋼板とは

        現在、私たちの身の回りには、多くの電気機器があります。電磁鋼板は電気機器において、電気を磁気、そして力に変換する重要な役割を担っており...

        現在、私たちの身の回りには、多くの電気機器があります。電磁鋼板は電気機器において、電気を磁気、そして力に変換する重要な役割を担っており...


      すべり系と最密充填構造 金属材料基礎講座(その4)

        【目次】   1. すべり系 金属が曲げや圧延などの応力を受けて塑性(そせい)変形を起こすためには金属原子...

        【目次】   1. すべり系 金属が曲げや圧延などの応力を受けて塑性(そせい)変形を起こすためには金属原子...


      「金属・無機材料技術」の活用事例

      もっと見る
      金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

       私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

       私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...


      ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

       15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

       15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...