固溶強化 金属材料基礎講座(その11)

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金属材料

◆ 固溶強化:金属の強化方法のその1

 金属材料を構造材料として使用する場合、強度や硬さは非常に重要な性質です。強度や硬さは日常的、感覚的になじみのある性質です。

 これを正確に表現すると「変形に対する抵抗」と言うことができます。金属材料の変形は主に転位運動によって起こります。

 そのため、材料を強くすることは、転位をどのように扱うかです。理論上は転位を完全になくした材料というのは高強度になりますが、それは現実的ではないため、ほとんど考慮されません。実際の材料強化は転位の動きを妨げることを目的としています。

 そして、転位の動きを妨げる方法がいくつかあります。それは、数種類の材料強化方法を組み合わせて金属材料を強化しています。

 1つ目は固溶強化です。

 固溶とは材料中に異なる種類の元素を添加することです。そして母材と添加元素が均一に混ざり合って一つの相となっている状態です。原子のサイズはそれぞれ決まっています。

 そのため、母材と添加元素の原子サイズが同じになることはありません。

 元素を添加して固溶体を作れば必ず結晶構造がひずみます。すなわち、材料は強化されるのです。原子サイズの差が大きいほど結晶構造がひずむため、より大きく強化されます。

 固溶体の種類として置換型と侵入型が...

 

金属材料

◆ 固溶強化:金属の強化方法のその1

 金属材料を構造材料として使用する場合、強度や硬さは非常に重要な性質です。強度や硬さは日常的、感覚的になじみのある性質です。

 これを正確に表現すると「変形に対する抵抗」と言うことができます。金属材料の変形は主に転位運動によって起こります。

 そのため、材料を強くすることは、転位をどのように扱うかです。理論上は転位を完全になくした材料というのは高強度になりますが、それは現実的ではないため、ほとんど考慮されません。実際の材料強化は転位の動きを妨げることを目的としています。

 そして、転位の動きを妨げる方法がいくつかあります。それは、数種類の材料強化方法を組み合わせて金属材料を強化しています。

 1つ目は固溶強化です。

 固溶とは材料中に異なる種類の元素を添加することです。そして母材と添加元素が均一に混ざり合って一つの相となっている状態です。原子のサイズはそれぞれ決まっています。

 そのため、母材と添加元素の原子サイズが同じになることはありません。

 元素を添加して固溶体を作れば必ず結晶構造がひずみます。すなわち、材料は強化されるのです。原子サイズの差が大きいほど結晶構造がひずむため、より大きく強化されます。

 固溶体の種類として置換型と侵入型がありますが、侵入型固溶体の方が結晶構造をより大きくひずませるので強化されます。侵入型固溶体は炭素や窒素などの元素が当てはまります。固溶強化の傾向として、強化量は添加元素の量に対しておよそ直線的に増加する傾向があります。

 次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

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この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

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