
◆ 析出強化:金属の強化方法のその2
2つ目の強化方法は析出強化です。粒子分散強化という時もあります。これは材料中に硬い粒子を微細分散させて転位の動きを妨げることです。
例えばジュラルミンなどのアルミニウム合金はこの析出強化によって高強度になります。
材料中に硬い粒子が存在すると、転位は多くの場合この硬い粒子をせん断して通過することができません...
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2つ目の強化方法は析出強化です。粒子分散強化という時もあります。これは材料中に硬い粒子を微細分散させて転位の動きを妨げることです。
例えばジュラルミンなどのアルミニウム合金はこの析出強化によって高強度になります。
材料中に硬い粒子が存在すると、転位は多くの場合この硬い粒子をせん断して通過することができません...

2つ目の強化方法は析出強化です。粒子分散強化という時もあります。これは材料中に硬い粒子を微細分散させて転位の動きを妨げることです。
例えばジュラルミンなどのアルミニウム合金はこの析出強化によって高強度になります。
材料中に硬い粒子が存在すると、転位は多くの場合この硬い粒子をせん断して通過することができません。そのため、粒子の周りに転位が止められるところと、その周りを通過する転位が張り出します。その様子を下図に示します。

図. オロワン機構
このまま転位が進むと、析出物の周りに転位がループを残して通過します。これをオロワン機構とよび、この時に析出物を通過する応力をオロワン応力と呼びます。このオロワン応力は粒子間距離が狭くなればなるほど大きくなります。この析出強化では粒子のサイズについて理論的な扱いはありません。
しかし、実際の粒子サイズとその距離は関連性があるため、粒子サイズを細かくすることも広い意味で析出強度に影響するため有効になります。
また、時効析出硬化において時効時間をかけすぎて強度が低下する過時効とよばれる段階があります。これは、最も強度が出る時の析出物の状態から、析出物が大きくなりすぎて、粒子間距離も広くなり、オロワン応力が低下するために起こる現象です。
次回は、その3:転位強化です。
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