純金属の凝固組織 金属材料基礎講座(その16)

更新日

投稿日

 

金属を凝固する時は特殊な場合を除き鋳型などの型の中で凝固が行われます。

この時、鋳型の場所によって冷却速度に違いが生じます。最も冷却速度が速くなるのは鋳型に触れている場所です。次に空気に触れている場所、通常は鋳型の上側です。そして、鋳型から離れた型の中心部が最も冷却されにくい場所です。

このように一つの液相の中で冷却速度が異なるので、液相内に温...

 

金属を凝固する時は特殊な場合を除き鋳型などの型の中で凝固が行われます。

この時、鋳型の場所によって冷却速度に違いが生じます。最も冷却速度が速くなるのは鋳型に触れている場所です。次に空気に触れている場所、通常は鋳型の上側です。そして、鋳型から離れた型の中心部が最も冷却されにくい場所です。

このように一つの液相の中で冷却速度が異なるので、液相内に温度勾配が発生します。それはそのまま凝固の方向性に関係します。金属の凝固はまず鋳型に触れている場所から始まり、そこから中心部に向かって凝固が進行します。この最終凝固部では金属の収縮の影響を最も受けて引け巣などが発生します。

純金属の凝固組織の代表を下図に示します。鋳型に触れている場所は最も冷却速度が速い場所です。そのため微細な組織になります。これをチル層と呼びます。そこから中心に向かって結晶粒が横長方向に伸びていきます。これは冷却の温度勾配をそのまま表しています。この組織を柱状晶と呼びます。そして、中心部では温度勾配もあまり影響がなくなるため、通常の結晶粒のような等軸晶になります。

 

金属材料

 図. 純金属の凝固組織

このような凝固組織は結晶粒が大きく、方向性もあるために機械的性質はよくありません。この後、鍛造や熱処理をすることで均一で微細な組織にすることができます。次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
金製錬とは:金属材料基礎講座(その93)

  ◆ 金製錬:アマルガム法と灰吹法  金製錬の原料としては、金鉱石の他にも銅製錬や鉛精錬の副産物としてアノードスライム[1]などがあり...

  ◆ 金製錬:アマルガム法と灰吹法  金製錬の原料としては、金鉱石の他にも銅製錬や鉛精錬の副産物としてアノードスライム[1]などがあり...


砂型鋳造とは

  金属材料は身近な材料であり、自動車、鉄道、建設など高い強度が求められる機械や構造物には欠かせない材料です。金属材料の種類は鉄鋼、ステン...

  金属材料は身近な材料であり、自動車、鉄道、建設など高い強度が求められる機械や構造物には欠かせない材料です。金属材料の種類は鉄鋼、ステン...


元素分析 ICP-AESの構成、ICP-AESにおける試料溶解:金属材料基礎講座(その144)

【目次】 1. ICP-AESの構成 元素分析として広く使用されているICP-AESの構成を下図に示します。ICP-AESでは試料...

【目次】 1. ICP-AESの構成 元素分析として広く使用されているICP-AESの構成を下図に示します。ICP-AESでは試料...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...