◆ 酸素濃度で変わる腐食反応
異種金属接触腐食は異なる金属によって腐食が起きますが、酸素濃淡腐食は同じ金属でも周りの酸素濃度が違うことによって引き起こされます。腐食におけるカソード反応は式(1)にみられるように酸素と水が関係しています。
カソード反応 : O2 + 2H2O + 4e- → 4OH- ・・・(1)
例えば、一枚の鉄板の下半分を水中に浸した場合を考えます。水中よりも空気の方が周囲の酸素量が多いです。鉄板周りの溶存酸素量が異なると、酸素濃度の...
TOP
異種金属接触腐食は異なる金属によって腐食が起きますが、酸素濃淡腐食は同じ金属でも周りの酸素濃度が違うことによって引き起こされます。腐食におけるカソード反応は式(1)にみられるように酸素と水が関係しています。
カソード反応 : O2 + 2H2O + 4e- → 4OH- ・・・(1)
例えば、一枚の鉄板の下半分を水中に浸した場合を考えます。水中よりも空気の方が周囲の酸素量が多いです。鉄板周りの溶存酸素量が異なると、酸素濃度の...
異種金属接触腐食は異なる金属によって腐食が起きますが、酸素濃淡腐食は同じ金属でも周りの酸素濃度が違うことによって引き起こされます。腐食におけるカソード反応は式(1)にみられるように酸素と水が関係しています。
カソード反応 : O2 + 2H2O + 4e- → 4OH- ・・・(1)
例えば、一枚の鉄板の下半分を水中に浸した場合を考えます。水中よりも空気の方が周囲の酸素量が多いです。鉄板周りの溶存酸素量が異なると、酸素濃度の高い場所がカソード、酸素濃度の低い場所がアノードとなり腐食されていきます。その様子を図1に示します。
図1. 酸素濃淡腐食
腐食反応に限らず化学反応では、濃度差があるとそれを少なくする方向に化学反応が進みます。酸素濃淡腐食の場合、高い酸素濃度を低くしようと化学反応(腐食反応)が進みます。酸素濃度の差が大きいと、カソード反応によって酸素を消費させ、酸素濃度の差を小さくしようとして、腐食反応が進みます。
水中に鉄板を半分浸すと水面付近は水に濡れますが、酸素の供給は容易に行われます。しかし水面下では酸素の供給が困難なため、酸素濃度が低くアノードとなり腐食されます。これは船の外板や橋脚などのように、一部が水中で一部が空気という状況で起こりやすい腐食です。この場合、腐食されやすい場所は水中の場所全てというよりも、水面直下の位置になります。
また、酸素濃淡腐食は土壌の配管などにも起こります。土の中の酸素濃度は均一ではなく、土質や深さによって変わります。粘土質な土は風通しが悪く酸素濃度が低くなりやすいのです。一方、砂場の砂のようなサラサラした砂質は風通しがよく、酸素が供給されるので酸素濃度は高くなりやくなります。
次回に続きます。
続きを読むには・・・
現在記事
◆ 充填率計算 体心立方格子 結晶構造の単位格子の中にどの程度原子の体積が占めているかを充填率と言います。これは単位格子の格子定数と...
◆ 充填率計算 体心立方格子 結晶構造の単位格子の中にどの程度原子の体積が占めているかを充填率と言います。これは単位格子の格子定数と...
◆ インヒビターの用途と種類 水溶液などに添加して腐食を防止する効果を発揮する物質を腐食抑制剤、インヒビター、防錆(ぼうせい)剤などと呼...
◆ インヒビターの用途と種類 水溶液などに添加して腐食を防止する効果を発揮する物質を腐食抑制剤、インヒビター、防錆(ぼうせい)剤などと呼...
◆ 外部電源法と犠牲陽極法の比較 外部電源法は対極となる電極材料を、対象となる材料と同じ環境に設置して、電源装置によっ...
◆ 外部電源法と犠牲陽極法の比較 外部電源法は対極となる電極材料を、対象となる材料と同じ環境に設置して、電源装置によっ...
私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...
私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...
15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...
15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...
開催日: 2025-03-25
© ものづくりドットコム / ㈱産業革新研究所
ものづくりドットコムのIDでログイン
まだ未登録の方は、「無料」会員登録で多くの特典が!
Aperza IDでログイン
Aperza IDでのログイン機能は終了いたしました。
今後はものづくりドットコム会員ご登録の上、ログインをお願いいたします