すき間腐食 すき間腐食とは:金属材料基礎講座(その69)

更新日

投稿日

 

◆ 孔食とすき間腐食

すき間腐食は主に水中で2つの金属部品の間隔が狭い時に、そのすき間で腐食が発生することです。

すき間のサイズはあまり明確ではありませんが、すき間が1mm以下でμmオーダーの時、すき間腐食が起こりやすくなります。これはすき間が狭く、周囲の水との流れや溶存酸素などの移動が起きづらいためです...

 

◆ 孔食とすき間腐食

すき間腐食は主に水中で2つの金属部品の間隔が狭い時に、そのすき間で腐食が発生することです。

すき間のサイズはあまり明確ではありませんが、すき間が1mm以下でμmオーダーの時、すき間腐食が起こりやすくなります。これはすき間が狭く、周囲の水との流れや溶存酸素などの移動が起きづらいためです。

すき間腐食の最初のきっかけは酸素濃淡腐食のように起きます。ステンレス鋼のような不動態を形成する材料は酸素を消費しながら不動態を形成します。そのため、すき間内部と周囲で酸素濃淡差ができます。そこへ、塩化物イオンなどが存在すると、すき間で腐食が起こります。すき間腐食の様子を図1に示します。

金属

図1. すき間腐食

すき間腐食で形成される局部アノードと局部カソードは孔食と非常に似ています。そのため孔食指数が一つの目安になります。また、炭素鋼のように不動態を形成しない材料でも、小さなすき間から酸素濃淡腐食をきっかけに、すき間腐食を起こすこともあります。しかし、この場合不動態皮膜を形成する材料と区別するため、すき間腐食と呼ばずに通気差腐食と呼ぶこともあります。

 

 次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
XRDの相対強度、構造因子:金属材料基礎講座(その132)

【目次】 1. XRDの相対強度 XRDにおいて回折パターンの相対強度におよぼす影響は、次の6項目があります。  ...

【目次】 1. XRDの相対強度 XRDにおいて回折パターンの相対強度におよぼす影響は、次の6項目があります。  ...


孔食とは:金属材料基礎講座(その68)

  【目次】   ◆ 孔食とは 孔食(こうしょく)とは、材料表面のある箇所だけが優先的に腐食されることです。孔...

  【目次】   ◆ 孔食とは 孔食(こうしょく)とは、材料表面のある箇所だけが優先的に腐食されることです。孔...


構造因子 面心立方格子:金属材料基礎講座(その134)

  ◆ 構造因子 面心立方格子 面心立方格子の構造因子を見てみます。面心立方格子の場合、立方格子の頂点の000と各面の中心1/2,1/2...

  ◆ 構造因子 面心立方格子 面心立方格子の構造因子を見てみます。面心立方格子の場合、立方格子の頂点の000と各面の中心1/2,1/2...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...