1. マグネシウムの製造法
マグネシウムの精製方法は大きく分けて熱還元法(ピジョン法)と電解法(Dow法、IG法など)があります。
近年では、中国における熱還元法によってマグネシウムの8~9割が生産されています。それに対し、電解法はロシアやイスラエルで行われています。マグネシウムの資源は地殻に多く存在し、マグネシウム製錬原料としては、ドロマイト(MgCO3・CaCO3)、マグネサイト(MgCO3)、海水などがあります。
(1)熱還元法
熱還元法は原料として主にドロマイトが使用されます。熱還元法ではドロマイトに還元剤を添加し、減圧化で加熱します。そうすると、マグネシウムが還元剤によって還元され気体となります。気体状のマグネシウムを集めて冷却させると金属マグネシウムが得られます。還元剤としてはフェロシリコン(Fe-75~80%Si)が使用されます。この時の反応式を式(1)に示します。
2MgO+2CaO+Si→2Mg(gas)+2CaO・SiO2 (1)
通常であれば、酸化マグネシウムを還元させるにはマグネ...
(2)電解法
電解法は原料として主に海水が使用されます。原料からMgCl2(塩化マグネシウム)を製造して溶融塩電解を行います。IG法ではマグネサイト(MgCO3)を焼成したり、海水を焼ドロマイト処理して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を生産します。
水酸化マグネシウムを沈殿、焼成することで酸化マグネシウム(MgO)を得ます。酸化マグネシウムを石炭と固めて、塩化炉にて塩素と反応させて無水塩化マグネシウムを製造します。これを電気分解してマグネシウムを精製します。Dow法では海水に石灰乳(Ca(OH2))を加えてMg(OH)2を作り、沈殿ろ過後に塩酸(HCl)を加えて加熱・脱水によりMgCl2・1.25H2Oを製造します。これを電気分解してマグネシウムを精製します。
2. マグネシウムを多く含んだ鉱物とは
マグネシウムは、地球上で非常に重要な元素の一つであり、さまざまな鉱物に含まれています。特に、マグネシウムを多く含む鉱物として知られているのが、オリビンやピンクマグネサイト、そしてダンバー石などです。これらの鉱物は、主に火成岩や変成岩の中に見られ、地球のマントルや地殻の形成に寄与しています。
オリビンは、特にマグネシウムと鉄を含む鉱物で、緑色の結晶が特徴です。火山岩の一部として見られ、地球の内部の成分を知る手がかりとなります。また、ピンクマグネサイトは、マグネシウムを豊富に含む鉱物で、主に変成岩に見られます。この鉱物は、宝石としても利用されることがあります。
マグネシウムは、植物や動物の生命活動にも欠かせない元素であり、特に植物の光合成において重要な役割を果たします。したがって、マグネシウムを多く含む鉱物は、自然環境においても重要な存在です。さらに、マグネシウムは軽量で強度があり、航空機や自動車の材料としても利用されています。これにより、マグネシウムを含む鉱物の採掘と加工は、産業界でも重要な役割を果たしています。マグネシウムを多く含む鉱物は、地球の構造や生態系、さらには人間の生活においても欠かせない存在であると言えるでしょう。
次回に続きます。