めっきや塗装の前処理:金属材料基礎講座(その79)

更新日

投稿日

金属

 

◆ めっきや塗料の密着性を高めるには

 めっき(メッキ)や塗料の密着性は、下地金属の表面状態や洗浄が非常に重要です。めっきや塗装がどれだけ優れていても、下地金属に密着していなければ剥(は)がれてしまい、容易に腐食してしまいます。前処理の例として無電解めっきの工程を図1に示します。

金属

図1.無電解めっき加工工程例

 めっき工程の前に多くの洗浄や酸処理工程があります。めっきも塗装の前処理もさびや汚れなどを、研磨などで機械的に除去する工程や脱脂、洗浄する工程以外に、酸などの薬品で酸化膜などを除去する酸処理など、密着性を高めるため色々な表面処理を行う工程があります。

 機械的にさびなどを除去する方法として、研磨や研削などがあります。また古い塗装を除去する時にサンドブラストで表面をきれいにすることもあります。そして付着した汚れなどを洗浄するのに有機溶剤を使用した脱脂があります。また塩酸やリン酸のような、薬品に浸してさびを除去する酸処理もあります。酸処理についてはさびの除去を目的に行われる時と、表面を製膜しやすくするために処理する時があります。

 めっきや塗装の皮膜を形成する際、下地金属の表面を意図的に粗く凸凹にすると、表面積が増えて皮膜の食いつきがよくなります。これをアンカー効果[1]といいます。

 

 次回に続きます。

 

 【用語解説】

 [1]アンカー効果とは、接着や塗装において、材料表面の...

金属

 

◆ めっきや塗料の密着性を高めるには

 めっき(メッキ)や塗料の密着性は、下地金属の表面状態や洗浄が非常に重要です。めっきや塗装がどれだけ優れていても、下地金属に密着していなければ剥(は)がれてしまい、容易に腐食してしまいます。前処理の例として無電解めっきの工程を図1に示します。

金属

図1.無電解めっき加工工程例

 めっき工程の前に多くの洗浄や酸処理工程があります。めっきも塗装の前処理もさびや汚れなどを、研磨などで機械的に除去する工程や脱脂、洗浄する工程以外に、酸などの薬品で酸化膜などを除去する酸処理など、密着性を高めるため色々な表面処理を行う工程があります。

 機械的にさびなどを除去する方法として、研磨や研削などがあります。また古い塗装を除去する時にサンドブラストで表面をきれいにすることもあります。そして付着した汚れなどを洗浄するのに有機溶剤を使用した脱脂があります。また塩酸やリン酸のような、薬品に浸してさびを除去する酸処理もあります。酸処理についてはさびの除去を目的に行われる時と、表面を製膜しやすくするために処理する時があります。

 めっきや塗装の皮膜を形成する際、下地金属の表面を意図的に粗く凸凹にすると、表面積が増えて皮膜の食いつきがよくなります。これをアンカー効果[1]といいます。

 

 次回に続きます。

 

 【用語解説】

 [1]アンカー効果とは、接着や塗装において、材料表面の微細な凹凸に接着剤が木の根のように入り込んで硬化することで接着力が高まる効果のこと。投錨(とうびょう)効果、ファスナー効果ともいう(引用:Wikipediaから、https://ja.wikipedia.org/、最終更新 2017年12月11日)。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
熱処理とは?【基礎知識】代表的な種類や違いをわかりやすく解説

  1. 熱処理とは? 熱処理とは、金属に熱を加えてその組織を変化させ、機械的性質や耐食性、耐摩耗性などの性能を向上させるための加工技術...

  1. 熱処理とは? 熱処理とは、金属に熱を加えてその組織を変化させ、機械的性質や耐食性、耐摩耗性などの性能を向上させるための加工技術...


液相の多い包晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その171) わかりやすく解説

  ◆ 液相の多い包晶組織の量的計算 包晶状態図の液相が多い組成における凝固、包晶反応、析出過程を見ていきます。図1に包晶反応状態図の模...

  ◆ 液相の多い包晶組織の量的計算 包晶状態図の液相が多い組成における凝固、包晶反応、析出過程を見ていきます。図1に包晶反応状態図の模...


ダニエル電池 金属材料基礎講座(その55)

  ◆ ダニエル電池の仕組み  ボルタ電池は腐食モデルとしては良いのですが電池としての性能は悪く実用的ではありません。  ボルタ電池は...

  ◆ ダニエル電池の仕組み  ボルタ電池は腐食モデルとしては良いのですが電池としての性能は悪く実用的ではありません。  ボルタ電池は...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...


ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...