◆ マルテンサイトの特徴
鋼を焼入れる時に亜共析鋼はA3線上30~50℃のオーステナイト単相から、過共析鋼はA1変態点上30~50℃のオーステナイト+セメンタイト組織から焼入れを行います。そのため過共析鋼のマルテンサイトは共析鋼と同じ炭素量のマルテンサイトとなります。そこにセメンタイトが追加した組織となります。
マルテンサイトの硬さは主に炭素量によって決まります。これは炭素鋼も合金鋼も同じ傾向です。マルテンサイトの硬さと炭素量の関係を図1に示します。
図1.マルテンサイトの硬と炭素量の関係
約0.6~0.7%炭素量の時に硬さのピークとなり、それ以降はあまり変わりません。これは過共析鋼でもマルテンサイトの炭素量が共析鋼と同じであること、軟らかい残留オーステナイトが表れることなどが理由です。
マルテンサイト組織は炭素量によって...