1.MPMの役割分担とは
MPM導入実施のための基本ステップの説明に入る前に、設備管理におけるMPMの役割分担を明確にしておきたいと思います。
先ず、MPMを支える組織は、生産技術部門のみで、保全部門がすでにある場合は、生産技術の傘下に統合することが前提になります。その上で、設備管理内容をどのようにとらえ、それらを、MPMと生産技術がどのように分担するのかを次項でご説明します。
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2.設備管理におけるMPMと生産技術(略称:生技)の役割分担
1)MPMが求める設備管理能力とは
MPMは、その基本理念「設備は生き物であり、その生死のカギを握るのは“オペレーター”である、と言う認識に立ち、目指す設備管理(メンテナンス)を“オペレーターによる完全自主保全”とする」が示す通り、設備管理全般をカバーしているわけではありませんので、設備管理全般を生技との分担でカバーすることになります。
その場合、分担の基準となる「設備管理能力」は下表のように8つに分類しています。
表51-1 分担の基準となる「設備管理能力」
MPMが最終的に目指す「オペレーターによる完全自主保全体制」は、上表で示されている設備管理能力a~g(能力hは、機能・設備能力そのものの改良・向上ですので、専門保全の専権能力です。)を身につけたオペレーターの存在が必須となります。
2)設備管理におけるMPM(現場)と生産技術の役割分担
設備管理能力を上表のように分類した場合、MPMと生産技術の役割分担は下表のようになります。
表51-2 設備管理におけるMPM(現場)と生産技術の役割分担(a~hは、表51-1参照)
3)設備の状態把握
設備管理能力と、それをベースにした設備管理の分担を明らかにしたところで、管理対象である設備をどのように把握するのかの説明に入ります。
MPMでは、設備は、顧客の要求する「製品の質」を具現する手段として捉え、その具現手段としての適不適、対応能力レベルと...