MPM導入の進め方(1) 【快年童子の豆鉄砲】(その70)

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1.MPM導入ステップ

MPM導入ステップは次のような6ステップになっています。順次ご説明していきますが、コンセプトが一般的な設備管理・保全と著しく違いますので、できるだけ丁寧にご説明するつもりですが、もしご不明な点がありましたら、お気軽にこの場にご質問を投げかけて頂ければと思います。

  • Step 1:現有設備の状態把握と分類
  • Step 2:オペレーターの設備管理能力把握とクラス分け
  • Step 3:オペレーターの設備管理能力と設備の状態とのマッチング
  • Step 4:オペレーターの設備管理能力育成
  • Step 5:MPMキックオフ
  • Step 6:活動状況のチェックとフォロー

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その69)へのリンク】

【連載記事】・新QC七つ道具 連関図法の使い方

【連載記事】・新QC七つ道具 親和図法の使い方

 

2.MPM導入ステップの説明

Step 1:現有設備の状態把握と分類

MPM導入に際し、最初に取り組むべきことは、現有設備の状態把握と分類で、その進め方を下記します。

 

1)現有設備の状態把握基準

現有設備の状態把握は、設備が作り出す製品の品質の出来栄えを念頭に「表51-3 設備の状態別分類」(以下“表”)に従って行うのですが、表にある、適格・不適格、正常・異常の判定基準は、後工程や顧客に対する検査規格値に対する工程能力指数Cpになります。

 

・適格・不適格の基準は「工程能力指数Cp」

安定した品質は、そのデータの分布が正規分布であることが前提で、その分布の幅は、標準偏差σの6倍とし(正規分布するデータが6σの中に入る確率は、統計的に99.47%)、規格の幅を6σの値で除した値が「工程能力指数Cp」で、この値が、少なくとも1以上、即ち“Cp≧1”が適格の条件で、理想としては“Cp≧1.33”になります。要するに、正規分布したデータの幅(6σ)が規格の幅と同じかそれ以下、即ち、データの分布の幅が、規格幅以内であることが適格の基準と言うことです。蛇足ですが、標準偏差sは、各データから平均値を差し引いた値を二乗したものを加えた値を“n-1”で除した値の平方根です。

 

・安定・不安定の基準は「工程能力指数Cpk」

データの分布幅6σが、規格幅より小さくても、中心がずれたのでは、規格から外れたデータが生じますので、“安定”とは言えません。この中心の偏りを考慮した工程能力指数がCpkで、中心が、プラス側にずれる場合で言いますと、規格上限から平均値を差し引いた値を3σで除した値、中心が、マイナス側にずれた場合は、平均値から規格の下限を差し引いた値を3σで除した値となります。即ち、“Cpk≧1”が、安定の条件になります。

 

2)現有設備の状態別分類

上記把握基準を使って現有設備を表にある①~④に分類するのですが、次のようなステップを踏むとやり易いです。

 

先ず、Cpの値で、設備の適格、不適格を判断し、次に、設備の安定、不安定をCpkの値で判断します。

 

その結果、“Cp≧1”で適格、“Cpk≧1”で安定、となった設備は①に分類します。“Cp≧1”で適格となっても、“Cpk<1”で不安定、となった場合、不安定の検出が容易で、安定簡単な操作で安定化できる設備は、適格の範囲として②に分類します。“Cp<1”で不適格となった設備の場合、不適格の度合いが軽度、即ち、“改良保全”で適格化が可能な設備は③に分類します。不適格の原因が、設備の根本的な不具合、即ち、不適格の原因が、強度や機構に関わる場合は④に分類します。

 

以上のステップを図式化したものが、下図「図52-1 設備の状態別分類の仕方」です。

 

図52-1 設備の状態別分類の仕方(Y=Yes、N=No)

 

3)現有設備の状態の数値化

設備の状況改善活動を進める際、成果が数値で示されると、インセンティブが高まりますので、設備減点数を①0、②1、③3、④5として、総合計設備減点数0を目指すのがいいと思います。

 

4)このステップの狙い

このステ...

 
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1.MPM導入ステップ

MPM導入ステップは次のような6ステップになっています。順次ご説明していきますが、コンセプトが一般的な設備管理・保全と著しく違いますので、できるだけ丁寧にご説明するつもりですが、もしご不明な点がありましたら、お気軽にこの場にご質問を投げかけて頂ければと思います。

  • Step 1:現有設備の状態把握と分類
  • Step 2:オペレーターの設備管理能力把握とクラス分け
  • Step 3:オペレーターの設備管理能力と設備の状態とのマッチング
  • Step 4:オペレーターの設備管理能力育成
  • Step 5:MPMキックオフ
  • Step 6:活動状況のチェックとフォロー

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その69)へのリンク】

【連載記事】・新QC七つ道具 連関図法の使い方

【連載記事】・新QC七つ道具 親和図法の使い方

 

2.MPM導入ステップの説明

Step 1:現有設備の状態把握と分類

MPM導入に際し、最初に取り組むべきことは、現有設備の状態把握と分類で、その進め方を下記します。

 

1)現有設備の状態把握基準

現有設備の状態把握は、設備が作り出す製品の品質の出来栄えを念頭に「表51-3 設備の状態別分類」(以下“表”)に従って行うのですが、表にある、適格・不適格、正常・異常の判定基準は、後工程や顧客に対する検査規格値に対する工程能力指数Cpになります。

 

・適格・不適格の基準は「工程能力指数Cp」

安定した品質は、そのデータの分布が正規分布であることが前提で、その分布の幅は、標準偏差σの6倍とし(正規分布するデータが6σの中に入る確率は、統計的に99.47%)、規格の幅を6σの値で除した値が「工程能力指数Cp」で、この値が、少なくとも1以上、即ち“Cp≧1”が適格の条件で、理想としては“Cp≧1.33”になります。要するに、正規分布したデータの幅(6σ)が規格の幅と同じかそれ以下、即ち、データの分布の幅が、規格幅以内であることが適格の基準と言うことです。蛇足ですが、標準偏差sは、各データから平均値を差し引いた値を二乗したものを加えた値を“n-1”で除した値の平方根です。

 

・安定・不安定の基準は「工程能力指数Cpk」

データの分布幅6σが、規格幅より小さくても、中心がずれたのでは、規格から外れたデータが生じますので、“安定”とは言えません。この中心の偏りを考慮した工程能力指数がCpkで、中心が、プラス側にずれる場合で言いますと、規格上限から平均値を差し引いた値を3σで除した値、中心が、マイナス側にずれた場合は、平均値から規格の下限を差し引いた値を3σで除した値となります。即ち、“Cpk≧1”が、安定の条件になります。

 

2)現有設備の状態別分類

上記把握基準を使って現有設備を表にある①~④に分類するのですが、次のようなステップを踏むとやり易いです。

 

先ず、Cpの値で、設備の適格、不適格を判断し、次に、設備の安定、不安定をCpkの値で判断します。

 

その結果、“Cp≧1”で適格、“Cpk≧1”で安定、となった設備は①に分類します。“Cp≧1”で適格となっても、“Cpk<1”で不安定、となった場合、不安定の検出が容易で、安定簡単な操作で安定化できる設備は、適格の範囲として②に分類します。“Cp<1”で不適格となった設備の場合、不適格の度合いが軽度、即ち、“改良保全”で適格化が可能な設備は③に分類します。不適格の原因が、設備の根本的な不具合、即ち、不適格の原因が、強度や機構に関わる場合は④に分類します。

 

以上のステップを図式化したものが、下図「図52-1 設備の状態別分類の仕方」です。

 

図52-1 設備の状態別分類の仕方(Y=Yes、N=No)

 

3)現有設備の状態の数値化

設備の状況改善活動を進める際、成果が数値で示されると、インセンティブが高まりますので、設備減点数を①0、②1、③3、④5として、総合計設備減点数0を目指すのがいいと思います。

 

4)このステップの狙い

このステップの実施内容は以上の通りです。上記内容を生技に編入された保全係と生技がペアでこのステップに取り組みます。保全係は設備の背景にある技術を、生技は設備の使われる過程での問題点を、それぞれが把握することが、これ以降のMPM活動の充実が狙いです。実施に当たってはこの点を念頭に取り組むことが重要です。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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