3. 事例2にみる「適材適所配属」のためのMD解析法の使い方
1)はじめに
事例1は、40年以上前のものですので、数値的な面も含めて全貌をご紹介することが出来ましたが、この事例2は、現在進行中のもので、本来開示は難しいのですが、色々な意味で示唆に富む事例ですので、お許しを得た範囲内でご紹介しますので、参考にして頂ければと思います。
2)事例の背景
この事例は、品質経営のお手伝いの一環として、N7(新QC七つ道具)のプレゼンをする中で、前回の事例1をご紹介したところ、人事担当の方から「職業適性検査ではないが、20数年前から入社者に対して実施している16項目の性格テストデータが200人分くらいあるので、MD解析にかけてみたい」とのお話がありスタートしたものです。
3)MD解析の目的
担当者の方は、事例1の紹介を通じてMD解析法を十分理解され、導入目的を下表のように明確にされておられる点は、参考にして頂けるのではないかと思います。
表81-1 MD解析の目的
4)マトリックス・データ(MD)の検討
MD解析法が対象とする事象は、複雑で掴みどころがないため、少しでも理解できればと、気になる点についてのデータを取り、結構なMDが手に入るのですが、その解釈をめぐって折り合いがつかず、しかるべき人の解釈を採用せざるを得なくなるのですが、結果的にその結論に納得できない人には、その結論をベースにした計画には積極的な協力を得られず、総じて、成果が今一つと言ったことになりがちなのです。
その点、MD解析法の結論は、メンバーの総意として全員に納得して受け入れられ易いのですが、問題は、少々の違和感があっても、数字で示される結論に納得させられ、モヤモヤが残ってしまう危険性の存在です。
そうなるのは、解析した既存のMDの情報が不十分な場合が殆どで、十分さの判定基準は、Step8で求めた寄与率の累計が、第1・第2主成分までで60~80%であることが一般的で、解析が終わった時点で、上記要件を満たしているかの検討が必要です。
ところがこの事例は、その基準を満たしておらず、約1年かけてMDに対する検討を重ねたのですが、その内容は、示唆に富むものですので、下図に取りまとめましたので参考にして頂ければと思います。
図81-1 既存マトリックス・データの検討PDCA-TC (注) %は第一・第二主成分の累積寄与率
(注)上図の「PDCA-TC」は、N7の内、唯一数値データを扱う「MD解析法」の代わりに、筆者オリジナルの「PDCA-TC法」を入れて「言語データ解析七つ道具」としたいわくつきの手法で、PDCA-Tracing Chartの略です。上図を見て頂ければ一目瞭然でご理解願え、色々ご活用願えるのではないかと思います。手法として陽の目を見ることになったのは、N7研究会で、PDPC法で進めた危機管理の結果が、中々うまく説明できないというお話があり、PDPC法のフォロー手法として紹介したところ大変好評で、N7入門セミナーテキストに、N7の周辺手法として紹介されるまでになったというもの...