理念経営基本体系の設計(8) 【快年童子の豆鉄砲】(その20)

6 顧客満足充足体系図

下記の図13-2理念経営基本体系(2次迄)の中の「顧客満足」の展開、即ち、「顧客満足」をどのようにして充足するかの部分「 顧客満足(CS:Customer Satisfaction)充足体系図」を下記します。

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その19)理念経営基本体系の設計(7)へのリンク】

 

 

先ず、この体系図のポイントですが、一般的な現状維持要因である、「適正なQCD(Quality Cost Delivery)の安定的供給」で良しとせず、未来を先取りする形の「顧客感動の誘起」、しかも、現状の延長線上ではなく、「比類なき創造的開発」によるものがこれからの顧客満足には欠かせないとしているところです。

 

もう一つのポイントは、現状維持要因とは言え、顧客満足に繋がるような「QCDの安定的供給」には、生産・品質両面において革新的取り組みが必要と言う点です。ここで、品質革新がクレームゼロでいいのかと言う点ですが、展開結果を見てもらえば分かると思いますが、ここに挙がっているような革新的取り組みがあってはじめて、顧客満足の重要課題であるクレームゼロを達成でるという理解です。

 

最後に、この体系図が機能して、CSポールスター「末端ユーザーに夢と感動を与え、顧客感動に繋がる商品の開発」に繋がるには、右端にある10の手法、手段がポイントで、それぞれ後ほど事例付きで詳述しますが、ポイントを注記にて解説しますので、参考にして頂ければと思います。

 

図21-1 顧客満足(CS)充足体系図

 

--- 記 ---

(注1) SQHKライン

“SQHK”とは、「SQ(安全と品質)のH(本質)をK(極め)れば、生産性は、自ずとハイレベルで付いてくる」と言う考え方を示す筆者の造語です。これは、表2-1の⑥にある解決手段で、不良率20%(手直し可能15%、廃棄5%)の対策を技術課が色々取り組むものの、10年経ってもさっぱり改善されないことに業を煮やし、根本的改善構想を詳細なレポートで直訴し、技術課を通さず、紹介された設備メーカーとの協業で画期的改善を実現させた経験をベースにした考え方です。この結果、不良率0%、だけでなく、23人が8人に、赤チン災害多発で、時に休業災害を経験していたのがゼロ災害になり、職場懇談会で改善依頼のあった環境改善依頼項目35すべてをクリアすることが出来たのです。SQHKの考えに徹したことにより、現場の一係長であった筆者が具現できたことを思えば、中小企業でも可能と思われますので、表2-1の⑥のところでの詳しい説明を参考にして頂き、画期的効果を手にして頂きたいと思います。

 

(注2) MPM

Motherly Productive Maintenanceの略で、これも筆者の造語です。この命名に込めた思いは、オペレーターが設備に対して、母親が我が子に対するように接することを基本にした設備保全のことで、表2-1の⑤に対する解決手段です。具体的には、設備保全を、オペレーターが気付く設備故障の前兆現象を起点にするというものです。その体制を敷くための総合的な活動を通して、オペレーターの保全能力をレベルアップし、最終的には、生産保全に関しては、オペレーターによる完全自主保全を目指すもので、最終段階への途上ですが、お手伝いした企業で導入して頂いた結果、設備故障件数、設備稼働率、工程内不良率で際立った導入効果が出ています。

 

(注3) キャラバン方式生産計画

多くの機台を使って段取り替えにより多くの品種の生産をしている機械群の生産計画を、段取り替え作業が最も効率よく無理なくできることを基本にした生産計画に従って、セッティングマン、またはセッティングチームが、機台またはラインをキャラバンのように渡り歩く生産方式のことで筆者の造語です。自部門での導入実績では、必要セッティング人員減少で浮いたベテランがセッティングの指導をしたり工程改善をした結果、品質と生産性の向上に繋がりました。

 

(注4) Q7

QC七つ道具のことですが、SQCも含む、従前のQC活動全般を指します。要するに、現象系不具合の場合は、従前のQC活動の範疇で解決できると言うことです。

 

(注5) C型PDPC

PDPC法は、極めて有用な手法なのですが、自由度が大きすぎて却って使い難いので、今HPで紹介して頂いている拙著「新QC七つ道具の使い方」の中で、4つのパターンに整理して、それぞれの用途と使い方を説明しているのですが、このC型PDPCは、その4つの中の一つで、改善型とも言えるものです。対象がラインの場合、これを使いま...

すと、問題の原因だけでなく、起こり得る不具合全ての対策に繋がりますのでお勧めです。

 

(注6) 連関図法

体質系不具合の原因究明は、不具合原因である職場体質の把握が起点になるのですが、数値データでは埒が明かず、言語データの解析に寄るのですが、その手法が連関図法です。ただ、一般的なN7としての使い方では全く機能しませんので、表2-1の②、④でご紹介する使い方を参照して頂ければと思います。

 

(注7) 親和図法

連関図法で把握した体質的な原因の解決のための体質改善策は、やはり言語データ解析に寄らざるを得ず、その手法が親和図法です。ただ、一般的なN7としての使い方では、連関図法同様全く機能しませんので、表2-1の②、④でご紹介する使い方を参照して頂ければと思います。

 

(注8)以降は、次回でご説明します。

◆関連解説『事業戦略とは』

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