CCS法 【快年童子の豆鉄砲】(その52)

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情報マネジメント

 

◆CCS(Customer Communication System)法

CCS法は、「顧客情報処理システムそのもの」とは大きく違い、TQMを「顧客満足度を数量化したCSI(Customer Satisfaction Index:顧客満足度指数)をバロメーターとした、商品開発、生産、販売、サービスの総合的マネジメント」と捉えた全社的質経営改革活動の一環として設計された「総合的顧客情報処理システム」です。

 

1.総合的顧客情報処理システム

「夢商品開発七つ道具(Y7)」が目指す商品の中には、顧客の潜在ニーズに訴えて「こんな商品(機能)が欲しかった」との感動を呼び、新たな市場を生み出すようなものがあります。

 

このような場合、新規性が高ければ高いほど、発売寸前まで情報開示を極力抑える戦略を取らざるを得ないため、十分な事前の市場調査が阻まれますので、細やかな顧客ニーズや、開発者が思いもかけない使われ方に対する把握が不十分となりがちですので、その点に対する改良開発を市場投入直後から実施する必要があるのですが、その点についての的確な対応を目指して開発されたのが「CCS法」です。

 

従って、このCCS法は、名前から来る印象である「顧客情報処理システムそのもの」とは大きく違い、TQMを「顧客満足度を数量化したCSI(Customer Satisfaction Index:顧客満足度指数)をバロメーターとした、商品開発、生産、販売、サービスの総合的マネジメント」と捉えた全社的質経営改革活動の一環として設計された「総合的顧客情報処理システム」である、という点が重要で、具体的な活動内容は次の5点です。

  • 1)CSアンケート調査と解析
  • 2)商品ごとの「CSフリーダイヤル」の設置
  • 3)地域別の「コミュニケーション会議」
  • 4)「CSモニター店」定点観測(パネル調査)
  • 5)ターゲット販売店への重点アプローチ

 

最初にあげた「CSアンケート調査と解析」が最も特徴的であると共に、背景に多くのノウハウが存在しますので、代表してこれを「CCS法」と呼ぶことにし、5つを総合する場合「CCS活動」と表現することにしたいと思います。

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その51)へのリンク】

 

2.CCS法推進ステップとポイント

CCS(Customer Communication System)法は、初期購入ユーザーに感動を与えた商品が、一般ユーザーに高い満足度を持って浸透し、経営の核たり得るヒット商品に進化させるためのものです。以下にその趣旨に沿った推進要領を4つのステップで説明しますので、各ステップの説明趣旨が生きるよう各社の事情に合わせて具体化して頂ければと思います。

 

ステップ 1:CS(Customer Satisfaction)アンケート調査表(略称:CSシート)の作成

顧客は、色々の商品を比較した上で、当該商品の効用や使い勝手の良さを期待しているはずなので、その期待に対し、商品の何処がどの程度の満足を与えることが出来たかを十分に把握することが改良開発には重要ですので、CSシート設計には、開発者、企画者、マーケット担当者、QC担当者が参画し、下記の要領で作成します。

①機能、性能に関する満足度の質問を全てに網羅し、特に重要な項目は前に出す。
②質問項目ごとのユーザー評価は5~7段階とし、全て満足を中心に質問する。
③項目ごとに、適当な箇所に余白を設け、自由にご意見を記述できるようにする。
④購入した直後の意見や状況ではなく、一ヶ月くらいユーザーが実使用してからの体験的意見を聞くようにする。
⑤最初に、このCSアンケートの趣旨が「次のより良い開発に活用する」ことを十分強調する。
⑥項目別の満足度に加え、最後に必ずその項目に対する総合的な満足度を質問する。
⑦従来の愛用者スタイルのアンケートにはしない。

 

ステップ 2:顧客の抽出

一般的な回収率(15%)からすると統計解析に十分な150前後の回収が見込めるので、最初の生産1000台にCSシートを入れておき、下記3つの顧客抽出方法を参考に回収します。

①売店を通じて購入者(回答者)を選ぶ
②愛用者カードの回答者から選ぶ
③購入者を戸別訪問する

 

ステップ 3:CSアンケートの回収、集計分析

設計されたアンケート用紙を印刷し、顧客に配布、回収するのですが、回収枚数は最低200枚を目標とし、回答者には全て謝礼を送付します。また、回収受付の時点で内容を確認し、記入されている要望やクレームなどには適切に対処します。回収されたアンケートは、主要な項目について項目別の単純集計を行った上で、数量化1類により分析し、各項目別の満足度(CSI:Customer Satisfaction Index:顧客満足度指数)を算出します。

この解析の狙いは、

①その商品の総合満足度に最も寄与している要因は何か(顧客の期待度の大きいもの)
②期待度の高い要因の満足度は十分であるか
③総合満足度をより高めるには、どの要因の改善が必要か
④期待度の低い要因は何か

などですが、これらの狙いは、予め決めて解析に取り掛かるのが効果的です。

 

この多変量解析では、総合満足度に対する各調査項目の満足度の偏相関係数を求めると、これが各調査項目(機能)に対する顧客の期待度となりますので、全ての調査項目について、期待度と満足度の散布図「CSポートフォリオ図」を作成し、諸判断の参考にします。

 

ステップ 4:CS調査解析結果の活用

CSアンケート調査によって手に入る下記2種類の情報に対し、それぞれ的確な対応が必要です。

① 非統計的な言語情報(ユーザーの生の声)

統計的処理の出来ない断片的な情報なのですが、多くの商品開発のヒントやアイデアを与えてくれるし、CSアンケート回答者に直接会って、その真意を確かめ、意見を交換することにより、より良い意見やアイデアに発展させることも出来ます。

 

② 統計的な情報(期待度と満足度の相関情報)

CSアンケート結果を数量化1類により分析し、開発時に注力した項目(機能)に対する顧客の期待度とその機能が実現された時に感じる満足度を数値化し、X軸に期待度、Y軸に満足度を配したグラフ「CSポートフォリオ分析図」を作成することにより、顧客の総合満足度を最大にする為の改良開発の方向性を読み取ることができます。以上のステップは、部分的な実行ではその有効性を著しく損ないますので、全てを一貫して実行するため、企画、開発、QC、営業の4部門の担当者が、CSアンケートチームを編成して、開発の最初から協働推進するのが望まれるところです。

 

3.顧客を巻き込ん...

情報マネジメント

 

◆CCS(Customer Communication System)法

CCS法は、「顧客情報処理システムそのもの」とは大きく違い、TQMを「顧客満足度を数量化したCSI(Customer Satisfaction Index:顧客満足度指数)をバロメーターとした、商品開発、生産、販売、サービスの総合的マネジメント」と捉えた全社的質経営改革活動の一環として設計された「総合的顧客情報処理システム」です。

 

1.総合的顧客情報処理システム

「夢商品開発七つ道具(Y7)」が目指す商品の中には、顧客の潜在ニーズに訴えて「こんな商品(機能)が欲しかった」との感動を呼び、新たな市場を生み出すようなものがあります。

 

このような場合、新規性が高ければ高いほど、発売寸前まで情報開示を極力抑える戦略を取らざるを得ないため、十分な事前の市場調査が阻まれますので、細やかな顧客ニーズや、開発者が思いもかけない使われ方に対する把握が不十分となりがちですので、その点に対する改良開発を市場投入直後から実施する必要があるのですが、その点についての的確な対応を目指して開発されたのが「CCS法」です。

 

従って、このCCS法は、名前から来る印象である「顧客情報処理システムそのもの」とは大きく違い、TQMを「顧客満足度を数量化したCSI(Customer Satisfaction Index:顧客満足度指数)をバロメーターとした、商品開発、生産、販売、サービスの総合的マネジメント」と捉えた全社的質経営改革活動の一環として設計された「総合的顧客情報処理システム」である、という点が重要で、具体的な活動内容は次の5点です。

  • 1)CSアンケート調査と解析
  • 2)商品ごとの「CSフリーダイヤル」の設置
  • 3)地域別の「コミュニケーション会議」
  • 4)「CSモニター店」定点観測(パネル調査)
  • 5)ターゲット販売店への重点アプローチ

 

最初にあげた「CSアンケート調査と解析」が最も特徴的であると共に、背景に多くのノウハウが存在しますので、代表してこれを「CCS法」と呼ぶことにし、5つを総合する場合「CCS活動」と表現することにしたいと思います。

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その51)へのリンク】

 

2.CCS法推進ステップとポイント

CCS(Customer Communication System)法は、初期購入ユーザーに感動を与えた商品が、一般ユーザーに高い満足度を持って浸透し、経営の核たり得るヒット商品に進化させるためのものです。以下にその趣旨に沿った推進要領を4つのステップで説明しますので、各ステップの説明趣旨が生きるよう各社の事情に合わせて具体化して頂ければと思います。

 

ステップ 1:CS(Customer Satisfaction)アンケート調査表(略称:CSシート)の作成

顧客は、色々の商品を比較した上で、当該商品の効用や使い勝手の良さを期待しているはずなので、その期待に対し、商品の何処がどの程度の満足を与えることが出来たかを十分に把握することが改良開発には重要ですので、CSシート設計には、開発者、企画者、マーケット担当者、QC担当者が参画し、下記の要領で作成します。

①機能、性能に関する満足度の質問を全てに網羅し、特に重要な項目は前に出す。
②質問項目ごとのユーザー評価は5~7段階とし、全て満足を中心に質問する。
③項目ごとに、適当な箇所に余白を設け、自由にご意見を記述できるようにする。
④購入した直後の意見や状況ではなく、一ヶ月くらいユーザーが実使用してからの体験的意見を聞くようにする。
⑤最初に、このCSアンケートの趣旨が「次のより良い開発に活用する」ことを十分強調する。
⑥項目別の満足度に加え、最後に必ずその項目に対する総合的な満足度を質問する。
⑦従来の愛用者スタイルのアンケートにはしない。

 

ステップ 2:顧客の抽出

一般的な回収率(15%)からすると統計解析に十分な150前後の回収が見込めるので、最初の生産1000台にCSシートを入れておき、下記3つの顧客抽出方法を参考に回収します。

①売店を通じて購入者(回答者)を選ぶ
②愛用者カードの回答者から選ぶ
③購入者を戸別訪問する

 

ステップ 3:CSアンケートの回収、集計分析

設計されたアンケート用紙を印刷し、顧客に配布、回収するのですが、回収枚数は最低200枚を目標とし、回答者には全て謝礼を送付します。また、回収受付の時点で内容を確認し、記入されている要望やクレームなどには適切に対処します。回収されたアンケートは、主要な項目について項目別の単純集計を行った上で、数量化1類により分析し、各項目別の満足度(CSI:Customer Satisfaction Index:顧客満足度指数)を算出します。

この解析の狙いは、

①その商品の総合満足度に最も寄与している要因は何か(顧客の期待度の大きいもの)
②期待度の高い要因の満足度は十分であるか
③総合満足度をより高めるには、どの要因の改善が必要か
④期待度の低い要因は何か

などですが、これらの狙いは、予め決めて解析に取り掛かるのが効果的です。

 

この多変量解析では、総合満足度に対する各調査項目の満足度の偏相関係数を求めると、これが各調査項目(機能)に対する顧客の期待度となりますので、全ての調査項目について、期待度と満足度の散布図「CSポートフォリオ図」を作成し、諸判断の参考にします。

 

ステップ 4:CS調査解析結果の活用

CSアンケート調査によって手に入る下記2種類の情報に対し、それぞれ的確な対応が必要です。

① 非統計的な言語情報(ユーザーの生の声)

統計的処理の出来ない断片的な情報なのですが、多くの商品開発のヒントやアイデアを与えてくれるし、CSアンケート回答者に直接会って、その真意を確かめ、意見を交換することにより、より良い意見やアイデアに発展させることも出来ます。

 

② 統計的な情報(期待度と満足度の相関情報)

CSアンケート結果を数量化1類により分析し、開発時に注力した項目(機能)に対する顧客の期待度とその機能が実現された時に感じる満足度を数値化し、X軸に期待度、Y軸に満足度を配したグラフ「CSポートフォリオ分析図」を作成することにより、顧客の総合満足度を最大にする為の改良開発の方向性を読み取ることができます。以上のステップは、部分的な実行ではその有効性を著しく損ないますので、全てを一貫して実行するため、企画、開発、QC、営業の4部門の担当者が、CSアンケートチームを編成して、開発の最初から協働推進するのが望まれるところです。

 

3.顧客を巻き込んだ商品の進化推進

このCCS法は、新規性の高い商品の効果的な改良開発体制を目指した5つの具体的な活動ですが、活動の中心としたCSアンケートに加えて効果的だったのが、活動の2番目に挙げた「商品ごとの『CSフリーダイヤル』の設置」で、お勧めです。

 

これは、CSアンケートとは別に、新商品別にお客様相談フリーダイヤルナンバーを登録し、その商品生産時にフリーダイヤル電話番号を書いたシートを最初に出荷する一定台数(例えば5万台)の商品に同梱して、顧客が気軽にメーカーに相談し、提案できるようにするものです。

 

一般的なお客様相談フリーダイヤルとの決定的な違いは、電話の受け手が商品開発部門になっていますので、受け手の情報に対する関心度は高く、フリーダイヤル情報は一件ごとに事業部長にまで報告されるようになっており、事業部の幹部が発売当初から直接ユーザーの声を販売店と同時に共有できることになっている点です。

 

このことは、「創造的魅力商品」にありがちな、ユーザーニーズに対する細やかな対応の不十分さに対する的確な把握と迅速な対応が可能となり、CSアンケートの解析結果と相まって顧客を巻き込んだ商品の進化推進に繋がっており、CCS法の重要な要素といえます。

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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