【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その6)なぜ、「言語データ解析」なのか (2)へのリンク】
4.経営者にとっての言語データ解析の必要性
2)将来の経営形態推進に欠かせない(前弾からの続き)
② 新しい経営形態「進化型(ティール)組織」に欠かせない
新しいパラダイムに相応しい経営形態はいかにあるべきかについて、いろんな議論がありますが、人類が歩んできたパラダイムを振り返り、夫々のパラダイムを解き明かすと共に、その夫々のパラダイムが生み出した組織形態に言及して取り纏めたフレデリック・ラルーの著書「ティール組織」(注)にある“進化型(ティール)組織”が最もふさわしいと思います。
(注) 索引も入れると589頁もある上、内容が内容だけに読むのが大変なのですが、企業経営に携わる方にとっては必読の書だと思います。
このティール組織は、現在の一般的な、決定権と責任を担うトップを頂点に置いたヒエラルキー組織とは全く相入れない組織で、権限は組織の最下層のチーム内メンバー一人ひとりが自分の裁量で意思決定をする「自主経営(Self-Management)」が基本で、それを可能にするポイントとして挙げているのが「全体性(Wholeness)」と「存在目的(Evolutionary purpose)」です。
「全体性」は、元々心理学の世界で使われていた言葉で複雑な意味を持っているのですが、ティール組織上では、組織や上司に合わせるための偽りの仮面を被る必要がなく、ありのままの自分で働ける状態を意味します。このような状態に置かれた組織メンバーは、本来持っている情熱や創造性をいかんなく発揮でき、質の高い自主経営ができるという考えです。
「存在目的」は、文字通り、組織(企業)が何のために存在しているのかと言う目的論なんですが、ティール組織が特徴的なのは、組織を生きたシステムと考えている点です。即ち、生きた組織の進化を受けて存在目的も進化すると考えるわけで、組織の進化をいかに読み取るかが大切になります。
要するに、「全体性」をもって「存在目的」を「自主経営」で達成する組織というわけで理想と言えます。
ただ、今のところ、導入ステップ、組織運営についてオーソライズされたものがなく、成功事例の解析から上記のような組織としての理想的なコンセプトが紹介されているのですが、可成り根本的な点での問題点が浮上していますので、その内容と解決策としての言語データ解析について以下にご説明しますので、参考にして頂ければと思います。
ⅰ)ティール組織の問題点
大抵のテーマは上記運営で事足りるわけですが、テーマによっては、関係者の数が多く、結論に対して関係者のコンセンサスが必要なケースも存在するわけです。
その“コンセンサス”について本書は、「魅力的に響く考え方だ。何しろ参加者全員に平等な発言権が与えられるのだから。」としながら「しかし実際には、参加者全員がめいめいに勝手なことを主張する集団的なエゴの嵐に陥ってしまうことが多い。」(フレデリック・ラルーの著書「ティール組織」:P170)と否定的な見解をしているのです。
要するに、コンセンサスは魅力的だが、コンセンサスを得るために、全員に平等な発言権を与えたら参加者全員がめいめいに勝手なことを主張する集団的なエゴの嵐に陥ってしまう点が問題だとしているのです。また、「コンセンサスにはもう一つの欠点がある。責任の所在が希薄になるのだ。」(フレデリック・ラルーの著書「ティール組織」:P171)とことがうまく行かなかった時の責任についても問題だとしているのです。
ⅱ)解決策は言語データの解析
上記に対する解決策は「参加者全員がめいめいに勝手なことを主張する集団的なエゴの嵐」を言語データとして採取して解析することにより、一見バラバラに見える「集団的なエゴの嵐」の背景にある本音を把握することにより“真のコンセンサス”を手に入れることです。
そして、全員の言い分を言語データとして採用して解析した結果を基にした結論の場合、関係者全員が、結論の背景まで十分理解して取り組みますので、結果は間違いなく好結果になり、責任云々といった事態にならないわけで、そのことこそが大切だと思います。
要するに、ティール組織の問題点の解決に言語データの解析が欠かせないということです。