コストダウンの真の解とは 儲かるメーカー改善の急所101項(その75)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 本物のコストダウン

 利益を上げるためにコストを下げる必要が出た時、その具体的な方法として多くの工場で、作業能率の向上に力を入れる改善が行われています。ちょっと極端な言い方をしてしまいますが、この作業能率向上によるコストダウンには、間違った方向に進んでしまう危険性が潜んでいます。作業能率を上げることだけに着目してしまい、能率は上がったものの、在庫が増える結果になった改善活動を多く見掛けてきました。

 例えば、プレス工程でこまめに段取り替えを実行して小ロット生産をしていたものが、段取り替えの回数を減らせば能率が上がると考え、一回の生産ロットサイズを大きくした事例を見たことがあります。計算上、能率は上がりましたが在庫が大幅に増えました。

 あるいは、スピードアップによる作業能率向上に突っ走ってしまう現場もありました。生産性向上を生産スピードの向上と単純解釈してしまい、スピードが上がればコストが下がると思い込んでいる人も多いのです。しかし、いくら速くても在庫が増えれば運搬や管理のコストが増え、キャッシュが減ります。早く作業が終わっても、あとの作業がなければ手持ち無沙汰(ぶたさ)になるだけでコストは下がりません。

 生産性向上とは作業面だけを見ての判断ではなく、運搬や管理まで、そしてキャッシュのことまで考えたトータルの効率向上でないと意味がなくなってしまいます。ゆっくりでいいので、売れるモノを最小の工程で売れただけ作れる「止まらない流れ」を追求するのです。

 

・・・・・・・・・・・・・

 コストダウンとは、両立できないと思われがちな「生産性向上と在庫削減を同時に行う」ところに真の解があります。

今回の言葉   

******...

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 本物のコストダウン

 利益を上げるためにコストを下げる必要が出た時、その具体的な方法として多くの工場で、作業能率の向上に力を入れる改善が行われています。ちょっと極端な言い方をしてしまいますが、この作業能率向上によるコストダウンには、間違った方向に進んでしまう危険性が潜んでいます。作業能率を上げることだけに着目してしまい、能率は上がったものの、在庫が増える結果になった改善活動を多く見掛けてきました。

 例えば、プレス工程でこまめに段取り替えを実行して小ロット生産をしていたものが、段取り替えの回数を減らせば能率が上がると考え、一回の生産ロットサイズを大きくした事例を見たことがあります。計算上、能率は上がりましたが在庫が大幅に増えました。

 あるいは、スピードアップによる作業能率向上に突っ走ってしまう現場もありました。生産性向上を生産スピードの向上と単純解釈してしまい、スピードが上がればコストが下がると思い込んでいる人も多いのです。しかし、いくら速くても在庫が増えれば運搬や管理のコストが増え、キャッシュが減ります。早く作業が終わっても、あとの作業がなければ手持ち無沙汰(ぶたさ)になるだけでコストは下がりません。

 生産性向上とは作業面だけを見ての判断ではなく、運搬や管理まで、そしてキャッシュのことまで考えたトータルの効率向上でないと意味がなくなってしまいます。ゆっくりでいいので、売れるモノを最小の工程で売れただけ作れる「止まらない流れ」を追求するのです。

 

・・・・・・・・・・・・・

 コストダウンとは、両立できないと思われがちな「生産性向上と在庫削減を同時に行う」ところに真の解があります。

今回の言葉   

********************************
 コストは、生産性向上と在庫削減を同時に行えば、例外なく下がる。
********************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

 日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その60)

 前回のその59に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 工場を見る時の視点が異なる  新規取引先を選定する場合、候補先...

 前回のその59に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 工場を見る時の視点が異なる  新規取引先を選定する場合、候補先...


手法よりも考え方 現場改善:発想の転換 (その2)

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として「現場改善:発想の転換」をテーマに解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留(とど...

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として「現場改善:発想の転換」をテーマに解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留(とど...


最強のモノづくり 儲かるメーカー改善の急所101項(その101)

  7、これからのモノづくり経営 ◆ 最強のモノづくり  現在、世界屈指のモノづくり企業も、昔からずっと強かったというわけではありませ...

  7、これからのモノづくり経営 ◆ 最強のモノづくり  現在、世界屈指のモノづくり企業も、昔からずっと強かったというわけではありませ...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
4M管理を知らなかった中国企業 中国企業の壁(その34)

        プレス加工でワークの位置決め方法を変更したにも関わらず、問題点の有無を検証していなかった事例を前回紹介しました。なぜ変更後による問題...

        プレス加工でワークの位置決め方法を変更したにも関わらず、問題点の有無を検証していなかった事例を前回紹介しました。なぜ変更後による問題...


品質改善、現場との関係とは

        今回は、改善活動、定着の初期段階のことです。    生産部門の品質が悪く品質部門で現場改善を行っていて、品質リスクアセスメントで...

        今回は、改善活動、定着の初期段階のことです。    生産部門の品質が悪く品質部門で現場改善を行っていて、品質リスクアセスメントで...


部品加工メーカーのチャージ計算とは

    今回は、企業規模に関係なく相談の多い、部品加工メーカーにおけるチャージ計算について解説します。チャージとは、時間あたりの加工...

    今回は、企業規模に関係なく相談の多い、部品加工メーカーにおけるチャージ計算について解説します。チャージとは、時間あたりの加工...