7、これからのモノづくり経営
前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その87)求められる人材と組織に続いて、解説します。
◆ 付加価値:製品は“魅力品質”で考える
モノづくりの歴史を振り返ると、まだモノが十分に行き届いていない時は、作ればすべて売れてしまうような状態で、プロダクトアウトと呼ばれていました。しかし競争が激しくなり、お客様のご要望に応えようと多くの企業が工夫をし始めると品種が増え、売れはするけれど、どれが売れるかは分からない時代に変わりました。この時代はマーケットインと呼ばれています。
しかしその時代も更に変化していて、本当に魅力的なモノでなければ、安くても誰も買ってくれないという分野は既に登場しています。これからはこの傾向が広まるといわれていて、その時代をアイリスオーヤマの大山健太郎会長はユーザーインと名付けておられます。
これから来るであろう、そのような時代にモノづくりの私たちはどう対応するかについて、花を例にして考えてみたいと思います。
花を作って売ろうとするとき、安くすればもっと売れるだろうと、ある人は大量生産を考えるでしょう。
一方で、珍(めずら)しい花を栽培すれば、もっと高く売れると考える人や、これまでにない新種を開発すれば儲(もう)かると考える人もいるでしょう。ただしそのようなことは凄(すご)い技術力やお金がかかるので、やはり生産性を上げるなどのコストダウンで「100本まとめていくら」の花づくりをする人は多いのではないかと思います。
しかしモノを作ることにだけ目を向けていると、見えない大切なことがあります。たった1本の花でも、綺麗(きれい)にラッピングしてリボンを結べば、手作りの心がこもった商品ができます。品種開発は極一握りの人にしかできないことですが、花屋さんは全国にたくさんあります。
これまでのお客様は流通業者であったかもしれませんが、本当に使うお客様をみて、製品を機能品質でなく、魅力品質で考えることにチャレンジすることが大切だ...
今回の言葉
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花をつくって売るには、安く大量につくるだけが方法ではない。
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」
日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫