強いモノづくりに必要なこと 儲かるメーカー改善の急所101項(その79)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 人も設備も多能工化

 プロダクトアウトと呼ばれ、同じものを作れば作っただけすべて売れてしまう時代がありました。少品種多量生産の時代です。

 例えば、1908年に発売されたT型フォードは1927年までの約20年間、基本的にモデルチェンジしなかったにもかかわらず、ライバルがいなかったため売れ続けたそうです。しかしこれは昔のことで、工業化社会の最初のころに限った話だと思います。「思います」と書いたのは、私は今70歳なのですが、それでもそのようなものを見た経験がないのです。

 同じものを多量に作り続けるのであれば、各工程ごとに専用機を並べて、作業者もシンプルに同じ作業だけを繰り返し行った方が効率は上がります。しかし、私たちは多品種変量生産となってマーケットインと呼ばれる時代に生きています。多品種変量生産を行うのであれば、人も設備も、できるだけ臨機応変に対応できる「変幻自在の体制」を作らなければ、とても対応できません。

 しかし、残念なことにすべての工場のレイアウトや生産計画の運営がそのような形になっているとは限りません。昔ながらのレイアウトのままで、大変にムダの多い生産をしている工場や、こまめに作れないので大量の在庫を抱えて生産している工場はあるのです。

 

 度たび例に出していますが、寿司屋の板前さんは、目の前のお客様の注文に応じて、包丁一本で魚を切り分けて刺身や握り、チラシ寿司などをつくり、お待たせすることなく提供してくれます。

 大きな寿司屋さんでも刺身だけを作る専門の人などいないですし、魚を三枚におろす専用機などを使っていることはありません。お客さんが多いカウンターには、別の板前さんが応援に入ればすぐに対応が可能です。

 一人の人でどれだけ多くの工程をこなせるか…。一つの設備で何種類の工程を行えるか…。それだけしかできないという単能工や専用の設備をなくして、いろいろなことができる「多能工化」され...

生産マネジメント

 

6、強いモノづくり

◆ 人も設備も多能工化

 プロダクトアウトと呼ばれ、同じものを作れば作っただけすべて売れてしまう時代がありました。少品種多量生産の時代です。

 例えば、1908年に発売されたT型フォードは1927年までの約20年間、基本的にモデルチェンジしなかったにもかかわらず、ライバルがいなかったため売れ続けたそうです。しかしこれは昔のことで、工業化社会の最初のころに限った話だと思います。「思います」と書いたのは、私は今70歳なのですが、それでもそのようなものを見た経験がないのです。

 同じものを多量に作り続けるのであれば、各工程ごとに専用機を並べて、作業者もシンプルに同じ作業だけを繰り返し行った方が効率は上がります。しかし、私たちは多品種変量生産となってマーケットインと呼ばれる時代に生きています。多品種変量生産を行うのであれば、人も設備も、できるだけ臨機応変に対応できる「変幻自在の体制」を作らなければ、とても対応できません。

 しかし、残念なことにすべての工場のレイアウトや生産計画の運営がそのような形になっているとは限りません。昔ながらのレイアウトのままで、大変にムダの多い生産をしている工場や、こまめに作れないので大量の在庫を抱えて生産している工場はあるのです。

 

 度たび例に出していますが、寿司屋の板前さんは、目の前のお客様の注文に応じて、包丁一本で魚を切り分けて刺身や握り、チラシ寿司などをつくり、お待たせすることなく提供してくれます。

 大きな寿司屋さんでも刺身だけを作る専門の人などいないですし、魚を三枚におろす専用機などを使っていることはありません。お客さんが多いカウンターには、別の板前さんが応援に入ればすぐに対応が可能です。

 一人の人でどれだけ多くの工程をこなせるか…。一つの設備で何種類の工程を行えるか…。それだけしかできないという単能工や専用の設備をなくして、いろいろなことができる「多能工化」された人や設備を増やすことでモノづくりは強くなるのです。

 

今回の言葉   

***********************
 多品種変量生産には、人も設備も多能工化せよ。
***********************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

 日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
儲かる現場づくりとは:現場改善のヒント(その1)

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...


商売繁盛に向けた「ものづくり改善」(その1)

    【商売繁盛に向けた「ものづくり改善」連載目次】 1. 視座の高さを変えて「流れ」を見る 2. 製造―営業 連携 ...

    【商売繁盛に向けた「ものづくり改善」連載目次】 1. 視座の高さを変えて「流れ」を見る 2. 製造―営業 連携 ...


中国工場での従業員教育の進め方 中国工場の品質改善(その51)

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】 【第1章】中国進出での失敗事例 【第2章】中国工場の実状を知る 【第3章】中国工...

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】 【第1章】中国進出での失敗事例 【第2章】中国工場の実状を知る 【第3章】中国工...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
金型の組み立てを効率的に行う方法について

        今回は金型の組み立て作業を効率的に行う方法について解説します。この工程は、確認することも多く...

        今回は金型の組み立て作業を効率的に行う方法について解説します。この工程は、確認することも多く...


完全3次元設計 伸びる金型メーカーの秘訣 (その11)

   今回、紹介する金型メーカーは、株式会社Hの工場、金型課です。同課のスタッフは12名。扱う主要製品は、自動車部品が中心であり、製作している...

   今回、紹介する金型メーカーは、株式会社Hの工場、金型課です。同課のスタッフは12名。扱う主要製品は、自動車部品が中心であり、製作している...


小集団活動での課題解決とは

        今回は、現場の小集団活動でメンバーの改善への参加度に積極性を感じない、また、解決のアイデアが出ない、このような課題を想定して、課題解...

        今回は、現場の小集団活動でメンバーの改善への参加度に積極性を感じない、また、解決のアイデアが出ない、このような課題を想定して、課題解...