物の動かし方 儲かるメーカー改善の急所101項(その60)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

5、設備改善の基本

◆ 物の動かし方

 私は「からくり」のカイゼンが大好きです。センサーとモーターを使っての自動化など、もちろんカイゼンには欠かせませんが、目の前でシンプルな構造で動く「からくり」カイゼンを見るとやはり心が躍ります。

 そういった目で見た時、からくりとはいえないかもしれませんが、重力を使った移動のカイゼンを見つけると興奮してしまいます。

 わずか500グラムの物であっても、一日中繰り返して持ち上げたり降ろしたりすると大変な労力になります。一方、1トンの重さがあっても、レールの上を台車で滑らせれば軽々と動かすことができます。

 自然の摂理で分かっているはずのことでも、わざわざ持って運んだり、上げ下ろしに労力を使っている工場は大変に多いのです。

 フォークリフトなど機械を使っているところも多いのですが、工場内の運搬とは前工程から後工程への横移動なのですから、基本的に滑らせることだといえます。高さを揃えて滑らせることができればいいのです。

 さらに言えば、傾斜があればものは何もしないでも動きます。後工程に渡すときに傾斜があれば動力を使わずタダで運べます。傾斜が無くても、コンベアなどを使えば軽い力で移動させることが可能です。

 

 物を運ぶという作業は、いったん持ち上げてから運ぶのであれば大変な作業です。工場の中にある作業で一番疲れる作業かもしれません。しかし、いくらたくさん運んでも一円も付加価値は増えないのですから、極力、人手や動力を使わないことを考えましょう。

今回の言葉 ...

生産マネジメント

 

5、設備改善の基本

◆ 物の動かし方

 私は「からくり」のカイゼンが大好きです。センサーとモーターを使っての自動化など、もちろんカイゼンには欠かせませんが、目の前でシンプルな構造で動く「からくり」カイゼンを見るとやはり心が躍ります。

 そういった目で見た時、からくりとはいえないかもしれませんが、重力を使った移動のカイゼンを見つけると興奮してしまいます。

 わずか500グラムの物であっても、一日中繰り返して持ち上げたり降ろしたりすると大変な労力になります。一方、1トンの重さがあっても、レールの上を台車で滑らせれば軽々と動かすことができます。

 自然の摂理で分かっているはずのことでも、わざわざ持って運んだり、上げ下ろしに労力を使っている工場は大変に多いのです。

 フォークリフトなど機械を使っているところも多いのですが、工場内の運搬とは前工程から後工程への横移動なのですから、基本的に滑らせることだといえます。高さを揃えて滑らせることができればいいのです。

 さらに言えば、傾斜があればものは何もしないでも動きます。後工程に渡すときに傾斜があれば動力を使わずタダで運べます。傾斜が無くても、コンベアなどを使えば軽い力で移動させることが可能です。

 

 物を運ぶという作業は、いったん持ち上げてから運ぶのであれば大変な作業です。工場の中にある作業で一番疲れる作業かもしれません。しかし、いくらたくさん運んでも一円も付加価値は増えないのですから、極力、人手や動力を使わないことを考えましょう。

今回の言葉   

***************************
 物を持って運ばない。移動させるのに動力を使わない。
***************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

 日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 



   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
コストダウンの真の解とは 儲かるメーカー改善の急所101項(その75)

  6、強いモノづくり ◆ 本物のコストダウン  利益を上げるためにコストを下げる必要が出た時、その具体的な方法として多くの工場で、作...

  6、強いモノづくり ◆ 本物のコストダウン  利益を上げるためにコストを下げる必要が出た時、その具体的な方法として多くの工場で、作...


中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その56)

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】 【第1章】中国進出での失敗事例 【第2章】中国工場の実状を知る 【第3章】中国工...

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】 【第1章】中国進出での失敗事例 【第2章】中国工場の実状を知る 【第3章】中国工...


安定生産品と特注品が混在する受注生産工場の製造原価低減策

   近年、中小製造業は受注品の多品種少量生産化傾向の中で、様々な課題が浮き彫りになっています。長期にわたって継続する安定生産品と断続的な小ロ...

   近年、中小製造業は受注品の多品種少量生産化傾向の中で、様々な課題が浮き彫りになっています。長期にわたって継続する安定生産品と断続的な小ロ...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
公平を求めてはいけない中国企業との合弁 中国企業の壁(その26)

        今回は、中国企業との合弁についてです。「中国企業との合弁では、公平な利益配分は求めてはいけない」ということです。    中国で事...

        今回は、中国企業との合弁についてです。「中国企業との合弁では、公平な利益配分は求めてはいけない」ということです。    中国で事...


金型メーカーにおける「多能工化」の真の目的とは

   今回は、私が金型メーカーでよくお話しをさせていただく「多能工化」の本当の目的についてまとめてみたいと思います。まず前提として、金型メーカ...

   今回は、私が金型メーカーでよくお話しをさせていただく「多能工化」の本当の目的についてまとめてみたいと思います。まず前提として、金型メーカ...


製造業の価格交渉とは (タフネゴシエーターの名言)(その2)

        前回のその1に続いて解説します。    常々、私が思っていることですが、どんな...

        前回のその1に続いて解説します。    常々、私が思っていることですが、どんな...