普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その167) 体感での思考とアナロジーとの関係

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普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その167) 体感での思考とアナロジーとの関係

これまでアナロジーと体感についての解説を行い「アナロジーは新しい思考空間へのドア/体感は新しい思考空間で発想を多いに広げるツール」と述べました。しかし、それまで体感を経由して得た経験・知識を活用して新しい思考空間で発想を広げる機会は、アナロジーだけではないように思えます。前回から、アナロジーを含めて体感を活用して「思考の扉を増やす」様々な機会について考えています。今回はその中で「他人」という思考の扉について、どのように思考の扉を増やすのかを考えます。

 

1. 対象の「他人」を具体的にイメージする

まずは、理解しようとする「他人」を、一般論のレベル、例えばアメリカ人ではなく、例えばドナルド・トランプや名前を知らなくても目の前に存在する固有名詞を持った具体的な個人として他人を明確にイメージすることが必要です。なぜなら、一般論のレベルでは、その「思考の扉」の先の世界は、極めて曖昧、たとえば映像として想像することは難しく、連想が広がりません。

 

一方で、具体的な個人を対象とすると、映像などで明確にイメージでき「思考の扉」の先の世界は、そこから過去の記憶が連想で思い出されたりすることで、どんどん広がっていきます。

 

2. その対象の「他人」を深く理解しようとする気持ちを持つ

具体的な個人のレベルで対象の「他人」を絞り込むと、そこには自分自身との関係性が生まれ、その関係性にどうしても意識が向いてしまい、その関係性でその個人を「感情的に」評価するということが起こってしまします。

 

たとえば「トランプは嫌い」だとか「トランプは何を馬鹿なことをしたんだ」といったことです。我々人間は、感情の生き物ですので、そういう「感情的に」評価をするということが心理的に起こってしまうのですが「思考の扉」としてその他人を理解しようとするなら、決して感情に支配されてはいけません。

 

ここでの我々の目的は、その「他人」がどうあれ、その「他人」という「思考の扉」の向こうには、どのような世界があるかを理解することですので、その「他人」が好きであろうが、嫌いであろうが、その「他人」個人の世界をありのままに理解することです。

 

3. その対象の「他人」の言動の背後にあるその人物そのものに関心の対象をシフトする

したがって、関心の対象をその人についての感情的評価から、その感情的評価を引き起こしたその人の言動、さらには、その言動の背後にあるその人物そのものにシフトすることが必要です。私自身も、トランプはなぜあんなとんでもない人物が米国の大統領になるんだ、とついつい感情的な評価をしてしまうのですが、そうではなく、なぜ彼はあのような言動をとるのかに関心をシフトするということです。

 

4. 対象の「他人」とのコミュニケーションの時間をとる覚悟をする

その対象の「他人」という「思考の扉」の向こうの世界を深く理解することは、決して簡単ではありません。そのためには、その「他人」とのコミュニケーションの時間をとる覚悟をし、そして実際にコミュニケーションをとるということが必要です。

 

目の前の人が対象であれば、その人に話を聞くという具体的なコミュニケーションができるのですが、たとえばトランプの例では、また故人では、そのようなことはほとんど不可能です。そのような場合には、常にその人物の言動に注意し、またその人物について明らかになっている公開情報を調べてみるということをしてみましょう。

 

ただし、その人物が有名人で実際に会うのは難しいと感じても、実際に会うという労をとってみるという積極的な行動をとるということを考えて見て良いかもしれません。私の友人にアマゾンの創業者のジェフ・ベゾスに関心を持ち、もう20年以上の前の話ですが、彼はジェフ・ベゾスにメールを送り、実際に彼に会って話を聞いてきたという人物がいます(それがきっかけで、彼はジェフ・ベゾス個人から、アマゾンの日本の幹部にヘッドハントされました)。

 

5. その人物になってみる

映画を見たり、小説を読んだりすると、実際にはその登場人物になったつもりで、観ている・読んでいるのですが、それを対象の「他人」に対してもやってみることは有効です。まさに英語で言う「put you...

普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その167) 体感での思考とアナロジーとの関係

これまでアナロジーと体感についての解説を行い「アナロジーは新しい思考空間へのドア/体感は新しい思考空間で発想を多いに広げるツール」と述べました。しかし、それまで体感を経由して得た経験・知識を活用して新しい思考空間で発想を広げる機会は、アナロジーだけではないように思えます。前回から、アナロジーを含めて体感を活用して「思考の扉を増やす」様々な機会について考えています。今回はその中で「他人」という思考の扉について、どのように思考の扉を増やすのかを考えます。

 

1. 対象の「他人」を具体的にイメージする

まずは、理解しようとする「他人」を、一般論のレベル、例えばアメリカ人ではなく、例えばドナルド・トランプや名前を知らなくても目の前に存在する固有名詞を持った具体的な個人として他人を明確にイメージすることが必要です。なぜなら、一般論のレベルでは、その「思考の扉」の先の世界は、極めて曖昧、たとえば映像として想像することは難しく、連想が広がりません。

 

一方で、具体的な個人を対象とすると、映像などで明確にイメージでき「思考の扉」の先の世界は、そこから過去の記憶が連想で思い出されたりすることで、どんどん広がっていきます。

 

2. その対象の「他人」を深く理解しようとする気持ちを持つ

具体的な個人のレベルで対象の「他人」を絞り込むと、そこには自分自身との関係性が生まれ、その関係性にどうしても意識が向いてしまい、その関係性でその個人を「感情的に」評価するということが起こってしまします。

 

たとえば「トランプは嫌い」だとか「トランプは何を馬鹿なことをしたんだ」といったことです。我々人間は、感情の生き物ですので、そういう「感情的に」評価をするということが心理的に起こってしまうのですが「思考の扉」としてその他人を理解しようとするなら、決して感情に支配されてはいけません。

 

ここでの我々の目的は、その「他人」がどうあれ、その「他人」という「思考の扉」の向こうには、どのような世界があるかを理解することですので、その「他人」が好きであろうが、嫌いであろうが、その「他人」個人の世界をありのままに理解することです。

 

3. その対象の「他人」の言動の背後にあるその人物そのものに関心の対象をシフトする

したがって、関心の対象をその人についての感情的評価から、その感情的評価を引き起こしたその人の言動、さらには、その言動の背後にあるその人物そのものにシフトすることが必要です。私自身も、トランプはなぜあんなとんでもない人物が米国の大統領になるんだ、とついつい感情的な評価をしてしまうのですが、そうではなく、なぜ彼はあのような言動をとるのかに関心をシフトするということです。

 

4. 対象の「他人」とのコミュニケーションの時間をとる覚悟をする

その対象の「他人」という「思考の扉」の向こうの世界を深く理解することは、決して簡単ではありません。そのためには、その「他人」とのコミュニケーションの時間をとる覚悟をし、そして実際にコミュニケーションをとるということが必要です。

 

目の前の人が対象であれば、その人に話を聞くという具体的なコミュニケーションができるのですが、たとえばトランプの例では、また故人では、そのようなことはほとんど不可能です。そのような場合には、常にその人物の言動に注意し、またその人物について明らかになっている公開情報を調べてみるということをしてみましょう。

 

ただし、その人物が有名人で実際に会うのは難しいと感じても、実際に会うという労をとってみるという積極的な行動をとるということを考えて見て良いかもしれません。私の友人にアマゾンの創業者のジェフ・ベゾスに関心を持ち、もう20年以上の前の話ですが、彼はジェフ・ベゾスにメールを送り、実際に彼に会って話を聞いてきたという人物がいます(それがきっかけで、彼はジェフ・ベゾス個人から、アマゾンの日本の幹部にヘッドハントされました)。

 

5. その人物になってみる

映画を見たり、小説を読んだりすると、実際にはその登場人物になったつもりで、観ている・読んでいるのですが、それを対象の「他人」に対してもやってみることは有効です。まさに英語で言う「put yourself in his/her shoes」です。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

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