自社のコア技術の補完技術をどう探すか 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その30)

更新日

投稿日

 この解説では、KETICモデルの最初の知識(Knowledge)の中の技術の知識の解説をしていますが、今回は、前回で議論した外部技術の活用法の内、「その1:自社のコア技術の補完技術」をどう探すかについて解説します。
 
 「自社のコア技術の補完技術」を探す方法として、まず一つ目に、外部に自社のコア技術情報を発信し、外部からの自社へのアプローチを促進し、その後当該対象者との間の議論を深化させるプロセスの構築があります。
 
 技術マネジメント
 

1. 方法1:コア技術情報の発信、外部からのアプローチ、更なる議論の深化のプロセスの構築

 

(1) 外部の人達の技術知識を活用する

 
 前回の解説では、自社のコア技術とスパークを起こす外部の技術の「収集・蓄積」という言葉を使っているのですが、実は自社で収集・蓄積をしなくても、外部にある知識をそのまま活用してスパークを起こす状況を作ってしまおうというのが、ここでのポイントです。
 
 オープンイノベーションの提唱者である、ヘンリー・チェスブローは、その著書の中で、「P&Gは8,600人の研究者を雇用しイノベーションに努めている。しかし、社外には150万人の研究者がいる。社内ですべてのイノベーションを行うのは合理的だろうか。」(「OPEN INNOVATION ハーバード流イノベーション戦略のすべて」、ヘンリー・チェスブロー著(大前恵一朗訳)、P.11」-一部文言変更)と言っていますが、外部に存在する研究者に自社のコア技術を活用することを考え提案してもらおうということです。
 
 そのための方法が、自社のコア技術を外部に効果的に発信し、外部の人達の頭を刺激し、外部から自社にアプローチしてもらい、更にお互いに議論を深め知識を深化させスパークを実現するというプロセスを構築することです。
 

(2) 自社のコア技術を効率的・効果的に発信し、外部の人達の頭を刺激する

 
 外部の人達の頭を刺激するためには、まずは自社のコア技術を効率的・効果的に発信し、できるだけ数多くの人達を刺激しなければなりません。この「効率的」の部分に関してですが、幸いなことに現在ではインターネットという武器があります。
 
 自社のウェブサイト上に自社のコア技術を掲載することで、誰でも、どこでも外部の人達は自社のコア技術の情報にアクセスできるようになります。
 
 しかし、ここで大切な点が、外部の人達は多様であり、またどこにいるのかは未知であるということです。多様というのは、そのニーズの内容、自身のニーズの明確度、業界、担当業務、その技術についての精通度、使用言語、場所などについて、大きなばらつきがあることです。
 
 未...
 この解説では、KETICモデルの最初の知識(Knowledge)の中の技術の知識の解説をしていますが、今回は、前回で議論した外部技術の活用法の内、「その1:自社のコア技術の補完技術」をどう探すかについて解説します。
 
 「自社のコア技術の補完技術」を探す方法として、まず一つ目に、外部に自社のコア技術情報を発信し、外部からの自社へのアプローチを促進し、その後当該対象者との間の議論を深化させるプロセスの構築があります。
 
 技術マネジメント
 

1. 方法1:コア技術情報の発信、外部からのアプローチ、更なる議論の深化のプロセスの構築

 

(1) 外部の人達の技術知識を活用する

 
 前回の解説では、自社のコア技術とスパークを起こす外部の技術の「収集・蓄積」という言葉を使っているのですが、実は自社で収集・蓄積をしなくても、外部にある知識をそのまま活用してスパークを起こす状況を作ってしまおうというのが、ここでのポイントです。
 
 オープンイノベーションの提唱者である、ヘンリー・チェスブローは、その著書の中で、「P&Gは8,600人の研究者を雇用しイノベーションに努めている。しかし、社外には150万人の研究者がいる。社内ですべてのイノベーションを行うのは合理的だろうか。」(「OPEN INNOVATION ハーバード流イノベーション戦略のすべて」、ヘンリー・チェスブロー著(大前恵一朗訳)、P.11」-一部文言変更)と言っていますが、外部に存在する研究者に自社のコア技術を活用することを考え提案してもらおうということです。
 
 そのための方法が、自社のコア技術を外部に効果的に発信し、外部の人達の頭を刺激し、外部から自社にアプローチしてもらい、更にお互いに議論を深め知識を深化させスパークを実現するというプロセスを構築することです。
 

(2) 自社のコア技術を効率的・効果的に発信し、外部の人達の頭を刺激する

 
 外部の人達の頭を刺激するためには、まずは自社のコア技術を効率的・効果的に発信し、できるだけ数多くの人達を刺激しなければなりません。この「効率的」の部分に関してですが、幸いなことに現在ではインターネットという武器があります。
 
 自社のウェブサイト上に自社のコア技術を掲載することで、誰でも、どこでも外部の人達は自社のコア技術の情報にアクセスできるようになります。
 
 しかし、ここで大切な点が、外部の人達は多様であり、またどこにいるのかは未知であるということです。多様というのは、そのニーズの内容、自身のニーズの明確度、業界、担当業務、その技術についての精通度、使用言語、場所などについて、大きなばらつきがあることです。
 
 未知というのは、その対象の多様性が現時点ではわかっていないということです。
 
 このような未知な多様性に対応できないと、外部で活用できる知識の幅や量は大きく減殺されてしまいますし、むしろより正確に言うと、この未知の多様性を自社のものとすることこそが、ここでの目的です。したがって、この未知の多様性に対応するための工夫が極めて重要となってきます。
 
 次回は未知の多様性に対応するための工夫について、解説します。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
社員全員がオープン・イノベーターを目指すには  研究テーマの多様な情報源(その27)

   前回のその26に続いて解説します。マーケティングの世界で、「社員全員がマーケター」という言葉があります。すなわち、マーケティング部門だけ...

   前回のその26に続いて解説します。マーケティングの世界で、「社員全員がマーケター」という言葉があります。すなわち、マーケティング部門だけ...


『価値づくり』の研究開発マネジメント (その20)

    今回はオープンイノベーションに抵抗する心理として、NIH(Not Invented Here)シンドロームについて解説します。 ...

    今回はオープンイノベーションに抵抗する心理として、NIH(Not Invented Here)シンドロームについて解説します。 ...


技術戦略 研究テーマの多様な情報源(その33)

  前回の『価値づくり』に向けての三位一体の技術戦略 第3回では、個人単位でテーマ創出のためのスパーク(革新的アイデアの創出)を起こす重要...

  前回の『価値づくり』に向けての三位一体の技術戦略 第3回では、個人単位でテーマ創出のためのスパーク(革新的アイデアの創出)を起こす重要...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
品質の仕組みとは2 プロジェクト管理の仕組み (その28)

 品質の仕組み、前回に続いて解説します。今回は、品質計画についてです。    計画の重要性は ISO9001でも「品質計画」として強調されて...

 品質の仕組み、前回に続いて解説します。今回は、品質計画についてです。    計画の重要性は ISO9001でも「品質計画」として強調されて...


設計改善研究会の成果 伸びる金型メーカーの秘訣 (その39)

        今回、紹介する機械装置メーカーは、株式会社 K製作所です。同社は、自動車メーカーや工作機械メ...

        今回、紹介する機械装置メーカーは、株式会社 K製作所です。同社は、自動車メーカーや工作機械メ...


管理力より技術力を磨け

【ものづくり企業のR&Dと経営機能 記事目次】 管理力より技術力を磨け 技術プラットフォームの重要性 手段としてのオープンイノベーション...

【ものづくり企業のR&Dと経営機能 記事目次】 管理力より技術力を磨け 技術プラットフォームの重要性 手段としてのオープンイノベーション...