ここで、人財育成について触れます。クリーン化と人財育成、安全は密接な関係にあると考えています。クリーン化の現場診断・指導で訪問した海外の工場人財育成についていくつか紹介します。
【その場で指導する(シンガポールの例)】
お互いに連絡を取って日時を決めてあったのですが、当日工場に入ったところ、「急な会議が入ってしまった。現地のマネージャーが対応するので、予定通り巡回して欲しい」と言うことだった。他にもいくつか工場があるので、予定が狂わないようにと言う配慮だった。その時の様子を紹介します。
現地のマネージャーは、日本語もできるので、現場巡回には問題はなかった。現場である不具合を見つけた。それを指摘し、説明している時に異様な雰囲気を感じた。周囲の作業者が、こちらを見ているのです。
どうしたのかと思いながら、そのマネージャーに、「次はどこを見ますか」、と聞くと、「あの設備を見てください」と言うので、その設備のところに行って診断を始めた。
ところがそういうマネージャーが来ないのです。振り返ってみると、私が先ほど指摘したところに、こちらを見ていた周囲の作業者が集まっていた。その様子を見ていると、「先ほど先生が指摘したところはここです。」と言って不具合理由を説明していた。
この時、その場で指導していることに気が付いた。これは非常に価値があるのです。
良くあるのは、現場診断、指導が終了すると、「今日の現場診断は終了しました。〇〇時から報告会があるので、関係者は〇〇会議室に集まってください」と言うようなアナウンスがあり、そこで指摘内容などが公開されるというケースです。
その会議に出席した人で、指摘内容が気になる人は、会議終了後すぐに現場に入るでしょう。でも、時間が経過しているので、その不具合を誰かが取り除いているかも知れません。発塵粉の堆積なら、その場を通った作業者が偶然気が付いて、雑巾で拭き取ってしまうかも知れません。
クリーン化の最初のところで、“現場とはその場に現れる“と書きました。
つまり不具合を発見したその場です。でも“態は変化する“とも書きました。時間が経てば状態は変わってしまうので、後で見に行っても、証拠が消えているかも知れません。従って、現場の人に、その場を見せて指導するということは非常に価値があります。
勤務の時間帯によっては、全員ではないですが、その場にいた人たちだけにでも指導できるのです。あるいは、その報告会の内容を翌日の朝会で連絡しても、勤務版が変わっているかも知れない。また証拠が消えているかも知れないので、言っただけ、聞いただけになってしまいます。情報がかなり薄くなってしまいます。
私も、違う現場では、周囲に作業者がいれば、見てもらいましょうと、担当者に言う時もあります。もちろん直...