これまで設備や付帯設備について触れてきました。それらについてのメンテナンスについて、下図で簡単にまとめます。
メンテナンスはどこからどこまでを指すのか?その会社、部門によってもきちんとした定義や決まりがないところもあるでしょう。メンテナンスメンバーも、不具合箇所を修理し、動くようにした。それだけで良いでしょうか。
メンテナンス作業中は、対象設備を停止するという感覚だけでなく、生産も止まります。それを考え、短時間で動くようにするという意識が働くと思います。ところが、作業後に結束バンドの切れ端が散らかっているのを見かけることがあります。またネジや座金が同様に設備内に落下している場合もあります。
メンテナンス作業後はそれらの確認、除去もきちんとしないと、それらが原因で、また設備が停止するかも知れません。急いでやったのに、トラブルの原因を作って、またやり直しということです。
具体的には、上図にまとめたようなトラブルです。
これらの頻度が多いと、単に設備が停止するだけでなく、設備の寿命も短くなることが考えられます。安定稼働ができないうえ、その先には、減価償却の問題もあります。つまり設備が安定して動き続ければ、製品が安価にできるので、利益が増えるのです。
メンテナンス作業を始める時に、設備によっては、排気や配管類のバルブを閉める場合があります。これを元に戻すのを忘れ、現場に引き渡してしまった例や、気が付かずに暫く生産していた例もあります。これは、品質、安全にも影響します。
メンテナンス作業を終える時は、その場の環境を見直すことに加え、素手で作業したり、手袋に汚れが付いた状態で作業した場合もあるので、設備をクリーニングしてから現場に引き渡したい。この部分までルール化、標準化してあるところもあるが、その作業者の心配りに委ねられている場合もあります。
後者の場合は、メンテナンス作業者にばらつきがあり、そこまで考えない人もいるので、標準化しておきたい。これは、設備メーカーに修理を依頼した場合も同じです。メーカーの方でも、個人の配慮があるか否かによる違いもあります。
派遣元の考え方でも違いが出るので、作業開始前に標準をもとに、相互に確認することが重要です。
【不具合事例の紹介】
1)クリーン化パトロールの時、設備内部に配線の切れ端を発見した。
それを指摘したところ、「メーカーの人が設備を立ち上げた時に清掃、片付けをしなかった。最初からで、今から処置できない。パトロールの度に指摘されて現場も迷惑です」という例です。これは、相互に確認しておきたいことです。またメンテナンス担当もメーカーの立ち上げに立ち会うとか、終了時に確認して、不具合があれば指摘して、きちんと片づけてもらうことです。やりっ放しにはしないことです。
2)クリーンルームではないですが、製造現場の工事を外部業者に依頼した。
この時持ち込んだ脚立に土がついていて、現場に土の塊がいくつか落ちた。その時、これでは仕事ができないと、現場の作業者が掃除をした。暫くして、その業者は、職場の管理職に、「工事は終了しました」と言って帰った。後でその現場を確認したところ、ドリルで削ったゴミや、加工した時に出たプラスチックのゴミが散乱していた。一部は、壁側のロッカーの上にも堆積していた。
外部業者でも、日ごろの仕事環境によっても違いがあるので、依頼する場合は、良く説明、確認が必要です。そして立ち合うこともしないといけないです。片付けや掃除は当然だろうと思っても、環境の違う仕事の中で育ったので、おのずと違うわけです。
3)たくさんの業者が入って、乱流式のクリーンルームの一部を工事するところがあり、私にクリーンルームについて業者に教育をして欲しいとの依頼があった。
その会社に出かけ、クリーンルームとは、防塵衣を着用して作業をする奇麗な部屋だから、丁寧に作業をして欲しいという話をした。業者に色々聞いてみると、一部の方は、クリーンルームの中では、危険な薬品を扱うところなので、自...