クリーン化について(その160)クリーン化の基礎(その22)クリーン化4原則

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クリーン化について(その160)クリーン化の基礎(その22)クリーン化4原則

【目次】

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    ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。

     

    高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。

    クリーン化について(その160)クリーン化の基礎(その22)クリーン化4原則

    ・前回の クリーン化について(その159)クリーン化の基礎(その21)の続きです。

    クリーンルームの中での最大の発生源、汚染源は人です。クリーン化4原則はその人に着目しています。

    ◆ クリーン化4原則について

    図1.のクリーン化4原則について個別に解説します。

     

    クリーン化について(その160)クリーン化の基礎(その22)クリーン化4原則

    図1. クリーン化4原則 

     

    元々はクリーンルームのことを対象にしているので、“クリーンルームの4原則”と表現する場合もありますが、私は、もう少し広義に捉え、クリーン化と表現しています。2000年に赴任した山形県の工場では、クリーンルームではない作業エリアからも指導要請がありました。その頃から、やがてこういう時が来るんだろうと思い、要請があれば積極的に診断、指導、アドバイスを行っていました。これまでの体験や経験からクリーンルームの有無に関係なく、基本的な考え方は相互...

    クリーン化について(その160)クリーン化の基礎(その22)クリーン化4原則

    【目次】

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      ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。

       

      高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。

      クリーン化について(その160)クリーン化の基礎(その22)クリーン化4原則

      ・前回の クリーン化について(その159)クリーン化の基礎(その21)の続きです。

      クリーンルームの中での最大の発生源、汚染源は人です。クリーン化4原則はその人に着目しています。

      ◆ クリーン化4原則について

      図1.のクリーン化4原則について個別に解説します。

       

      クリーン化について(その160)クリーン化の基礎(その22)クリーン化4原則

      図1. クリーン化4原則 

       

      元々はクリーンルームのことを対象にしているので、“クリーンルームの4原則”と表現する場合もありますが、私は、もう少し広義に捉え、クリーン化と表現しています。2000年に赴任した山形県の工場では、クリーンルームではない作業エリアからも指導要請がありました。その頃から、やがてこういう時が来るんだろうと思い、要請があれば積極的に診断、指導、アドバイスを行っていました。これまでの体験や経験からクリーンルームの有無に関係なく、基本的な考え方は相互に活用できると考えているからです。それが、クリーンルームのノンクリーンルーム化の考え方にも繋がりました。

       

      せっかくクリーンルーム(乱流方式)を保有していても、管理方法を知らないとか、きちんと管理をしなければお金がかかる割に効果は期待できません。逆にクリーンルームを保有していない現場でも、クリーン化の知識を持ち、きちんと管理すれば、管理されていないクリーンルーム(Fed.Std. クラス10,000から100,000)よりも良い環境にすることが可能だと考えています。そうなると、お金がかからないだけでなく、品質も向上し、安価なものづくりに貢献できますね。

       

      このような背景から、クリーン化セミナーでも、“クリーンルームの有無に関わらず、クリーン化の基礎を学ぶこと”の重要さに触れています。ものづくりの幅広い分野で活用していただきたいです。

       

      クリーン化4原則は、先にも紹介した次の4つです。この括弧の部分を外せば、クリーンルームではないものづくりエリアでも活用・応用ができます。

      • (クリーンルームには)ゴミを持ち込まない
      • (クリーンルームの中では)ゴミを発生させない
      • (クリーンルームの中で)ゴミを堆積させない
      • (クリーンルームから)ゴミを排除する

       

      (1)ゴミを持ち込まない

      “ゴミを持ち込まない”について、ポイントとなる部分を説明します。

      【入室ルールの徹底】

      入室ルールはあるか。またそれを理解して守っているか、ということです。どんなにクリーンルーム内を清掃しても、外からゴミを持ち込んで(供給して)いれば、奇麗になりません。持ち込んでいるゴミは見えないものが多いので、油断してしまうのですが、まずそのことを知り、入り口を抑えることが必要です。さまざまな場面を考え、ルールを作る。予想外のことも出てくるかも知れませんが、一旦決めたらそのままではなく、ルールを見直し、使えるものにしていくことです。“標準は書き換えるためにある”と言われますが、それと同じ考え方です。これを守ってもらえるよう指導することが重要です。ルールはあるが、守るかどうかは別だということにならないようにしたい。

       

      【防塵衣への着替え、エアシャワーの浴び方】

      クリーンルームに入るには、防塵衣を着用します。着用順序については、既に説明したので、ここでは省きます。エアシャワーを浴び、付着したゴミを落とします。そのエアシャワーの浴び方についての説明です。

       

      クリーン化について(その160)クリーン化の基礎(その22)クリーン化4原則

      図2. エアシャワーの浴び方とシャワー室のパーティクル数

       

      図2の左上の写真は、内壁に寄りかかり浴びているという悪い例です。内壁は良く観察すると、埃が付着しているのが目視でも分かります。これを防塵衣に押し付け、付着させてしまうため、クリーンルームに持ち込んでしまうのです。そして様々な動作や行動で落下、または浮遊させてしまうのです。また、寄りかかることでジェットエアー(以下ジェットと略す)の吹き出し口を塞いでしまい、背中の部分には風が当たらないだけでなく、気流の乱れも起きます。左下の写真は、エアシャワーを浴びる時、ただ立っているのではなく、ゆっくり回転するという説明です。立ったままの状態では、ジェットが防塵衣に当たっても、付着ゴミがその風で押さえつけられているだけになってしまいます。また、その陰になる部分には風も当たらず、ゴミを落とすことができません。そこで、ゆっくり回転することが良いのです。

       

      回転することで、防塵衣に平均的に風が当たります。加えて、風の当たる角度も変わります。完全には除去できなくても、付着しているゴミを少しでも多く剥ぎ取ろうという考え方です。エアシャワーのジェットの吹き出し時間は、15秒~20秒くらいに設定しているところが多いようですが、もう少し長く設定しているところもあります。エアシャワーを浴びた後、専用のコロコロ(ゴミ取りローラー)を使って、取り切れていないゴミを除去する。あるいは万歳をしながら回転している例もあります。脇の下の部分にも風を当てようという考え方です。

      次回に続きます。

       

      クリーン化のこと、活動の進め方、事例など個別に対応が必要でしたら、ものづくりドットコムを通じてご連絡ください。可能な限り対応致します。また、セミナー、講演会なども対応致します。

      【参考文献】 
      清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
          同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
          同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

       

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      この記事の著者

      清水 英範

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


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