クリーン化について(その168)クリーン化の基礎(その30)クリーン化4原則

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クリーン化について(その168)クリーン化の基礎(その30)クリーン化4原則

【目次】

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    前回のクリーン化について(その167)クリーン化の基礎(その29)クリーン化4原則の続きです。

    1. 清掃する文化の定着

    あるユニークな活動をしている会社がありました。そこでは休日に出社して徹底的にトイレ清掃をするということもやっていました。ご存じの方もいるでしょう。私が訪問した時のスローガンは、“トイレでおにぎりを食べられるように奇麗にしよう”でした。

     

    休日に集まり、朝からトイレを清掃し、磨き上げる。3時間ほどやって、リーダーが、「今日はこれで終わりにしよう」 と言うと、「私はこれでは気が済まない。もっとやらせてください」 という人が出てくる。そう言う人の中には、特に若い男性が多いそうです。もちろん、そこでおにぎりを食べるわけではないですが、確かにぴかぴかでした。

     

    私もクリーン化指導に何回かお邪魔したが、トイレの床に自分の顔が映るくらいきれいでした。この状態を見て、“トイレを奇麗にすることを通じ、自らの心を磨いているんだ”と感じた。こうなると、現場の清掃も手を抜くことはないでしょう。

     

    昔、私が店頭支援に行ったことを思い出しました。まだほんの若造でしたが、春のフレッシュマンセール、年末のボーナスクリスマス商戦の2回大阪の大型小売店に支援にいきました。初日ははやくから出勤し、お店の人が来る前にシャッターの前で待機していました。

     

    シャッターが上がると同時に、指示されたのではないのですが、真っ先にトイレ掃除をしました。この時変わった人だと言われましたが、支援期間中やり続けました。これがもしかすると、2回目のクリーン化との出会いだったと思います。1回目は入社後の高級腕時計の組み立て部門に配属の時でした。

     

    さて、この会社での清掃する文化は定着しているので、私は着眼点や方法をアドバイスすれば良いのです。診断者も、その場その場で適切なアドバイスが必要になります。より良い指導はどうすべきかを考えるわけです。この診断、指導、アドバイスの場は、私にとっての学ぶ機会でもあるのです。『排除する』 では、清掃、クリーンマット(除塵マット)等でのゴミの回収、局所排気設備の活用が大まかなポイントです。

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    クリーン化について(その168)クリーン化の基礎(その30)クリーン化4原則

    【目次】

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      前回のクリーン化について(その167)クリーン化の基礎(その29)クリーン化4原則の続きです。

      1. 清掃する文化の定着

      あるユニークな活動をしている会社がありました。そこでは休日に出社して徹底的にトイレ清掃をするということもやっていました。ご存じの方もいるでしょう。私が訪問した時のスローガンは、“トイレでおにぎりを食べられるように奇麗にしよう”でした。

       

      休日に集まり、朝からトイレを清掃し、磨き上げる。3時間ほどやって、リーダーが、「今日はこれで終わりにしよう」 と言うと、「私はこれでは気が済まない。もっとやらせてください」 という人が出てくる。そう言う人の中には、特に若い男性が多いそうです。もちろん、そこでおにぎりを食べるわけではないですが、確かにぴかぴかでした。

       

      私もクリーン化指導に何回かお邪魔したが、トイレの床に自分の顔が映るくらいきれいでした。この状態を見て、“トイレを奇麗にすることを通じ、自らの心を磨いているんだ”と感じた。こうなると、現場の清掃も手を抜くことはないでしょう。

       

      昔、私が店頭支援に行ったことを思い出しました。まだほんの若造でしたが、春のフレッシュマンセール、年末のボーナスクリスマス商戦の2回大阪の大型小売店に支援にいきました。初日ははやくから出勤し、お店の人が来る前にシャッターの前で待機していました。

       

      シャッターが上がると同時に、指示されたのではないのですが、真っ先にトイレ掃除をしました。この時変わった人だと言われましたが、支援期間中やり続けました。これがもしかすると、2回目のクリーン化との出会いだったと思います。1回目は入社後の高級腕時計の組み立て部門に配属の時でした。

       

      さて、この会社での清掃する文化は定着しているので、私は着眼点や方法をアドバイスすれば良いのです。診断者も、その場その場で適切なアドバイスが必要になります。より良い指導はどうすべきかを考えるわけです。この診断、指導、アドバイスの場は、私にとっての学ぶ機会でもあるのです。『排除する』 では、清掃、クリーンマット(除塵マット)等でのゴミの回収、局所排気設備の活用が大まかなポイントです。

       

      (1)クリーンマットでのゴミの回収について

       “排除する”という項目にあるクリーンマットの役割は、クリーンルーム内、またはエアシャワー前後に敷設し、防塵靴の底や台車などの車輪に付いたゴミ、汚れを除去することです。表面に塗布された粘着物にゴミ、汚れを付着させ、それを1枚ずつ剥いで、クリーンルーム外に排除することです。図の“排除する”(後述)、のところにクリーンマットの剥がし方と書いたが、クリーンマットを剥ぐ時に静電気(剥離帯電)が起きる。その反発で、せっかく捕まえていたゴミが飛散してしまいます。思い切り剥ぐと、その飛散量は多く、また広範囲に飛散する。ゴミを集めて、剥ぐ時に、またそのゴミをクリーンルーム内に撒いてしまうのです。

       

      昔、ある会社でクリーン化教育を実施した時のことです。剥離帯電のことを話したところ、その場にいた人の中に、剥す時に静電気が起きるのがどうしても信じられないという人がいた。ところが、自職場で思い切り剥いでその時の静電気を測定したところ、最大で5万ボルトを観測した。疑ってすみませんとの連絡があった。剥ぐ様子を可視化した画像を見ると、大変な量のゴミ、埃が飛散するのが確認できます。

       

      剥ぐ時に静電気が起きるのは仕方ないが、飛散量をできるだけ少なくするため、ゆっくり剥す、丸めるなどの工夫をし、静電気の発生を少なく抑え、飛散する量も少なくする工夫です。完璧に抑えることはできませんが、クリーン化では、知恵と工夫で可能な限り発塵、飛散を抑えるという考え方がある。

       

      最近のクリーンマットの中には、静電タイプとか除電タイプというものもあります。ただし、このような性能が記されたものでも、名前だけという製品もあるようです。名前だけで鵜呑みにせず、自分たちで評価し、納得して購入することが大切です。

       

      (2)クリーンマットの汚れから分かること

      あるところの工場長の行動です。毎朝、仕事が始まる前に、所管の工場を巡回していた。工場に入ると、まずクリーンマットの汚れを確認するのです。汚れが多いと、きちんと剥いでいないのではないか。そうなると表面の粘着物の効果がなくなり、ゴミを捕集してくれないので、室内全体に汚れてしまう。また、汚れが少なくても、剥いだ直後かも知れない。

       

      そこで、そのマットの上についている靴跡を観察するのです。靴跡が室内に向かって付いている場合は、外からクリーンルームへ持ち込まれるものを、そのマットで捕まえたということです。逆に、中から外に向かう靴跡なら、クリーンルームが汚れている。それをクリーンマットで捕まえたということになります。

       

      足跡が中から外に向いている場合、クリーンルーム内に汚れた場所があるのか、全体に汚れているのか、清掃はきちんとしているのかと疑問になります。この例は、すべてそうだとは言い切れませんが、およその様子は把握できますね。

       

      (3)クリーンマットは奇麗さのバロメータ

      この工場長が毎朝、仕事が始まる前に工場に入る理由は、仕事が始まると会議などがあり、なかなか工場に入れない。“後で”と言っているうちに、その日が終わってしまう。そして、工場を見ない日が続いてしまうからだと言っていた。製品を作る。その製品に品質を作り込むのは現場です。現場を見ないと実態はわからないと言って、毎日巡回しているのです。

       

      この時作業者とも会話をすることで、様々な情報が得られる。この地道な繰り返しで社内や工場にアンテナをたくさん立てることができるのです。どうしても現場に入る時間がない時は、廊下から窓越しにクリーンルームを覗くこともあった。窓に近いところに敷設したクリーンマットが汚れていると、足跡の向きが外からでもわかるというのです。長い間の積み重ねで、見る目が肥えるのです。そして自分の管轄の職場ごとの差もわかるわけです。この努力には頭が下がります。

       

      つまり、“クリーンマットを奇麗さのバロメータとして活用”しているのです。逆に、現場も毎朝工場長が巡回するというので、いい加減な管理ではなく、きちんと清掃をし、クリーンマットを剥ぐことも徹底されて来るのです。クリーンマットは、汚れたら剥いで捨てれば良いというだけではもったいないのです。その中にたくさんの情報が含まれているので、それを活用したいのです。その汚れを良く観察すると、金属のゴミが多いとか、部品の断片だとか、グリスのようなものだという風に、様々なものが見えてくる場合があります。それによって現場が正常なのか、原因を究明したり、何か対策を講じないといけないのかと気を配ることに繋がるのです。

       

      次回に続きます。

       

      クリーン化のこと、活動の進め方、事例など個別に対応が必要でしたら、ものづくりドットコムを通じてご連絡ください。可能な限り対応致します。また、セミナー、講演会なども対応致します。

      【参考文献】 
      清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
          同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
          同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

       

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      この記事の著者

      清水 英範

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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