クリーン化について(その164)クリーン化の基礎(その26)クリーン化4原則

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クリーン化について(その164)クリーン化の基礎(その26)クリーン化4原則

【目次】

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    (1)ゴミを持ち込まない

    “ゴミを持ち込まない”について、ポイントとなる部分を説明します。ここでは、クリーンルームに入室してからのことを説明します。

    前回のクリーン化について(その163)クリーン化の基礎(その25)クリーン化4原則の続きです。

     

    【事務用品・筆記具からの発塵】

    この写真はボールペンからの発塵データです。

     

     クリーン化について(その164)クリーン化の基礎(その26)クリーン化4原則

    写真説明:ノック式ボールペンからの発塵データ 

     

    昔は技術や品質部門のメンバーが現場に入る時、自身の筆記具を持ち込むことがありました。今でもあるかも知れません。そして作業者に話し掛けながら、ボールペンをカチャカチャやっているのです。その様子を見て、“ボールペンは何をするものだろう” と違和感を覚えたものです。もしその下に製品があったらどうなるのか気になったのです。

     

    もちろん、品質問題や様々な情報をメモする目的で持ち込むのでしょうが、そうではない使い方をしているのです。それをきっかけに発塵調査をしてみました。もう30年以上前のことです。この写真は、奇麗なウエハ(ミラーウエハ)の上でノックしてゴミを採取し、これを測定機で粒径別にカウントしたもの。写真の最上段は、当時作業者に貸与していたキャップ式のもので、ゴミはほとんど発生しません。下の2つはノック式で、比較的安価なものです。主な部品の構成はプラスチックです。これらのタイプでは1ミクロンを超える粒径のゴミがやや出ました。

     

    一方、下の2つはノック式ですが、全体が金属製で高級感があるものでした。ゴミは1ミクロンから2.5ミクロンを超えるものが、異常に多くカウントされました。これは...

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      (1)ゴミを持ち込まない

      “ゴミを持ち込まない”について、ポイントとなる部分を説明します。ここでは、クリーンルームに入室してからのことを説明します。

      前回のクリーン化について(その163)クリーン化の基礎(その25)クリーン化4原則の続きです。

       

      【事務用品・筆記具からの発塵】

      この写真はボールペンからの発塵データです。

       

       クリーン化について(その164)クリーン化の基礎(その26)クリーン化4原則

      写真説明:ノック式ボールペンからの発塵データ 

       

      昔は技術や品質部門のメンバーが現場に入る時、自身の筆記具を持ち込むことがありました。今でもあるかも知れません。そして作業者に話し掛けながら、ボールペンをカチャカチャやっているのです。その様子を見て、“ボールペンは何をするものだろう” と違和感を覚えたものです。もしその下に製品があったらどうなるのか気になったのです。

       

      もちろん、品質問題や様々な情報をメモする目的で持ち込むのでしょうが、そうではない使い方をしているのです。それをきっかけに発塵調査をしてみました。もう30年以上前のことです。この写真は、奇麗なウエハ(ミラーウエハ)の上でノックしてゴミを採取し、これを測定機で粒径別にカウントしたもの。写真の最上段は、当時作業者に貸与していたキャップ式のもので、ゴミはほとんど発生しません。下の2つはノック式で、比較的安価なものです。主な部品の構成はプラスチックです。これらのタイプでは1ミクロンを超える粒径のゴミがやや出ました。

       

      一方、下の2つはノック式ですが、全体が金属製で高級感があるものでした。ゴミは1ミクロンから2.5ミクロンを超えるものが、異常に多くカウントされました。これは半導体の前工程だけでなく、表示体や水晶デバイスなどの前工程でも、致命的な大きさです。このことから、クリーンルームに持ち込む筆記具は、キャップ式が良いことが分かります。

       

      近年、クリーンルーム用のペンが販売されていますがが、これはそのまま導入するのではなく、インクの成分を調べ、製品品質に影響がないことを確認してから採用したい。余談だが、クリーンルームペンは、飛行機の中に持ち込むと、液が漏れることがあります。飛行機の中で、開封したペットボトルから水が漏れるのと同じことです。私も、漏れた経験があります。

       

      1ダースなどの購入の場合、箱にその旨記載されています。クリーン化担当はそのようなことも知っておくと良いでしょう。微細、超微細製品の加工エリアでは、その他の持ち込み品も調査、分析して技術、品質部門の許可を得ることが重要です。シャープペンはノックのたびに芯の粉がたくさん出るので要注意です。

       

      【発生させない  他の事例】

      顕微鏡ステージの裏面に、ステージをXY方向に動かすベルトがあります。顕微鏡を長時間使用することで、ベルトが劣化し、ゴミがボロボロと落ちた結果、付近に置いてある製品に付着した例もあります。懐中電灯でベルト付近を観察すると、これらのゴミが付着しているのが良くわかります。裏面でありなかなか気づかない場所ですから、意識して見ないと気づかないでしょう。チェック項目にしておきたいです。

       

      もう一つ、セロテープ台の劣化事例を紹介します。クリーンルームではない作業エリアで、現場診断の際、見つけたものです。セロテープ台を裏返してみると左の写真のように底面が劣化していました。別のエリアでは、それに気づいて底面の汚れた部分を除去していました(写真右)。

       

      クリーン化について(その164)クリーン化の基礎(その26)クリーン化4原則

      写真1.セロテープ台の底            写真2.汚れた部分を除去

       

      本来、底面にはゴム状、またはスポンジ状のシートが張り付けてあります。時間とともにこれらが硬化し、作業台などの上で擦られるため、徐々に擦り減ってしまうのです。これを発生源と判断し除去してしまうと、写真2のように鏡面が出てきます。底面の穴の中には、セメントの塊のようなものが入っています(白く見える)。テープ台を倒れ難くするための錘です。底面のゴム状のシートの目的は、テープ台の滑り防止ほか、セメントのような砂状のゴミの吹き出し防止です。そのまま使い続けると、シートが劣化したゴミや砂状のゴミが出ます。

       

      再現実験では、テープを引き出す時のゴロゴロという振動時に発生する量が最も多かった。テープは製品の近くで使う場合も多いが、重いゴミであり、周囲の製品や作業台よりも下部に置かれた製品などに影響します。作業台よりも低い位置に置かれた製品容器が、落下したゴミを被り、次工程で発見された例もあります。

       

      対策として、底部に専用のキャップ(ビニール製のカバー)があるのでそれを使う。また応急的には、静電シート(商品名:静電クリスタル=静電シートの透明タイプ)で覆うことを勧めます。この静電シートは、摩擦係数が高く、引き摺り難いのでゴミはあまり出ません。

       

      いくつか紹介しましたが、このように現場には様々な事例が転がっています。それを発見できるかどうかです。様々な視点で現場を良く観察すると、多くのことに気づきます。現場密着で、観察力、着眼力を養いたいです。

       

      次回に続きます。

       

      クリーン化のこと、活動の進め方、事例など個別に対応が必要でしたら、ものづくりドットコムを通じてご連絡ください。可能な限り対応致します。また、セミナー、講演会なども対応致します。

      【参考文献】 
      清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
          同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
          同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

       

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      この記事の著者

      清水 英範

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


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