連載記事:クリーン化について(その40)感性を養うで、KYトレーニングを紹介しました。(下図)
図.KYトレーニングの紹介
今回、KYトレーニングに関連して中国の工場の事例を紹介します。以下の掲示板ですが、この中には、人財育成や安全との関りもあります。
この工場にはかなり頻繁に通いました。左側の写真は、構内のメイン通路です。お客様、見学者、社員など誰でも通行するところに、経営方針、品質方針、環境方針、クリーン化等の活動内容など、誰が見ても良い内容が掲示してあります。
右側の写真は、各職場の入り口です。ここには、歩留まり、工数、作業ミスなどのデータが掲示してあります。これは、直近の状況を把握したいので、半月毎に更新します。きちんと更新しないと、情報出しが遅れるので、データの価値が損なわれます。最上段に更新日、担当が記されています。この各職場のデータ、数値は、現場の実力値なので、お客様や見学者はここには案内しません。
初めて指導に入った時のことです。
この掲示を見た時、非常に奇麗なことに感心、圧倒されました。案内してくれた当時の社長(総経理)に、「どうしてこんなに奇麗に掲示ができるのですか」と聞いたところ、「掲示はいい加減なものが多かった。日本もそうでしょう。紙の大きさが違う、かなり古いデータや資料が貼ってある、テープが剝れ、垂れている、丸まっている、変色している。これでは見る気がしないでしょう。そこで、余計なことは一切言わず、紙の大きさを統一し、水平、垂直、直角を徹底的に指導した」と言っていました。
日本で言う徹底的とは、2、3度も言えば、徹底したということになってしまいます。「あなたはくどいですね、しつこいですね」と言われそうな気がして、それ以上は言わなくなってしまいます。ところが、この工場では、それを言い続けたということです。6か月くらい言い続けたところ、ほぼできるようになったと言っていました。徹底するということは、こういうことなんだと思いました。
この話には続きがあります。
徹底的に言い続けたので、社員の頭の中に、水平、垂直、直角が浸み込んだ。その結果、現場に入ると、あの天井のコードは、昨日までほぼ水平だったのに、今日は垂れている。この作業台は定位置から少しずれている、台車でもぶつかったのかな、と言う風に、様々なことに気づくようになった。水平、垂直、直角からはみ出すものは、すべて異常だと認識知るようになったということです。
これを管理職に報告してくるようになったそうです。
この時、いいことに気が付いたねとか、おかげで助かったよと言う風に、少しオーバーに褒めるんだそうです。それで不具合は、管理職が直していく。褒められれば、また褒められたいとか、上司が私の話を聞いてくれたなど、様々な思いがあるのでしょう。もっとたくさんのことに気が付き、報告してくる。
それに対応する管理職も大変だったのですが、こん競べのようにやり続けました。社員が見つけた不具合を放っておくと段々言わなくなってしまうことを考えていたそうです。そして現場がどんどん良くなっていったそうです。
暫くして、大変なことに気が付いたというのです。
それは、微小災害が右肩下がりにどんどんどん減って...