ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。
高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。クリーン化について(その145)クリーン化の基礎(その7)の続きです。
◆ クリーン化の効果を考える
クリーン化で得られた効果について事例を交え解説します。クリーン化の成果、効果で得られた利益をどのように使うか考えてみると良いです。つまり、自社あるいは自分の問題として引き寄せることです。
(1)クリーン化で品質、歩留まり向上、そして利益も向上
クリーン化活動を進める上で、その成果や効果は欲しい。それが具体的に数字などで見えると、活動は継続する。ある半導体製造の前工程の事例からクリーン化の成果、効果について考えてみます。例えば、その工場の一つのラインで、仮に月25億円の売り上げがあったとする(これはイメージしやすい数字にした。現在ではこんな数字よりはるかに多いでしょう)。この時歩留まりが1%上がると、月に2,500万円の純利益が得られる。しかもあまりお金をかけないでできることが沢山ある。
会社が社員を集めて、あるいは上司が部下に対し、「品質向上に努めましょう。すると利益が増えます」 と言うだけでは、社員は“聞いただけ、人ごと、よそ事”で終わってしまうかも知れません。そこで、これらで得られた効果(利益)をどのように使うか考えてみると良い。つまり、“自社や自分の問題として捉えること”が重要です。具体的な項目ごとに解説する。
①注文が多い場合、稼ぎ続ければ歩留まり向上分が余計に儲かる
これには説明は不要でしょう。