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ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。
高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。
・前回の クリーン化について(その161)クリーン化の基礎(その23)の続きです。
クリーンルームの中での最大の発生源、汚染源は人です。クリーン化4原則はその人に着目しています。
◆ クリーン化4原則について
図1.のクリーン化4原則について個別に解説します。
図1. クリーン化4原則
元々はクリーンルームのことを対象にしているので、“クリーンルームの4原則”と表現する場合もありますが、私は、もう少し広義に捉え、クリーン化と表現しています。2000年に赴任した山形県の工場では、クリーンルームではない作業エリアからも指導要請がありました。その頃から、やがてこういう時が来るんだろうと思い、要請があれば積極的に診断、指導、アドバイスを行っていました。これまでの体験や経験からクリーンルームの有無に関係なく、基本的な考え方は相互に活用できると考えているからです。それが、クリーンルームのノンクリーンルーム化の考え方にも繋がりました。
せっかくクリーンルーム(乱流方式)を保有していても、管理方法を知らないとか、きちんと管理をしなければお金がかかる割に効果は期待できません。逆にクリーンルームを保有していない現場でも、クリーン化の知識を持ち、きちんと管理すれば、管理されていないクリーンルーム(Fed.Std....
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ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。
高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。
・前回の クリーン化について(その161)クリーン化の基礎(その23)の続きです。
クリーンルームの中での最大の発生源、汚染源は人です。クリーン化4原則はその人に着目しています。
◆ クリーン化4原則について
図1.のクリーン化4原則について個別に解説します。
図1. クリーン化4原則
元々はクリーンルームのことを対象にしているので、“クリーンルームの4原則”と表現する場合もありますが、私は、もう少し広義に捉え、クリーン化と表現しています。2000年に赴任した山形県の工場では、クリーンルームではない作業エリアからも指導要請がありました。その頃から、やがてこういう時が来るんだろうと思い、要請があれば積極的に診断、指導、アドバイスを行っていました。これまでの体験や経験からクリーンルームの有無に関係なく、基本的な考え方は相互に活用できると考えているからです。それが、クリーンルームのノンクリーンルーム化の考え方にも繋がりました。
せっかくクリーンルーム(乱流方式)を保有していても、管理方法を知らないとか、きちんと管理をしなければお金がかかる割に効果は期待できません。逆にクリーンルームを保有していない現場でも、クリーン化の知識を持ち、きちんと管理すれば、管理されていないクリーンルーム(Fed.Std. クラス10,000から100,000)よりも良い環境にすることが可能だと考えています。そうなると、お金がかからないだけでなく、品質も向上し、安価なものづくりに貢献できますね。
このような背景から、クリーン化セミナーでも、“クリーンルームの有無に関わらず、クリーン化の基礎を学ぶこと”の重要さに触れています。ものづくりの幅広い分野で活用していただきたいです。
クリーン化4原則は、先にも紹介した次の4つです。この括弧の部分を外せば、クリーンルームではないものづくりエリアでも活用・応用ができます。
- (クリーンルームには)ゴミを持ち込まない
- (クリーンルームの中では)ゴミを発生させない
- (クリーンルームの中で)ゴミを堆積させない
- (クリーンルームから)ゴミを排除する
(1)ゴミを持ち込まない
“ゴミを持ち込まない”について、ポイントとなる部分を説明します。ここでは、クリーンルームに入室してからのことを説明します。
【クリーンルームの中では無駄な動作をしない】
クリーンルーム内では、歩く、屈む、運搬するなど、さまざまな動作や行動があり、それによってゴミが発生し飛散、浮遊します。それらが製品や製品BOX等に付着します。半導体では作業しやすいようにカセットと呼ばれる容器にウエハーを入れます。
これは材質によっては異常な静電気を帯びていて、浮遊したゴミを吸着したり、ウエハーがその容器に入っている場合は静電気が帯電している場合があります。この時ウエハーにもゴミが付着します。必要最小限の動作、行動でも発生しますが、無駄な動きや走るなど、大きな動作や行動が伴うと、発生量が倍増します。また、細かな動きを頻繁に行うと、効率よくてきぱきと作業していると思いがちだが、これも発生量を増加させる原因です。
その不具合事例です。
ある会社の依頼を受け、現場診断に行った時のこと。意見交換などを行ってからクリーンルーム(乱流式)に入った。ちょうど午後3時でした。「さあ皆さん体操の時間です」 という放送が入り、一斉にラジオ体操が始まってしまった。「これは大変だ。すぐにやめた方が良いです」 と言って理由を説明した。話だけだと印象は薄いと思い、パーティクル測定をするようアドバイスした。案の定ものすごい数値が計測された。自分たちで測定してみたことで、驚きも大きく記憶に残る機会だったようです。
クリーンルームがあり、防塵衣という白い服を着ただけで安心してしまう例です。
防塵衣の隙間から人系のゴミが大量に吹き出すことと、床に堆積しているゴミが巻き上げられるためです。床に堆積しているゴミは、浮遊しにくい重いものです。これが風などで舞い上がりるその後沈降し、低い位置にある製品や治工具などへ付着するのです。
品質低下の原因になるかも知れません。体操だけでなく、クリーンルーム内で走ることも見掛けることがありますが、これも大きな動作です。必要最小限の動作、行動に努めましょう。その工場は乱流方式のクリーンルームなので、気流も乱れています。巻き上げられたゴミはどこに飛んでいくのか、どこで沈降するのか分からないので、思いもよらないところで、品質を左右するような問題が起きているかも知れません。そうなると原因究明が難しくなるのです。
【防塵衣の正しい着用について】
“なぜ防塵衣を着るのか”のところで、人は最大のゴミ発生源、汚染源だと説明しました。その、人のゴミをクリーンルーム内に撒き散らさないために着用する服が防塵衣です。クリーンスーツと読んでいるところもあります。そのために発塵、飛散をできるだけ抑えた着用方法にすることが重要です。これを遵守しないと、防塵衣から外に吹き出す量が増えてしまうのです。まれですが、メンテナンス作業中、汗をかいたり、作業しにくいという理由から、防塵衣の袖をまくっている姿を見掛けることがあります。
しかしそれでは皮膚や体毛など、さまざまな人系のゴミが発生し、飛散させてしまうのです。ひどい場合は,手袋を脱ぐ、それによって汗が飛散すると言う光景も見ました。汗は塩分ですから、確実に品質に影響を与えます。また設備や治具の錆の原因にもなります。これは自身が気を付けるべきことですが、周囲の人も、見慣れた風景だと見逃さないことが重要です。
クリーン化に完璧な対策はありません。
クリーンルーム内にはゴミや汚れ、設備からの発塵粉などさまざまなものが存在します。なぜを知り、人の意識と行動を変え、少しでも良くしようという考え方です。ある半導体製造での分析担当者の話では、管理が行き届いていない乱流式のクリーンルーム内には、ゴミは120種以上ある。きちんと管理されているところでは、これよりもかなり少ないでしょうと言っていた。日々清掃、管理していくことで、少なくしたいです。そうしないと、品質低下だけでなく、品質問題が発生した時、どのゴミが原因なのか判断ができず、分析も余計な時間がかかります。このことは、後ほどクリーン化の進め方の中で、徹底清掃の説明をするので参照いただきたい。
次回に続きます。
クリーン化のこと、活動の進め方、事例など個別に対応が必要でしたら、ものづくりドットコムを通じてご連絡ください。可能な限り対応致します。また、セミナー、講演会なども対応致します。
【参考文献】
清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
同 電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
同 「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年