クリーン化4原則-11 クリーン化について(その36)

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クリーン化

 

 連載その16で『クリーン化4原則+監視の重要性』について述べました。ここでは、下図のクリーン化4原則について個別に解説しております。今回は、クリーン化4原則-11「排除する」について解説します。

 

クリーン化4原則

図1. クリーン化4原則

 

  「排除する」では、清掃、クリーンマット等でのごみの回収、局所排気設備を活用が大まかなポイントです。

1. クリーン化:定期的に清掃する

 クリーンルームはきれいな部屋ではありません。“クリーンルームを汚すのも、きれいにするのも人”です。クリーンルームに関わる全員が汚さないだけではなく、きちんと清掃し、クリーンルームの環境を維持向上することが大切です。そのことから、“クリーンルームはクリーニングルーム”と言われてきました。

 今日一回くらいは手を抜いてもいいか、と思って手を抜く。でもすぐに清浄度に大きな変化は現れない。また製品品質にも目立った問題は発生しない。今日もちょっと忙しいから手を抜いてもいいか。1回や2回手を抜くことに何か問題があるのか、などと考えてしまうと、清掃そのものの価値も見失い徐々に清掃しなくなってしまいます。

 たかが掃除だと考えている方も多いようです。

 極端な例では、「そんなことをしていないで、1個でも多く作れ!」などと言う指示が飛んだりすることもあります。清掃することが悪いことのようになっているのです。そして気が付いた時には大変なことになってしまっているわけです。

 “ローマは一日にして成ならず”という言葉があります。毎日の積み重ね、継続することの大切さです。1回や2回で成果が見えるものではないですが、それをコツことやり続けることに意味があります。継続は力なりという言葉もあります。逆に、手を抜くと、崩れ落ちるように悪い環境になってしまいます。

 長い努力が短時間に消えてしまいます。品質や歩留まりが目に見えて下がったという頃は、立て直しには相当時間が必要です。その間の様々なロスは大きいのです。

(1)クリーン化:手を付けられない現場

 ある会社の現場に入ったところ、部分的に埃が堆積しているのに気が付きました。その量が半端ではなかったので、「このエリアは非常に埃が堆積しているので、一度一斉清掃をしたらどうか」といったところ、その現場を管理している課長が、「今更清掃する気はありません。この状態で清掃すると寝た子を起こすようなものです」と言いました。もう手を付けられないのです。こうなってしまってからでは、この課長の言うことも正論になってしまいます。

 そうならないように日頃から、清掃を継続することが大切です。

 “塵も積もれば山となる”ということです。堆積した埃も、一朝一夕に溜ったわけでなないのです。長い時間をかけて堆積したものです。清掃も毎日手を抜かずにやり続けましょう。そのことが製品品質を守り向上させます。清掃も品質の作り込みの重要な要素です。そこに思いを込めたい。

(2)クリーン化:清掃する文化の定着

 あるユニークな活動をしている会社がありました。ご存じの方もいらっしゃるかも知れません。例えば、休日に出社して徹底的にトイレ清掃をするということもやっていました。その時のスローガンは、“トイレでおにぎりを食べられるようにきれいにしよう”でした。

トイレを朝から清掃し、磨き上げる。

 3時間ほどやって、リーダーが「今日はこれで終わりにしましょう」というと、「私はこれでは気が済みません。もっとやらせてください」という人が出てくるのだそうです。そう言う人の中で、特に若い男性が多いそうです。もちろん、そこでおにぎりを食べるわけではありませんが、ぴかぴかです。

 私もクリーン化指導に何回かお邪魔しましたが、トイレの床に自分の顔が映るくらいでした。この状態を見て、“トイレをきれいにすることを通じ、自らの心を磨いているんだ”と感じました。廊下ですれ違う社員にも明るさを感じました。

 こうなると、現場の清掃も手を抜くことはないでしょう。

 清掃する文化...

クリーン化

 

 連載その16で『クリーン化4原則+監視の重要性』について述べました。ここでは、下図のクリーン化4原則について個別に解説しております。今回は、クリーン化4原則-11「排除する」について解説します。

 

クリーン化4原則

図1. クリーン化4原則

 

  「排除する」では、清掃、クリーンマット等でのごみの回収、局所排気設備を活用が大まかなポイントです。

1. クリーン化:定期的に清掃する

 クリーンルームはきれいな部屋ではありません。“クリーンルームを汚すのも、きれいにするのも人”です。クリーンルームに関わる全員が汚さないだけではなく、きちんと清掃し、クリーンルームの環境を維持向上することが大切です。そのことから、“クリーンルームはクリーニングルーム”と言われてきました。

 今日一回くらいは手を抜いてもいいか、と思って手を抜く。でもすぐに清浄度に大きな変化は現れない。また製品品質にも目立った問題は発生しない。今日もちょっと忙しいから手を抜いてもいいか。1回や2回手を抜くことに何か問題があるのか、などと考えてしまうと、清掃そのものの価値も見失い徐々に清掃しなくなってしまいます。

 たかが掃除だと考えている方も多いようです。

 極端な例では、「そんなことをしていないで、1個でも多く作れ!」などと言う指示が飛んだりすることもあります。清掃することが悪いことのようになっているのです。そして気が付いた時には大変なことになってしまっているわけです。

 “ローマは一日にして成ならず”という言葉があります。毎日の積み重ね、継続することの大切さです。1回や2回で成果が見えるものではないですが、それをコツことやり続けることに意味があります。継続は力なりという言葉もあります。逆に、手を抜くと、崩れ落ちるように悪い環境になってしまいます。

 長い努力が短時間に消えてしまいます。品質や歩留まりが目に見えて下がったという頃は、立て直しには相当時間が必要です。その間の様々なロスは大きいのです。

(1)クリーン化:手を付けられない現場

 ある会社の現場に入ったところ、部分的に埃が堆積しているのに気が付きました。その量が半端ではなかったので、「このエリアは非常に埃が堆積しているので、一度一斉清掃をしたらどうか」といったところ、その現場を管理している課長が、「今更清掃する気はありません。この状態で清掃すると寝た子を起こすようなものです」と言いました。もう手を付けられないのです。こうなってしまってからでは、この課長の言うことも正論になってしまいます。

 そうならないように日頃から、清掃を継続することが大切です。

 “塵も積もれば山となる”ということです。堆積した埃も、一朝一夕に溜ったわけでなないのです。長い時間をかけて堆積したものです。清掃も毎日手を抜かずにやり続けましょう。そのことが製品品質を守り向上させます。清掃も品質の作り込みの重要な要素です。そこに思いを込めたい。

(2)クリーン化:清掃する文化の定着

 あるユニークな活動をしている会社がありました。ご存じの方もいらっしゃるかも知れません。例えば、休日に出社して徹底的にトイレ清掃をするということもやっていました。その時のスローガンは、“トイレでおにぎりを食べられるようにきれいにしよう”でした。

トイレを朝から清掃し、磨き上げる。

 3時間ほどやって、リーダーが「今日はこれで終わりにしましょう」というと、「私はこれでは気が済みません。もっとやらせてください」という人が出てくるのだそうです。そう言う人の中で、特に若い男性が多いそうです。もちろん、そこでおにぎりを食べるわけではありませんが、ぴかぴかです。

 私もクリーン化指導に何回かお邪魔しましたが、トイレの床に自分の顔が映るくらいでした。この状態を見て、“トイレをきれいにすることを通じ、自らの心を磨いているんだ”と感じました。廊下ですれ違う社員にも明るさを感じました。

 こうなると、現場の清掃も手を抜くことはないでしょう。

 清掃する文化は定着しているので、私は着眼点ややり方をアドバイスすればいいのです。診断者も、その場その場で適切なアドバイスが必要になります。より良い指導はどうすべきかを考える。この診断、指導、アドバイスの時間は、私にとっての生きた教材であり、勉強の場でもあります。

 

2. クリーン化:水面下の仕事が会社を支える。

 成果主義の世の中になってきました。数字やデータで成果を報告し、評価されるのです。すると、毎日きちんと清掃を繰り返すという水面下の仕事は、成果としては見てもらえない場合が多いでしょう。でもこのベースの活動が現場、そして会社を支えている部分もあることを見逃さないようにしていただきたいと思います。

 

 次回に続きます。

◆関連解説『環境マネジメント』

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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