前回のまとめの中でクリーン化4原則は、現場を管理する、抑えるべきポイントであり、また現場を見る時の着眼点でもあると記しました。現場に入ってどこを見ればよいのか、何を見ればよいのかわからない方も案外多いものです。現場で発言したことが、クリーンルーム管理に反する場合もあります。その怖さを知っている方は、徐々に現場に近寄らなくなります。そして現場との距離が遠くなってしまいます。そんな場面もいくつか見てきました。
クリーン化4原則を頼りに現場を見ても、実際にはそれだけで気づくことは少ないです。現場は生き物であり、私たちに見せる顔が日々違うのです。“日々柔軟に広範囲に多面的に見ること”が大切です。これによって自己成長にも繋がります。
“クリーン化は感性だ”という方がいます。これはショートカットのことばです。そのカットされている部分は、“現場によく入り、日常的に様々な見方ができるよう心掛ける、その繰り返し”だと考えています。いきなり感性にはたどり着かないのです。
逆に毎日現場で作業している人が見る現場は、“住めば都”になってしまい、その環境に慣れてしまうと、これもまた自職場の不具合を見つけられない。例え見つけても、まあいいかとなってしまいます。いつも新鮮な目で見ることが大切です。
そうは言っても具体的にどうすればよいのか、そのきっかけを紹介します。 私がイメージして絵にしたものを紹介します。細かく記したものを少し省き、以下の4つを紹介します。
図1.KYトレーニングの紹介
Kは、感性や気づき、Yは、それを養成するとか、本来持ち合わせているはずだが、眠っている部分もあるのでそれを呼び起こすイメージで命名しました。ただし、KYT(危険予知トレーニング)と混同しやすいので、トレーニングとそのままにしました。現場の小集団活動などでやってみると良いと考えています。
図2.KYトレーニング:掲示板
例えば、メンバーに集まってもらい、気づいたことをそれぞれ指摘してもらう。すると、絵のように、いくつもの気づきが出てくる。それを聞いていた他のメンバーは、自分でもほとんど同じことに気づいたが、気づかなかったものもあった。それが共有化できるわけです。
違う見方や、考え方、あるいは生まれ育った環境の違いなどで多様な見方があるのです。それらを取り込むことが自分を磨き、徐々に気づきが増える場になるでしょう。
上の絵の状態では、ただ掲示しただけであって、見る人への配慮はないです。このような状態では、クリーンルームの中も推して知るべしです。あまりひどいと見てもらえない場合もあります。そして情報が共有、周知出来ていなかった。何のための掲示でしょう、ということにもなります。
掲示の目的は、見てもらうことですので、見やすさ、伝えやすさなどを考えましょう。その改善例を紹介します。これはクリーンルームを持たない現場や、事務室など幅広く活用できます。
図3.KYトレーニング:掲示板
このようにしてみたという例です。
位置を決めて掲示すると、欲しい情報がいつも同じところに掲示されているので、都度探さなくても良いです。また、見やすさ、見た目の良さもあり、見たい気持ちにさせる効果もあるでしょう。そして情報の伝達量が変わるのです。
自職場だけでなく、社内、構内では、お客様をはじめ多くの人の目につくものもあります。極端に言えば、そこで会社の印象が決まってしまうのかも知れません。そのことも意識したいです。このことは、後で、中国の掲示の例を紹介します。
図4.いろいろな場面で使ってみる
今までの応用として、現場の設備の周りに集まり、同じようなことをしてみると、日頃見慣れていて気付かないものも発見されることがあります。物の置き方については、事務室の中でも気づくことは多いでしょう。
テレビを見ていると、インタビューを受けている方の背面に、乱雑に積まれた書籍や書類の山が映っているのを見ることがあります。インタビューの内容よりも、それらがいつ崩れるのか、地震が来たらどうなるのか、欲しい資料はすぐ見つかるのか、いつからそうなっているのかなどが気になってしまいます。
ある会社に現場診断、指導に行った時のこと。玄関から応接室に案内される途中で、事務室の中が見えました。すごくきれいでした。これでは...