クリーン化について(その165)クリーン化の基礎(その27)クリーン化4原則

投稿日

クリーン化について(その165)クリーン化の基礎(その27)クリーン化4原則

【目次】

    ▼さらに深く学ぶなら!
    「クリーン化技術」に関するセミナーはこちら!

    ▼さらに幅広く学ぶなら!
    「分野別のカリキュラム」に関するオンデマンドセミナーはこちら!

    前回のクリーン化について(その164)クリーン化の基礎(その26)クリーン化4原則の続きです。

    【堆積させない】

    ◆ 床面に直置きしない~塵埃などが汚染原因に

    ある会社に呼ばれ、事業の説明を受けたあと現場診断をした時のことです。事前説明や意見交換で時間が掛かり、現場に入ったのは夕方でした。作業者が、「今日、この製品はもう着手しないのでロッカーにしまう」と言って、ロッカーの前の床に一旦置いてから、扉を開けていました。その時、立ち会っている管理職の方に「床はゴミだらけです。床に置くとゴミの影響を受けるので、床への直置きは避けましょう」 と言ったが、あまりピンとしないようでした。

     

    そこで、「試しに床から30㎝くらいの間隔で、天井までパーティクルを測ってみませんか」と提案しました。すると翌朝、その管理職の方から電話があり、「昨日言われた通り、あの後パーティクルを測定してみたところ、大変なことになっていました。作業している高さでは、まったく問題がないのに、床付近、天井付近は異常な数値だった」 と言うのです。作業している高さのパーティクル量は規格内だったが、天井付近と床付近は大幅な規格外れ、工場停止範囲だったのです。

     

    実測値では数万と言う数字がカウントされていました。実際に自分たちでやってみて、その凄さを実感したことに価値があるのです。言われただけ、聞いただけでは、そのまま忘れ去られてしまうことが多いでしょう。すぐに行動したその管理職の行動を見ると、...

    クリーン化について(その165)クリーン化の基礎(その27)クリーン化4原則

    【目次】

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「クリーン化技術」に関するセミナーはこちら!

      ▼さらに幅広く学ぶなら!
      「分野別のカリキュラム」に関するオンデマンドセミナーはこちら!

      前回のクリーン化について(その164)クリーン化の基礎(その26)クリーン化4原則の続きです。

      【堆積させない】

      ◆ 床面に直置きしない~塵埃などが汚染原因に

      ある会社に呼ばれ、事業の説明を受けたあと現場診断をした時のことです。事前説明や意見交換で時間が掛かり、現場に入ったのは夕方でした。作業者が、「今日、この製品はもう着手しないのでロッカーにしまう」と言って、ロッカーの前の床に一旦置いてから、扉を開けていました。その時、立ち会っている管理職の方に「床はゴミだらけです。床に置くとゴミの影響を受けるので、床への直置きは避けましょう」 と言ったが、あまりピンとしないようでした。

       

      そこで、「試しに床から30㎝くらいの間隔で、天井までパーティクルを測ってみませんか」と提案しました。すると翌朝、その管理職の方から電話があり、「昨日言われた通り、あの後パーティクルを測定してみたところ、大変なことになっていました。作業している高さでは、まったく問題がないのに、床付近、天井付近は異常な数値だった」 と言うのです。作業している高さのパーティクル量は規格内だったが、天井付近と床付近は大幅な規格外れ、工場停止範囲だったのです。

       

      実測値では数万と言う数字がカウントされていました。実際に自分たちでやってみて、その凄さを実感したことに価値があるのです。言われただけ、聞いただけでは、そのまま忘れ去られてしまうことが多いでしょう。すぐに行動したその管理職の行動を見ると、ここは改善されるだろうことが推測されます。

       

      この異常な数値は、次の原因によります。

      床付近は、パーティクルが浮遊、滞留していることに加え、粒径が大きく、重いものが落下しています。乱流方式のクリーンルーム内では、様々な気流、例えば人の動作、行動や台車などの移動により、気流の乱れが起きます。そして床に堆積していたものが巻き上がり、粒径が大きなものの数値も多くなります。近くに棚があれば、床に近いところの棚から上部の棚、までを懐中電灯で斜光観察してみると良いでしょう。下の方の棚ほど粒径の大きなゴミが確認できます。

       

      天井付近でパーティクルが多いのは、室温、体温、照明、設備などの熱源により、上昇気流が発生し、軽いものは天井付近まで押し上げられ滞留するからです。その会社では、床に製品を置いたので、①の内容によって、比較的大きな粒径のゴミが巻き上がり床に直置きした製品に付着していました。“ゴミだらけ”という表現はそのことを言いたかったのです。肉眼で容易に確認できる大きなゴミがあれば、品質に影響を及ぼすことは想像できます。このようなデータから製品を置く高さを決め、ルール化しておくことです。もちろん容器内に保管しての話です。

       

      ◆ 天井に滞留した浮遊塵の対策

      「天井に滞留した浮遊塵はどのように除去すれば良いか」という質問が時々ありますが、これについての特効薬はありません。日頃から清掃し、徐々に減らしていくことが重要です。地味ですが、地道にコツコツ継続することで効果が出るのです。長期連休で工場を停止した場合、休日明けに工場に入ると、設備や作業台、床の上に埃がたくさん堆積しています。それを見たことがある方もいると思います。こうなるとまず、一斉清掃から始めないと工場の稼働ができません。これにはかなりの時間を要します。

       

      これは、上昇気流によって強制的に持ち上げられ、天井付近に滞留したものが、連休中の停止によりクリーンルーム内が冷え、降ってきたものです。日頃からきちんと清掃することは、クリーンルーム内のゴミをいかに減らすかということです。パーティクルカウンターで定期的に測定している高さは、基本的には製品加工の高さです。その高さは、綺麗なことが多く、このような問題は発見し難いです。それで綺麗だと錯覚しやすいです。その管理も重要ですが、クリーンルーム内の状態も知っておくことが大切です。

       

      一方、層流方式のクリーンルームは、天井から清浄度の高い空気が供給され、穴あきの床から気流が抜けていきます。本来浮遊するレベルのパーティクルであっても、その多くは床下に押し付けられているわけです。ところが、この層流方式のクリーンルームも、長期連休などで運転を止めると、それらの軽いパーティクルがじわじわと浮き上がってきます。

       

      層流式のクリーンルームの床下は、数メートルの空間がありますが、浮遊塵はその間をかなりの高さまで上がって来ます。従って清浄度を維持する必要のある工程が含まれるクリーンルームは、完全には停止しない。もし止めるとか、空気の喚気回数を落とす場合は、その期間のパーティクル推移を把握するなど慎重な対応が必要です。ただし、換気回数を少なくすると、清浄度は低下します。

       

      次回に続きます。

       

      クリーン化のこと、活動の進め方、事例など個別に対応が必要でしたら、ものづくりドットコムを通じてご連絡ください。可能な限り対応致します。また、セミナー、講演会なども対応致します。

      【参考文献】 
      清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
          同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
          同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

       

      【ものづくり セミナーサーチ】 セミナー紹介:国内最大級のセミナー掲載数 〈ものづくりセミナーサーチ〉 はこちら!

       

         続きを読むには・・・


      この記事の著者

      清水 英範

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


      「クリーン化技術」の他のキーワード解説記事

      もっと見る
      クリーン化について(その144)クリーン化の基礎(その6)クリーン化活動のポイント

      【目次】 ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基...

      【目次】 ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基...


      日本ものづくり体質への提言

         筆者は海外、特に東南アジアのものづくり現場を頻繁に指導して来ました。また、個人的には、趣味としての陸上競技でも、アジア大会などに出かけ、...

         筆者は海外、特に東南アジアのものづくり現場を頻繁に指導して来ました。また、個人的には、趣味としての陸上競技でも、アジア大会などに出かけ、...


      クリーン化について(その166)クリーン化の基礎(その28)クリーン化4原則

      【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「クリーン化技術」に関するセミナーはこちら! ▼さらに幅広く学ぶなら!「分野別のカリキュラム」に関...

      【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「クリーン化技術」に関するセミナーはこちら! ▼さらに幅広く学ぶなら!「分野別のカリキュラム」に関...


      「クリーン化技術」の活用事例

      もっと見る
      先入れ先出しとクリーン化

       ある会社の監査に行った時の事例から、先入れ先出しとクリーン化をテーマに解説します。   1.監査の事例  監査は一般的に机上監査と現場監査があ...

       ある会社の監査に行った時の事例から、先入れ先出しとクリーン化をテーマに解説します。   1.監査の事例  監査は一般的に机上監査と現場監査があ...


      クリーン化:防塵衣の腰紐締めていますか

      1. クリーン化:防塵衣の構造、設計思想  クリーンルームの中でのゴミの最大の発生源、汚染源は人です。人から発生するゴミをクリーンルーム内に撒き散ら...

      1. クリーン化:防塵衣の構造、設計思想  クリーンルームの中でのゴミの最大の発生源、汚染源は人です。人から発生するゴミをクリーンルーム内に撒き散ら...


      クリーンワイパーの選定について

       ワイパーとは、拭くもののことです。辞書を見るとワイプ ダウンという言葉があり、雑巾がけを意味します。クリーンルーム内の作業では、製品を拭いたり、作業台や...

       ワイパーとは、拭くもののことです。辞書を見るとワイプ ダウンという言葉があり、雑巾がけを意味します。クリーンルーム内の作業では、製品を拭いたり、作業台や...