クリーン化について(その169)クリーン化の基礎(その31)局所排気設備の活用

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 クリーン化について(その169)クリーン化の基礎(その31)局所排気設備の活用
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    前回のクリーン化について(その168)クリーン化の基礎(その30)クリーン化4原則の続きです。

    1. 局所排気設備の活用

    薬品を扱う工程では、薬品の雰囲気が室内に漂うことを防ぐためにドラフトを使います。また、オイルミストが発生するところでは、発生源である設備(ロータリーポンプなど)にカバーをし、その雰囲気は排気管を通し排出しています。局所排気設備としては、このようなイメージを持っている方が多いでしょう。これらの対策がなければ、作業者に有害な薬品のミスト、製品品質に影響しそうなオイルミストが、室内に浮遊することになる。局所排気設備は陰圧(負圧)になるよう措置がされている。

     

    具体的にはドラフトは背部から排気を取り、薬品の雰囲気を排出しているので、それによってドラフト内も陰圧になる。また、薬品の雰囲気が手前に出ることも防ぐために、前面の扉は開けっ放しにしないことです。扉を開放したままにすると、排気の引きよりも流入する大気の量が多いので、背面への引きの効果がなくなる。従って前面の扉は解放範囲(高さ)が決められ、印がつけてあると思う。

     

    背面に排気されていることが確認できるよう、ドラフト内部の排気部分の中に色つきのテープを取り付けるとか、風速が確認できるようメータが取り付...

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      前回のクリーン化について(その168)クリーン化の基礎(その30)クリーン化4原則の続きです。

      1. 局所排気設備の活用

      薬品を扱う工程では、薬品の雰囲気が室内に漂うことを防ぐためにドラフトを使います。また、オイルミストが発生するところでは、発生源である設備(ロータリーポンプなど)にカバーをし、その雰囲気は排気管を通し排出しています。局所排気設備としては、このようなイメージを持っている方が多いでしょう。これらの対策がなければ、作業者に有害な薬品のミスト、製品品質に影響しそうなオイルミストが、室内に浮遊することになる。局所排気設備は陰圧(負圧)になるよう措置がされている。

       

      具体的にはドラフトは背部から排気を取り、薬品の雰囲気を排出しているので、それによってドラフト内も陰圧になる。また、薬品の雰囲気が手前に出ることも防ぐために、前面の扉は開けっ放しにしないことです。扉を開放したままにすると、排気の引きよりも流入する大気の量が多いので、背面への引きの効果がなくなる。従って前面の扉は解放範囲(高さ)が決められ、印がつけてあると思う。

       

      背面に排気されていることが確認できるよう、ドラフト内部の排気部分の中に色つきのテープを取り付けるとか、風速が確認できるようメータが取り付けてあるなど、風の流れが確認できるようにしてある。あるいは配管とドラフトの接続部あたりに色つきのテープを取り付け、目視でも引きの確認ができるようにしている。引きの強弱は、調整弁で調整出来るようになっているものが多い。

       

      (1)風速の問題

      【過去の事故事例の紹介】

      ドラフトの問題ではないが、この場で紹介しておく。設備から出るガスなどがきちんと排出されているかの確認のため、引きの風速をチェックしていた。ところが、生成物が配管内部に徐々に付着し、内部の穴径が小さくなってしまった。それは外からは確認できなかった。その狭い穴を気流が通る時、そのスピードが速くなっていたのです。

       

      引きの速度が速くなっていたのを正常と判断し、その問題に気づかなかった例です。設備点検の時、偶然発見されたが、それが遅れたら、配管の穴は塞がっていただろうという事例です。何だか人間の血流のようです。

       

      【はんだ付け作業】

      局所排気では、先に記したように、ドラフトなどを想像される方も多いでしょう。この他、いろいろな現場を見て気になるのは、局所排気の対策が取られていないはんだ付け作業です。清浄度の低いクリーンルーム(乱流方式)、あるいはクリーンルームではないところでも同様に見かけます。例えば基板や電子部品の修理などです。

       

      このような作業環境では、気流は乱れているので、はんだ付け作業時に発生するミストが作業者の方に流れ、それを吸っていないかを特に心配している。特定の作業者の日常作業であるとしたら、その影響は大きいと思う。 はんだ付け作業では、粒径の小さなミストが大量に発生する。パーティクルカウンターで測定すると、0.1ミクロン、あるいは0.3ミクロンくらいの粒径で1分間に数十万個カウントされる。これを長い間吸い続けていると、どうなってしまうんでしょうか。

       

      最近問題になっている“長年、アスベストを吸い続けていた” と言うのと同じようなことが起きないかと心配になる。問題が表面化して来るのは、恐らく、かなり先のことだと思うが、今から対策を講じておきたいものです。ドラフトと同じように囲うか、作業する部分を中心に排気を取るかですが、気流を良く確認し、人が吸わない対策を取っておきたい。本当にそのようなことが起きるか否かはわからないが、クリーン化の考え方の中に、“疑わしきは排除”と言う考え方がある。お金があまりかからないのであれば、対策を取っておきたい。安全、品質いずれにも影響するので、局所排気設備が設置され、適正に管理されているのか、ぜひ現場を確認してください。なお、局所排気と局所クリーン化とを混同されている方もいるので、別途説明する。 

       

      次回に続きます。

       

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      【参考文献】 
      清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
          同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
          同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

       

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      この記事の著者

      清水 英範

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


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