クリーン化について(その157)クリーン化の基礎(その19)継続のための仕掛け

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クリーン化について(その157)クリーン化の基礎(その19)

前回の クリーン化について(その156)クリーン化の基礎(その18)の続きです。

【目次】

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    ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。

     

    高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。

    クリーン化について(その157)クリーン化の基礎(その19)

    1. 継続のための仕掛け イベントの企画、実施について

    クリーン化活動は、経営層の号令や命令だけでは維持、継続しません。そればかりか、管理監督者が興味を示さなくなると、衰退してしまいます。清掃の継続は面白いことではないので、本来の目的や意味を本当に理解していないと、面倒なことは手を抜きやすくなります。私も長い間現場を見て来ましたのでよくわかります。一旦、活動が途切れたり、止まってしまうと、その活動はなかなか元には戻りません。

     

    何でもそうですが、止まったものを動かそうとするときは、相当なエネルギーが必要です。それでもなかなか動かないか、全く動かないことがあります。イベントの企画、実施は、活動が途切れる前に兆候を掴み、元の状態に引き戻す、あるいはさらに活発な活動にしていくための手段です。上図の5.継続のための仕掛けについて解説します。

     

    クリーン化活動が定着しても毎日同じことの繰り返しになると、手抜きや意識低下が起きるのです。この状態を放っておくと、徐々に環境が悪くなり、品質、歩留まりが低下します。これは緩やかに変化していくので、気が付いた時には深刻な状態になっていたという場合があります。徐々に環境が悪くなる...

    クリーン化について(その157)クリーン化の基礎(その19)

    前回の クリーン化について(その156)クリーン化の基礎(その18)の続きです。

    【目次】

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      ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。

       

      高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。

      クリーン化について(その157)クリーン化の基礎(その19)

      1. 継続のための仕掛け イベントの企画、実施について

      クリーン化活動は、経営層の号令や命令だけでは維持、継続しません。そればかりか、管理監督者が興味を示さなくなると、衰退してしまいます。清掃の継続は面白いことではないので、本来の目的や意味を本当に理解していないと、面倒なことは手を抜きやすくなります。私も長い間現場を見て来ましたのでよくわかります。一旦、活動が途切れたり、止まってしまうと、その活動はなかなか元には戻りません。

       

      何でもそうですが、止まったものを動かそうとするときは、相当なエネルギーが必要です。それでもなかなか動かないか、全く動かないことがあります。イベントの企画、実施は、活動が途切れる前に兆候を掴み、元の状態に引き戻す、あるいはさらに活発な活動にしていくための手段です。上図の5.継続のための仕掛けについて解説します。

       

      クリーン化活動が定着しても毎日同じことの繰り返しになると、手抜きや意識低下が起きるのです。この状態を放っておくと、徐々に環境が悪くなり、品質、歩留まりが低下します。これは緩やかに変化していくので、気が付いた時には深刻な状態になっていたという場合があります。徐々に環境が悪くなると、何が、いつから変化したのか、その原因が掴めないことがあります。

       

      そこで闇雲にあちこち突いてみても、真因の究明には届かず、適切な対応ができないのです。このような事態になる前に管理、監督者は日々良く現場を見て、活動に弱さを感じたら、そのタイミングをみながらイベントを計画するのも一つの手です。緩んだ部分を元に戻そうというものです。これによってまた活動に目を向け、その大切さに気付いて継続してもらうことが狙いです。さらに、クリーン化のDNA継承という意味もあります。

       

      先輩が後輩に伝えるのには限度、限界があります。イベントに参加しながら理論や理屈だけでなく、体験、経験から身に着け継承していくことも大切です。様々な会社から現場診断、指導、アドバイスを依頼され、訪問すると、依頼してくるところほど、色々な工夫やアイデアがみられます。人の知恵は無限だと考えさせられます。それでもさらに新たな考え方を求め、ものづくり基盤を高めていこうという気概を感じます。そのようになると、こちらも負けてはいけないと思い、さらに熱の入った指導になります。では、その一部を紹介しましょう。

       

      (1) イベントの企画、実施について

      【白黒トーナメント(コロコロトーナメント)】

      これは、ある会社で実施していたことです。工場がいくつかあり、まったく同じやり方ではないですが、考え方は一緒です。メンバーに掃除用の真っ白な布(クリーンワイパーなど)、あるいは掃除用具のコロコロを持たせ、トーナメント方式で、一番汚してきた人を表彰しようというものです。そして1番、2番になった人を朝会で表彰する時、“どうしてこんなに汚すことができたのか”について発表してもらうというイベントです。

       

      「私は、あの柱の裏側に気流が渦巻いていて、ゴミが溜まるのを知っていた」 とか「特定の場所に黒い発塵粉が発生しやすいことを知っていた」 などの発言があるわけです。つまり、日頃から観察する習慣があったことが分かります。その場に集まった人たちの着眼点の共有化が図れ、また黒い発塵粉は、何かが劣化しているのかと職制側も、現場の管理に活用できるわけです。中には、床を拭くだけではなく、時間を掛けしっかり磨くことで真っ白な生地が真っ黒になった。今までの清掃は表面だけであって、本当の清掃ではなかったという感想も出て来たそうです。

       

      【ハイハイパトロール(死角を見る)】

      これは普段見ている範囲を外し、死角を観察するというものです。設備は正面から見て良し悪しを判断することが多いですね。これでは漠然と見るだけで終わってしまいます。ところがその視角の範囲から外れたところ(死角)に不具合があるかも知れないということです。「今日のパトロールは死角を見る」 というふうに、その都度着眼点を決め実施するのです。ハイハイパトロールの最初のハイは高いところ、次のハイは這って見るということです。

       

      実際に這ってしまうと防塵衣が汚れるので、そのくらいの気持ちで、低いところも良く観察しようという取り組みです。これを思いついたきっかけは、欧州の客先が監査で来社した時「設備の上に忘れ物なのか、点検表が乗っている」「修理の後の忘れ物なのか、ネジや座金がある」「埃がたくさんある」 などの指摘を受けたそうです。背の高い海外の監査員には良く見えるが、自分達には見えない高さだった。そこを死角と考え、このようなパトロールを考え付いたそうです。

       

      部外者は着眼点が違うので、客先監査前には、このように多面的に見ることが重要です。ただし、監査があるからやるのではなく、日常的に良い状態に管理することが大切です。

       

      【交叉パトロールについて】

      自分の職場を自分たちで守ることは重要なことですが、毎日同じ環境で仕事をしていると、それが当たり前の風景になってしまい、感覚が徐々に麻痺してきます。新鮮な見方ができなくなり、不具合があっても見逃してしまうのです。ところが客先監査など外部の人が現場を見ると、様々な不具合に気が付き、また厳しい指摘をされてしまうことがあります。

       

      一般の見学者であっても、注意深く見る人は不具合に気付き、指摘してくれることがある。例え自分たちが不具合に気づいても「少しくらい、まあいいか」 となってしまうのです。ところが外部の目には異常が見えるわけです。日常的に外部の人の目を入れることはできないので、身近なところから始めると良いでしょう。交叉パトロールは、隣接する職場などと、お互いに入れ替わってパトロールをする仕組みです。

       

      隣接する職場の人でも違った見方をするので、不具合に気づきます。不具合の発見だけでなく「この職場ではこんなに良い改善がされている。私たちの職場にも下さい」 と言って、良い改善事例をもらうこともできます。つまり自分たちの着眼点が増えることや、水平展開ができ、相互に育っていくという考え方です。もちろん他の職場の人に不具合を指摘されるのは、気持ちの良いことではありませんが、そこはお互い様と認識し、冷静に現場を見直すことです。

       

      次回に続きます。

       

      クリーン化のこと、活動の進め方、事例など個別に対応が必要でしたら、ものづくりドットコムを通じてご連絡ください。可能な限り対応致します。また、セミナー、講演会なども対応致します。

      【参考文献】 
      清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
          同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
          同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

       

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      この記事の著者

      清水 英範

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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