これまで、クリーン化4原則について解説してきました。今回は次のテーマに移る前に『クリーン化4原則のまとめ』を行います。
クリーン化4原則は、下図のようにクリーンルーム内、あるいはそれを取り巻く環境での、守るべきこと、注意することなどを項目別にまとめたものです。
図1. クリーン化4原則
これは、基準、標準、ルール、申し合わせ事項など、その会社によって表現や扱いは違いますが、いずれにしても、クリーンルームの管理項目、着眼点になっています。これらのきまりを守らないと、クリーンルーム内の環境レベルが低下し、製品品質に影響してくるので、従業員の教育は重要なのです。
また、経営者や管理職の方がクリーンルームに入る場合も、ただ漠然と見るのではなく、どこを見れば良いのか、何を見れば良いのかの着眼点として活用していただきたいと思います。この着眼点はクリーンルームを持たないものづくり現場でも、良い環境の現場づくりに活用できます。
一方、スタッフ等、作業者以外の人がクリーンルームに入る時、様々なものを持ち込んでしまう場合があります。
技術や品質部門の方では、ノック式ボールペン、シャープペンシル、普通紙のノートなどです。開発や設計部門、生産管理部門などはさらに現場とは遠い関係になるので、ますますクリーン化の意識は低くなるでしょう。また、経営者や管理職が現場に入る時、これらのルールに違反する行為があっても、一般の従業員が指摘することはなかなかできないのが実態です。上に向かって物申すということへの遠慮ですね。
このことについては、“クリーン化の歴史、米国の反省、日本の現状”のところで説明したことを振り返ってみましょう。
「日本の大手メーカーが半導体の製造を始めた時、社員がみんなで清掃していた。そして歩留まりが向上し、米国と肩を並べる、あるいは追い越したと言われる時期があった。その反省から、米国の企業では、現場だけでなく人事、総務、管理など現場から距離が遠い部門であっても、全社員に教育を実施しているところが多いようだ」ということを記しました。どの部門に配属になっても現場のことを理解するのです。
日本では、従業員に教育を実施しても、役員や管理職まで教育をしている例は少ないでしょう。しかし従業員の教育だけにスポットを当てるだけでなく、経営者や管理職など双方に対しての教育が必要ということです。
逆に外資系の企業では、製造部長などが、クリーンルーム内の標準を作るというところもあると聞きました。机上で思いつくまま標準の作成はできないので、頻繁に現場に入るわけです。いわゆる三現主義ですから、現場に精通するわけです。
私が山形県の工場に赴任した時、クリーン化教育を立ち上げ、総務部門の協力を得て“全社員対象の教育”にしてもらいました。社内では重要な教育と位置付けてもらったわけです。当時、その赴任先の社長にも受講してもらいました。
この時、「クリーン化の重要性を認識した。もう一度聞かせて欲しい」と言って、2度も受講してもらいました。
こうなると一般社員も同じ内容の教育を受けているので、共通の会話ができ、従業員との距離も縮まり、相互に話がしやすくなります。また、“クリーン化で重要な...