会社組織の中では、“報告は結論から”と良く言われます。また、そのように指導される場合が多いでしょう。これは単純なようですが、実は難しいことです。事例を紹介しながら、説明します。
【この連載の前回:クリーン化について(その106)人財育成(その11)へのリンク】
報告者(部下)が上司に報告したとします。結論を聞いただけで「それはだめだ!なんでそんな結論になる!」といきなり怒鳴られる場合がありますね。そのようなことは多々あるので、その場面に遭遇したり、当事者になった経験をお持ちの方もいるでしょう。その時の上司によって違いますが、私も経験があります。
冒頭から全否定をされたようなものです。これでは、そこから先の話ができなくなってしまい、相互に理解が得られず、報告者は消化不良になってしまいます。このような事が多いと、段々上司には報告しなくなります。あるいは報告のたびに、おどおどしてしまうでしょう。
結論からと言うように、その先には理由や背景があるのです。そこを聞いてやって欲しいですね。「うん、君の話は良くわかったよ」とか、頷いてやる。でも、その考えが未熟だとか、不足があれば「でもこういう考え方があるよ、こうしてみたら」と言うようにアドバイスしてやると、考え方や報告の仕方が変わってくると思います。
聞く姿勢です。
あの上司は私の話を聞いてくれると言って、寄ってくるでしょう。促しを使いながら、指導、育成をすることです。
先述の例では、段々寄ってこなくなるでしょう。それに対して、ホウレンソウ(報告、連絡、相談)が必要だと説いても、うまくいきませんね。それができる環境作り、相互信頼が重要です。
促しは命令の第一歩だと言います。
これは良い関係を構築し、その報告者の話をよく聞いて、アドバイスする事が重要です。すると気持ち良く行動に移すでしょう。何事も事前準備が必要です。こんな例もありました。
いろいろな情報があれば、上司に報告する。ところが、その上司は「そんなこと知っているよ」と突き返すように反応する。これは報告しなければと思って行くと、また同じ事を言われる。他のメンバーも同じで、あの上司に報告に行くと「いつも知っている」と言われる。また同じ事を言われるだろうと、報告しなくなる。
ところが、ある日、その上司だけが知らないことがあった。そして「どうして誰も報告してくれないのだ」と怒鳴り散らしてしまうことがあった。これは、自業自得ではあるが、上司と部下の関係は悪くなるだけです。そして自分が孤立してしまうのです。
様子を見ていると、おそらく、知らないと言いたくない、弱みを見せたくないとの思いだと推測できます。詰まり、部下との距離を置かないと、上司ではないという意識があるのでしょう。これは対立する構図です。他人の声に耳を傾け、良く聞いてやるだけでもほっとするものです。そこに、ちょっとアドバイスできればなお良いのです。
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