クリーン化の4つの目的 第1回 クリーン化について(その7)

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 今回からクリーン化に向けた4つの目的について解説します。ここでは主に、電気、電子、精密、機械などのものづくり企業をイメージして、下図を使って説明します。

 

クリーン化

 

1. 歩留まりを上げ、F コスト削減に貢献

 目的の中で最初にくるのは、ものづくりの現場でゴミ・異物の混入や汚れをなくし、品質の良いものを作ることです。それにより Fコスト削減に貢献していくことです。Fコスト(Fail Cost=失敗コスト)とは、不良で捨ててしまうお金のことです。

 

2. 品質向上 ⇒信頼性

 次に品質向上(ゴミによる品質問題、クレームを出さない)です。これも現場でやることは1と同じですが、1は工場での生産段階のことです。2はゴミによる品質問題で、クレームや返品など市場に出てから発生する品質問題を減らし、信頼性を高めることを伝えたいので区分けしました。

 市場に出てから問題が発生すると、消費者庁などへの報告、新聞等での公開、製品回収などが必要となります。特に食品などでは、迅速な対応で消費される前に回収する必要があります。

 今でもテレビや新聞で、相当古い製品の回収を呼び掛ける広告を見掛けますがこれは、市場に出てしまうとすべての回収が不可能であることの事例です。しかし、これは製造側の責任であるため、周知継続していかなければいけません。これにかかる費用は莫大(ばくだい)で会社、企業の信頼を損ねることにも繋がります。

 最近も様々な問題が表面化しています。問題が発見されてから、即座に公表する企業がほとんどですが、なかなか公表せず、他社の動きを観察したり、他からの指摘があって初めて公表するケースもあります。問題の公表の場である会見を見ていても、言い訳が多いようにも感じます。これらは後手に回り、良い印象は持てません。

 常日頃から安心、安全をうたっている企業でさえ、首を傾げる説明もあり、こうなると信頼は大きく損ねるだけでなく、ブランドイメージの回復はなかなか難しくなります。さらに、企業の存続に影響する事例も出てきているようです。消費者目線で真摯な対応が必要であり、悪い情報ほど早く出す努力が必要です。

 

 次に、自動車のリコールについて具体的に考えてみましょう。

 自動車では品質問題が発生し、リコールが必要なものは早い段階で公表されているはずです。それは人命に影響するからです。しかし一旦発生すると数十万台が対象になることも珍しくありません。

 例え1個の部品、1か所の不具合であっても、それに繋がる消費者は数十万人です。さらに細かく見ていくと、補填部品の製造、修理工場への搬送、修理工場での修理、交換、消費者の手間などが挙げられます。

 リコールの連絡が来ると、修理工場などへ連絡し、予約したり、仕事の都合の調整をするなど様々な手間を被るわけです。また、せっかく足を運んでも、部品の調達が上手くできず二度手間になることもあります。そのための時間、燃料浪費もあります。これらはすべてロスで、余計なことなのです。大きく見れば、...

 

 今回からクリーン化に向けた4つの目的について解説します。ここでは主に、電気、電子、精密、機械などのものづくり企業をイメージして、下図を使って説明します。

 

クリーン化

 

1. 歩留まりを上げ、F コスト削減に貢献

 目的の中で最初にくるのは、ものづくりの現場でゴミ・異物の混入や汚れをなくし、品質の良いものを作ることです。それにより Fコスト削減に貢献していくことです。Fコスト(Fail Cost=失敗コスト)とは、不良で捨ててしまうお金のことです。

 

2. 品質向上 ⇒信頼性

 次に品質向上(ゴミによる品質問題、クレームを出さない)です。これも現場でやることは1と同じですが、1は工場での生産段階のことです。2はゴミによる品質問題で、クレームや返品など市場に出てから発生する品質問題を減らし、信頼性を高めることを伝えたいので区分けしました。

 市場に出てから問題が発生すると、消費者庁などへの報告、新聞等での公開、製品回収などが必要となります。特に食品などでは、迅速な対応で消費される前に回収する必要があります。

 今でもテレビや新聞で、相当古い製品の回収を呼び掛ける広告を見掛けますがこれは、市場に出てしまうとすべての回収が不可能であることの事例です。しかし、これは製造側の責任であるため、周知継続していかなければいけません。これにかかる費用は莫大(ばくだい)で会社、企業の信頼を損ねることにも繋がります。

 最近も様々な問題が表面化しています。問題が発見されてから、即座に公表する企業がほとんどですが、なかなか公表せず、他社の動きを観察したり、他からの指摘があって初めて公表するケースもあります。問題の公表の場である会見を見ていても、言い訳が多いようにも感じます。これらは後手に回り、良い印象は持てません。

 常日頃から安心、安全をうたっている企業でさえ、首を傾げる説明もあり、こうなると信頼は大きく損ねるだけでなく、ブランドイメージの回復はなかなか難しくなります。さらに、企業の存続に影響する事例も出てきているようです。消費者目線で真摯な対応が必要であり、悪い情報ほど早く出す努力が必要です。

 

 次に、自動車のリコールについて具体的に考えてみましょう。

 自動車では品質問題が発生し、リコールが必要なものは早い段階で公表されているはずです。それは人命に影響するからです。しかし一旦発生すると数十万台が対象になることも珍しくありません。

 例え1個の部品、1か所の不具合であっても、それに繋がる消費者は数十万人です。さらに細かく見ていくと、補填部品の製造、修理工場への搬送、修理工場での修理、交換、消費者の手間などが挙げられます。

 リコールの連絡が来ると、修理工場などへ連絡し、予約したり、仕事の都合の調整をするなど様々な手間を被るわけです。また、せっかく足を運んでも、部品の調達が上手くできず二度手間になることもあります。そのための時間、燃料浪費もあります。これらはすべてロスで、余計なことなのです。大きく見れば、これも地球温暖化の加速へと繋がって行きます。

 リコールは、今では当たり前になってしまい、感覚が麻痺してしまっているかも知れません。これは私だけでしょうか。同じことを繰り返さない。過去に学ぶことでロスの極小化ができないものかとつくづく考えてしまいます。製造現場で、如何(いか)に効率のよい生産活動やロスの顕在化が必要です。地道に改善しているのでしょうが、もっと大きな見方、ライフサイクルコストの極小化に繋げたいものです。

 『品質の向上』などと一言で言ってしまいますが、品質って何だろうとつくづく考えてしまいます。

 

 次回に続きます。

◆関連解説『環境マネジメント』

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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