今回から、現場診断・指導についてを解説します。現場診断は、以下のパターンが考えられます。
- 客先からの監査を受審する場合(監査を受ける立場)
- 自分たちが他社の現場を診断する場合(監査をする立場)
- 現場レベルを向上させるための定期監査(内部監査)
1.客先からの監査の受審(監査を受ける立場)
客先、つまり取引先による現場監査です。一般的には机上の監査(書類上の監査)と現場監査がセットで行われます。
客先からは、自社に納入される製品の製造現場の環境はどのように管理されているかのチェックをする場です。そこで厳しい指摘をされることがあるので、事前に現場を確認し、良い状態にしておきましょう。(本来は監査があるからやるのではなく、日常的に良い状態にする努力をすべきです)
監査をする立場では、小さなことでも指摘する場合があります。
「問題ありません」と言ってくれることはほとんどないでしょう。監査者はたくさんの現場を見ている場合もあります。そして“現場を見られないのか”と言われたくないという心理もあるでしょう。書類上はあまり目立った指摘がなかったとしても、それらに従い製造する、製品を具現化するのは現場だからです。その現場がどうなっているのかは、監査する側としては気になるところです。
私は長年現場を這いずり回って来ました。その結果、監査に立ち会う、あるいは現場診断を依頼される機会もしばしばありました。現場を良く観察すると、“現場とはその場に現れる”と書くように、様々な改善事例を目にして感動したり、不具合が発見されることがあります。
同じ場所をチェックしても、日々違う顔を見せます。このことから、現場は生きていると感じることが多々ありました。また、今日現場を見られるので、慌てて清掃したということも、ある程度推測できる場合もありました。恐らく監査者もそのような目で見ているのでしょう。
客先という違った目で現場を見られると、どんなに奇麗にしたつもりでも、指摘されてしまうのです。
監査者は、他の取引先の現場も見ていたり、経験が豊富な方であった場合は、それまでの経験も含め、多面的に見ることができるのです。表面だけ繕う、隠す、そして言い訳をするのではなく、その場を学ぶ場として受け入れ、レベルアップに繋がるようにしたいものです。
あんなことまで指摘するのかと批判的になると、被害者意識も増幅し現場の活動さえも低下してしまいます。それよりも謙虚に受け入れ、自社の現場レベルを改善していく方が現場のものづくり基盤は強固になります。
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