クリーン化について(その144)クリーン化の基礎(その6)クリーン化活動のポイント

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クリーン化について(その144)クリーン化の基礎(その6)クリーン化活動のポイント

ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。

 

高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。クリーン化について(その143)クリーン化の基礎(その5)の続きです。

 

(4) 人財育成とクリーン化の関係

人財育成の例を紹介します。ある二次更衣室で、作業者が防塵衣を着ていた。上司がその様子を見て、「防塵衣の着用順序が違うじゃないか、教育の時教わったでしょう。あの通りにしなさい」 と大きな声で叱ったというのです。怖い上司が大きな声で叱ると、その作業者は当面はその通りに着用するでしょう。ところが、ある日その怖い上司が違う部署に異動した。後任の上司は優しい人で、そんなことは一々言わなかった。するとその作業者はまた元のように、自分の好き勝手に着脱するようになってしまうかも知れません。この事例では、重要なことが抜けています。

 

“なぜ”そのような着方、...

クリーン化について(その144)クリーン化の基礎(その6)クリーン化活動のポイント

ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。

 

高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。クリーン化について(その143)クリーン化の基礎(その5)の続きです。

 

(4) 人財育成とクリーン化の関係

人財育成の例を紹介します。ある二次更衣室で、作業者が防塵衣を着ていた。上司がその様子を見て、「防塵衣の着用順序が違うじゃないか、教育の時教わったでしょう。あの通りにしなさい」 と大きな声で叱ったというのです。怖い上司が大きな声で叱ると、その作業者は当面はその通りに着用するでしょう。ところが、ある日その怖い上司が違う部署に異動した。後任の上司は優しい人で、そんなことは一々言わなかった。するとその作業者はまた元のように、自分の好き勝手に着脱するようになってしまうかも知れません。この事例では、重要なことが抜けています。

 

“なぜ”そのような着方、脱ぎ方をする必要があるのか、それを教えていない、教えることができなかったのです。この“なぜをきちんと教えられること”が重要です。そうでないと、言われたことを理由も知らずに繰り返す、ということになってしまう。これは人財育成の部分です。教える側も教わる側も相互に成長する場です。その小さなことの積み重ねで人は成長するのです。

 

一例を紹介しましたが、このようなことはたくさんありますね。人を上手に育てましょう。

 

客先からの監査(Audit)では、防塵衣の着脱順序をチェックしたり、その順序を二次更衣室内に掲示するよう要求されたことがありました。また、海外の企業の監査では、日本語以外に、英字の表示も欲しいと言われることもありました。単に白い服を着るだけでなく、意味、目的を理解し、効果的な着用が必要です。

 

◆ クリーン化の4つの目的 

ここでは主に、電気、電子、精密、機械などのものづくり企業をイメージし、下図を使って説明する。

 

クリーン化について(その144)クリーン化の基礎(その6)クリーン化活動のポイント

 

1. 歩留まりを上げ、Fコスト削減に貢献

目的の中で最初にくるのは、ものづくりの現場でゴミ・異物の混入や汚れをなくし、品質の良いものを作ること。それによりFコスト削減に貢献していくこと。Fコスト(Fail Cost=失敗コスト)とは、不良で捨ててしまうお金のことです。

 

2. 品質向上 ⇒ 信頼性

次に品質向上(ゴミによる品質問題、クレームを出さない)です。これも現場でやることは①と同じだが、①は工場での生産段階のことを指す。これに対し、②はゴミによる品質問題で、クレームや返品など市場に出てから発生する品質問題を減らし、信頼性を高めることを指すので区分けした。

 

3. CS向上

市場に出てから問題が発生すると、消費者庁への報告、新聞等での公開、製品回収が必要となる。特に人命に影響するものや、食品などは、迅速な対応で購入や消費される前に回収することが求められる。でも、すべての回収は無理でしょう。そして被害に遭う人も出てくる。今でもテレビや新聞の折り込みなどで、相当古い製品の回収を呼び掛けています。これも、市場に出てしまうと、すべての回収が不可能であることの事例です。

 

しかし、製造側の責任であるため、周知することを続けていく必要がある。これにかかる費用は莫大で、さらに会社、企業の信頼を損ねることにも繋がるのです。最近も様々な問題が表面化しています。問題が発見されてから、即座に公表する企業が多いが、一方でなかなか公表せず、他社の動行を観察したり、内部や他からの指摘があって初めて公表するケースもあります。問題の公表の会見を見ていても、言い訳が多いようにも感じます。例えば、ルールの逸脱だったが、製品品質に問題はない、などと言う謝り方です。

 

このような対応では、責任を感じていないようにも取れますね。自分や自社を守りたいという気持ちが前面に出てしまうからでしょう。これでは良い印象は持てません。そして、逆に企業の信頼も損ねるのです。常日頃から安心、安全を謳っている企業でさえ、首を傾げる説明もあります。しかしこうなると信頼は大きく損ねるだけでなく、ブランドイメージの回復はなかなか難しくなります。さらに、企業の存続に影響する事例も出てきている。消費者目線で真摯な対応をすべきであり、悪い情報ほど早く出す努力が必要です。

 

4. 予防保全は、次回に解説します。

クリーン化のこと、活動の進め方、事例など個別に対応が必要でしたら、ものづくりドットコムを通じてご連絡ください。可能な限り対応致します。また、セミナー、講演会なども対応致します。

【参考文献】 
清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
    同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
    同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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