クリーン化を成功させる条件とは クリーン化について(その13)

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◆ 継続的な活動がやがて大きな成果に

 下図はクリーン化活動を進めるうえで重要なことを私の経験、体験を基に整理したものです。これは現場や現場に近い部門だけでなく、経営者や管理監督者など会社全体が知っておいてほしいことです。今回は、クリーン化を成功させる条件について、事例を含めて解説します。

 

クリーン化

 

1.TOP、管理監督者の旗振り

 TOP、管理監督者の旗振り、何といってもこれが最初にきます。クリーン化はものづくり企業の基盤強化、利益の創出、人財育成のツールです。ただ、すぐに効果や成果が表れない活動です。

 初めのうちは、こんなことをやっている意味があるのかと思ってしまったり、毎日の清掃も、今日は1回お休みが繰り返しになり、やがてやらなくなってしまいます。そしてせっかく綺麗(きれい)になり始めた現場が、また元に戻ってしまうのです。クリーン化を取り組みはじめたにもかかわらず、すぐ挫折するのは、このようなところにも原因があります。

 

 クリーン化活動は粘り強く継続することに意味があることを、経営者や管理監督者が理解して旗振りや、後押しをすることが大切です。

 その役割を負うべき経営者や管理職が見て見ぬふりをしたり、支援を怠(おこた)ると成果が出ないばかりか、ものづくり基盤の弱体化にも繋がります。現場の方は、上司の行動を良く見ています。表面だけ理解して、成果を急ぐ経営者や管理職の方も多いようです。クリーン化は地味に、地道にコツコツやり続けることにこそ価値があります。このことを理解していないと「昨日種を蒔(ま)いたから今日は芽が出て、明日は花が咲き、その翌日は実がなり収穫できるはずだ」というくらいの方もいます。成果を早く出せという経営者です。

 クリーン化はすぐに成果、効果が見えない活動ですが継続的に活動を続けることで、やがて大きな成果に繋がります。

 

2. 成果主義との兼ね合い

 成果主義と言われるようになり、日々「数字やデータで報告しなさい」と言われます。そうなると、要領の良い人は、数字やデータで表現しやすいことになびいてしまいます。反対に地道にコツコツ継続をしている人は、なかなか評価されないのです。

 このようにすぐに成果が出ないこと、数字、データで表現しにくいことは敬遠され、定着しないので、そのことを経営者や管理監督者がきちんと理解し、その活動の旗振りや後押しをすることが大切です。

 

 私はネットワークを沢山(たくさん)持つと良いと考えています。ネットワークの多さとその面積の広さで人は育ち、それによって多面的なものの見方、考え方ができるようになるのではないかと考えています。これは人財育成のところでも解説します。

 私は幸いある程度ネットワークを持っていたため、さらにそのネットワークを増やすことも行ってきました。これまで多くの現場診断、指導をしてきましたが、その仕事以外にも様々な会話ができる人は多くいます。そのようなところから得た情報も含め、次に事例を紹介します。

 

3. 現場を評価したある事例

 こんな話を聞いたことがありました。ある会社で技術発表会があり「私たちの課では、このようなテーマで活動し、このような大きな成果が得られた」と技術課長が発表しました。その後「この成果が得られたのは、日ごろから現場の皆さんが現場を綺麗にし、様々な要因を減らしてくれていたからこそ、原因究明がしやすくなり、成果に繋がったのです。現場の皆さんありがとうございます」と言ったそうです。

 すると、その発表を聞きいていた現場の人が、自分たちの日常的な活動が評価され、また感謝の言葉も聞いたので感動したというのです。こうなると現場の方もますます熱心になり、技術部門との距離も近くなり、情報も相互に得やすくなります。手柄は自分のものにしたいという状況はよく見掛けますが、現場との関係を考えて現場を評価したいものです。

 一人ひとりの活動、行動をどう評価するのか。評価できる上司であるかも大きな条件です。数字やデータでは、そこに隠れた部分の評価はなかなかできないでしょう。上司をはじめ、経営者や管理職が現場に入り、日ごろから良く見たり、現場の人と接触することから見えてくることも沢山あるのです。

 

4. 海外赴任者教育での事例

 国内空洞化が言われて久しいわけですが、その影響としてこんな話を聞きました。

 ある会社では国内工場が東南アジアに出て行ってしまって、国内には本社機能くらいしか残っておりませんでした。その後、本社から現場経験に乏(とぼ)しい人が海外の工場に赴任したのですが、工場に赴任しても「ものを作っている現場には入れない。どこを見ていいのか、何を指導したり褒(ほ)めれば良いのか分からない」というのです。そして現場には入らず、事務室でパソコンのキーを1日叩いては、仕事をしたような気になってしまうということです。

 たとえ、海外の工場に赴任しなくても、国内とネットが繋がっていれば、生産や売り上げ、品質問題などは把握できるので赴任の必要はないのです。しかし経営者や管理監督者が現場に入らないと(特に現地の人だけになると)、品質や安全がガタガタになります。そこが重要なのです。

 私は事前にその話を聞いていたので、社内の海外赴任者教育の中にクリーン化という項目を加えてもらったことがあります。定期的にかなりの人数が赴任(交代)していましたが、教育の冒頭で「どうして東南アジアに...

 

◆ 継続的な活動がやがて大きな成果に

 下図はクリーン化活動を進めるうえで重要なことを私の経験、体験を基に整理したものです。これは現場や現場に近い部門だけでなく、経営者や管理監督者など会社全体が知っておいてほしいことです。今回は、クリーン化を成功させる条件について、事例を含めて解説します。

 

クリーン化

 

1.TOP、管理監督者の旗振り

 TOP、管理監督者の旗振り、何といってもこれが最初にきます。クリーン化はものづくり企業の基盤強化、利益の創出、人財育成のツールです。ただ、すぐに効果や成果が表れない活動です。

 初めのうちは、こんなことをやっている意味があるのかと思ってしまったり、毎日の清掃も、今日は1回お休みが繰り返しになり、やがてやらなくなってしまいます。そしてせっかく綺麗(きれい)になり始めた現場が、また元に戻ってしまうのです。クリーン化を取り組みはじめたにもかかわらず、すぐ挫折するのは、このようなところにも原因があります。

 

 クリーン化活動は粘り強く継続することに意味があることを、経営者や管理監督者が理解して旗振りや、後押しをすることが大切です。

 その役割を負うべき経営者や管理職が見て見ぬふりをしたり、支援を怠(おこた)ると成果が出ないばかりか、ものづくり基盤の弱体化にも繋がります。現場の方は、上司の行動を良く見ています。表面だけ理解して、成果を急ぐ経営者や管理職の方も多いようです。クリーン化は地味に、地道にコツコツやり続けることにこそ価値があります。このことを理解していないと「昨日種を蒔(ま)いたから今日は芽が出て、明日は花が咲き、その翌日は実がなり収穫できるはずだ」というくらいの方もいます。成果を早く出せという経営者です。

 クリーン化はすぐに成果、効果が見えない活動ですが継続的に活動を続けることで、やがて大きな成果に繋がります。

 

2. 成果主義との兼ね合い

 成果主義と言われるようになり、日々「数字やデータで報告しなさい」と言われます。そうなると、要領の良い人は、数字やデータで表現しやすいことになびいてしまいます。反対に地道にコツコツ継続をしている人は、なかなか評価されないのです。

 このようにすぐに成果が出ないこと、数字、データで表現しにくいことは敬遠され、定着しないので、そのことを経営者や管理監督者がきちんと理解し、その活動の旗振りや後押しをすることが大切です。

 

 私はネットワークを沢山(たくさん)持つと良いと考えています。ネットワークの多さとその面積の広さで人は育ち、それによって多面的なものの見方、考え方ができるようになるのではないかと考えています。これは人財育成のところでも解説します。

 私は幸いある程度ネットワークを持っていたため、さらにそのネットワークを増やすことも行ってきました。これまで多くの現場診断、指導をしてきましたが、その仕事以外にも様々な会話ができる人は多くいます。そのようなところから得た情報も含め、次に事例を紹介します。

 

3. 現場を評価したある事例

 こんな話を聞いたことがありました。ある会社で技術発表会があり「私たちの課では、このようなテーマで活動し、このような大きな成果が得られた」と技術課長が発表しました。その後「この成果が得られたのは、日ごろから現場の皆さんが現場を綺麗にし、様々な要因を減らしてくれていたからこそ、原因究明がしやすくなり、成果に繋がったのです。現場の皆さんありがとうございます」と言ったそうです。

 すると、その発表を聞きいていた現場の人が、自分たちの日常的な活動が評価され、また感謝の言葉も聞いたので感動したというのです。こうなると現場の方もますます熱心になり、技術部門との距離も近くなり、情報も相互に得やすくなります。手柄は自分のものにしたいという状況はよく見掛けますが、現場との関係を考えて現場を評価したいものです。

 一人ひとりの活動、行動をどう評価するのか。評価できる上司であるかも大きな条件です。数字やデータでは、そこに隠れた部分の評価はなかなかできないでしょう。上司をはじめ、経営者や管理職が現場に入り、日ごろから良く見たり、現場の人と接触することから見えてくることも沢山あるのです。

 

4. 海外赴任者教育での事例

 国内空洞化が言われて久しいわけですが、その影響としてこんな話を聞きました。

 ある会社では国内工場が東南アジアに出て行ってしまって、国内には本社機能くらいしか残っておりませんでした。その後、本社から現場経験に乏(とぼ)しい人が海外の工場に赴任したのですが、工場に赴任しても「ものを作っている現場には入れない。どこを見ていいのか、何を指導したり褒(ほ)めれば良いのか分からない」というのです。そして現場には入らず、事務室でパソコンのキーを1日叩いては、仕事をしたような気になってしまうということです。

 たとえ、海外の工場に赴任しなくても、国内とネットが繋がっていれば、生産や売り上げ、品質問題などは把握できるので赴任の必要はないのです。しかし経営者や管理監督者が現場に入らないと(特に現地の人だけになると)、品質や安全がガタガタになります。そこが重要なのです。

 私は事前にその話を聞いていたので、社内の海外赴任者教育の中にクリーン化という項目を加えてもらったことがあります。定期的にかなりの人数が赴任(交代)していましたが、教育の冒頭で「どうして東南アジアに工場が行ってしまうんでしょう」と聞いてみたことがありました。

 返答は「決まっているじゃないですか。日本と比べてコスト的に優位だからです」との返答でした。

 そこで私は「皆さんが赴任する工場のある工業団地に、日本のライバル会社もあるかも知れません。日本国内と比較するのではなく、そのライバルに負けないように、し烈な競争をしなければいけないかもしれない。今赴任先の工場が良い状態なのは、先人たちの努力の結果であって、その上にあぐらをかいていると、たちまち傾くかもしれません。あなたが赴任してから工場の経営が行き詰ったとか、引き揚げることになったらどうしますか」と少し気を引き締めてもらうため、このような話をしたことがありました。

 その上でクリーン化の教育をし、赴任者の現場の旗振りや後押しが必要なことも説明してきました。当初はそうであっても、国内空洞化が加速している現在、取り巻く状況も変化してきています。コストメリットがなくなり、企業によっては国内回帰の動きも出てきています。取り巻く環境や状況はどんどん変化しているので、それに対応できる考え方をしたいものです。

 

 クリーン化を成功させる条件、次回に解説を続けます。

◆関連解説『環境マネジメント』

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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