クリーン化の進め方 クリーン化について(その42)

更新日

投稿日

 

 

 クリーン化のことを色々解説してきましたが、これらの多くはクリーンルームに関わることです。そのクリーンルームのことを理解していないと、クリーンルームを良い環境にし、維持していくことができません。前回に続いて、下図により解説を行います。

 

クリーンルーム

図1.クリーン化の進め方 クリーンルームとは(定義)

 

 社員は出社すると、まず一次更衣室で社服に着替えます。(過去、いろいろなところに訪問した時、クリーンルームを保有している企業であっても、社服がない、あるいは更衣室がなく社服で出社するところもありましたが、できれば設置が望ましい。その理由は、なぜ更衣室があるのかのところで説明しました。)

 そして、クリーンルームに入るには、二次更衣室で防塵衣に着替え、エアシャワーを浴びて入室します。クリーンルームにはHEPAフィルターを介して清浄度の高い空気が供給されています。清浄度が高い層流方式のクリーンルームでは、フィルター性能がさらに高いULPAフィルターが採用されています。その空気は、ダンパー、あるいは床、その他を経由して排出、または回収されるのです。生産設備内の空気は排気ラインを経由して、屋外に排出されます。

 パスボックスは、部品、製品などで、余り大きくないものの出し入れ時に使います。小さなものを出し入れするのに、いちいち大きな扉を開閉していたのでは、その都度、室圧も大きく変化してしまうからです。小さな空間だが、清浄度を保つ工夫がされています。パスボックスから持ち込む場合も、きちんとクリーニングしてからにします。また、そのパスボックス内も定期的な清掃が必要です。

 更衣室の考え方はすでに説明しましたが、クリーンルームも同様に、いきなりきれいな部屋に入るのではなく、外気の取入れから徐々に清浄度を高めていきます。逆には汚れを徐々に希釈してゴミの持ち込みを少なくしていく考えがあります。ものづくりのクリーンルームは、室圧を高め、ゴミが寄ってこないようにしています。これとは別に、特殊な例ですが、室圧を下げて管理しているところがあります。

 

 余談ですが、2002年ごろSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生しました。

 これが広がり始めた時、あのウイルスが日本に上陸したらどうなるのか。室圧を下げて感染者を隔離できる病室がどのくらいあるのか調べたところ、ほとんどないということが分かりました。そして上陸したら大変なことになると騒がれました。幸い日本に上陸しなかったので、その後あまり報じられなくなりました。

 のど元過ぎれば・・ということでしょうか。COVID-19では対応に油断があったように感じます。結局は入ってきてしまうのですが、予防、予測をして手を打つのと、拡散してしまったものを抑えるとでは、被害の大きさも違っていただろうと思います。

 この点は、設備管理では予防保全、健康管理では、予防接種、安全関係では、火災予防週間など、いずれも予防が重要なことを説いています。広がってしまってからでは、様々なロスや損失が計り知れないので、早いうちに少しでも対応したいからです。

 新型コロナウイルスが中国で発生したという報道がされ始めた昨年1月、東京でセミナーを実施しました。

 クルーンルームの定義の説明の中に、この室圧を下げて管理しているクリーンルームがあることも参考に話しました。私は、SARSの時の記憶があったが、それ以外にも大きなものがいくつかあったので、発生したのは中国だが、対岸の問題ではなく、危機感を持つこと、油断しないことが必要だという話を付け加えました。

...

 

 

 クリーン化のことを色々解説してきましたが、これらの多くはクリーンルームに関わることです。そのクリーンルームのことを理解していないと、クリーンルームを良い環境にし、維持していくことができません。前回に続いて、下図により解説を行います。

 

クリーンルーム

図1.クリーン化の進め方 クリーンルームとは(定義)

 

 社員は出社すると、まず一次更衣室で社服に着替えます。(過去、いろいろなところに訪問した時、クリーンルームを保有している企業であっても、社服がない、あるいは更衣室がなく社服で出社するところもありましたが、できれば設置が望ましい。その理由は、なぜ更衣室があるのかのところで説明しました。)

 そして、クリーンルームに入るには、二次更衣室で防塵衣に着替え、エアシャワーを浴びて入室します。クリーンルームにはHEPAフィルターを介して清浄度の高い空気が供給されています。清浄度が高い層流方式のクリーンルームでは、フィルター性能がさらに高いULPAフィルターが採用されています。その空気は、ダンパー、あるいは床、その他を経由して排出、または回収されるのです。生産設備内の空気は排気ラインを経由して、屋外に排出されます。

 パスボックスは、部品、製品などで、余り大きくないものの出し入れ時に使います。小さなものを出し入れするのに、いちいち大きな扉を開閉していたのでは、その都度、室圧も大きく変化してしまうからです。小さな空間だが、清浄度を保つ工夫がされています。パスボックスから持ち込む場合も、きちんとクリーニングしてからにします。また、そのパスボックス内も定期的な清掃が必要です。

 更衣室の考え方はすでに説明しましたが、クリーンルームも同様に、いきなりきれいな部屋に入るのではなく、外気の取入れから徐々に清浄度を高めていきます。逆には汚れを徐々に希釈してゴミの持ち込みを少なくしていく考えがあります。ものづくりのクリーンルームは、室圧を高め、ゴミが寄ってこないようにしています。これとは別に、特殊な例ですが、室圧を下げて管理しているところがあります。

 

 余談ですが、2002年ごろSARS(重症急性呼吸器症候群)が発生しました。

 これが広がり始めた時、あのウイルスが日本に上陸したらどうなるのか。室圧を下げて感染者を隔離できる病室がどのくらいあるのか調べたところ、ほとんどないということが分かりました。そして上陸したら大変なことになると騒がれました。幸い日本に上陸しなかったので、その後あまり報じられなくなりました。

 のど元過ぎれば・・ということでしょうか。COVID-19では対応に油断があったように感じます。結局は入ってきてしまうのですが、予防、予測をして手を打つのと、拡散してしまったものを抑えるとでは、被害の大きさも違っていただろうと思います。

 この点は、設備管理では予防保全、健康管理では、予防接種、安全関係では、火災予防週間など、いずれも予防が重要なことを説いています。広がってしまってからでは、様々なロスや損失が計り知れないので、早いうちに少しでも対応したいからです。

 新型コロナウイルスが中国で発生したという報道がされ始めた昨年1月、東京でセミナーを実施しました。

 クルーンルームの定義の説明の中に、この室圧を下げて管理しているクリーンルームがあることも参考に話しました。私は、SARSの時の記憶があったが、それ以外にも大きなものがいくつかあったので、発生したのは中国だが、対岸の問題ではなく、危機感を持つこと、油断しないことが必要だという話を付け加えました。

 2019年には、アフリカで流行したエボラ出血熱を引き起こす、エボラウイルスを輸入して研究する話がありました。2020年の東京オリンピックへの対応のための研究ですが、その施設の周辺の住民からの反対運動がありました。ここでは、室圧を下げたクリーンルームなど、研究施設の管理は徹底している旨の説明がされたと記憶しています。
 
 本題に戻します。

 各分野のクリーンルームは、それぞれ目的があって、それに合わせて管理されています。クリーン化診断を依頼されて、ものづくり現場を訪問すると、室圧の管理が不十分と感じるところもあります。目的に合ったクリーンルーム管理がされているか、改めて見直して下さい。

 次回に続きます。
                                 

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


「クリーン化技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ゴミを可視化してクリーン化

 前回、クリーンマットの選定についてを解説しました。今回は、ゴミの可視化です。クリーンルーム内では、当然ゴミは少ないはずです。と言うよりは、そう思い込んで...

 前回、クリーンマットの選定についてを解説しました。今回は、ゴミの可視化です。クリーンルーム内では、当然ゴミは少ないはずです。と言うよりは、そう思い込んで...


局所クリーンルームについて クリーン化について(その91)

    【この連載の前回:クリーン化について(その90)掲示についてへのリンク】 局所排気と局所クリーンを混同されている方がいま...

    【この連載の前回:クリーン化について(その90)掲示についてへのリンク】 局所排気と局所クリーンを混同されている方がいま...


人財育成(その7) クリーン化について(その102)

  クリーン化について、人財育成に触れています。今回のその7も前回に引き続き、人を育てるにはです。 【この連載の前回:クリーン化について...

  クリーン化について、人財育成に触れています。今回のその7も前回に引き続き、人を育てるにはです。 【この連載の前回:クリーン化について...


「クリーン化技術」の活用事例

もっと見る
人を誉める時は順番を考えよ -クリーン化診断の例を添えて-

 前回は人を誉める時のタイミングについてでした。今回はその順番についてお話します。 1.誉める順番を考える  現場に行って、「あれがいけない、これがい...

 前回は人を誉める時のタイミングについてでした。今回はその順番についてお話します。 1.誉める順番を考える  現場に行って、「あれがいけない、これがい...


中国のクリーン化担当女性の事例

 私が足繁く通っていた、中国の工場の女性クリーン化担当の話です。その工場は上海から車で2時間ほどのところにあり、約1万人の社員を抱えていました。その女性は...

 私が足繁く通っていた、中国の工場の女性クリーン化担当の話です。その工場は上海から車で2時間ほどのところにあり、約1万人の社員を抱えていました。その女性は...


静電シートとは

◆  静電シートとは  人体と電子機器など帯電した物体同士が接触すると、静電気の放電が発生します。この現象を「ESD:Electro-Stat...

◆  静電シートとは  人体と電子機器など帯電した物体同士が接触すると、静電気の放電が発生します。この現象を「ESD:Electro-Stat...