◆ 効果の見えないデータ分析に明日はない
本格的にデータ分析を実務で活用する、またはすでに利用しているのなら、その効果を金額換算したほうが良いでしょう。あなたが、もしビジネスの世界にいるのなら、なおさらです。そのほうがデータ分析の価値がストレートに伝わります。もちろん「効果」には金額のような定量的に示せる効果と、そうでない定性的なものもあります。定性的な効果も必要かもしれないですが、少なくともビジネスの世界で生きているのなら、有無を言わさないのが「金額換算」された効果だ、ということです。周囲を説得する時など、大きな武器になります。
今回は、「効果の見えないデータ分析に明日はない」というお話しをします。
1. データ分析:少なくとも定量的に示せ
データ活用もしくはデータ分析でイメージするのは「定量化」です。それが特徴の一つといっても良いでしょう。そのデータ分析の効果を、そもそも定量的に示せないと何となく矛盾を感じるのではないでしょうか。定量的に物事を進めるためにデータの活用や分析をしているのに、データ分析自体の効果を定量的に示せないと「大丈夫かな」と思われるかもしれません。要するに、データ分析の効果は定量的に示すことが宿命づけられているのです。
しかし、定量化と一口にいっても、色々な定量化があります。
例えば、営業の「提案件数」と「受注金額」や、人事の「新卒採用者数」、「内定受諾率」、マーケターの「ブランド認知率」、「新規顧客リスト件数」は定量的な指標です。では、この中でどの指標が最もインパクトが強いでしょうか?
2. データ分析:金額換算で有無を言わさないのが良いかも
恐らく、最もインパクトが強いのは「金額」で示されている、「受注金額」でしょう。次には恐らく「提案件数」や「新規顧客リスト件数」が続くと思います。金額で示された定量的な指標である「受注金額」に他の指標よりも近いからです。
もちろん「新卒採用者数」も「ブランド認知率」も非常に重要な指標です。ここでいいたいのは、どのような指標にインパクトがあるのか、ということです。ビジネス上でデータ分析をするからには、金額換算でその効果を示すのが最もインパクトがあります。要するに、データ分析を本格的に実施することで、どの程度の売上アップやコストダウン、つまり利益アップが見込めるのかを示せると、多くの人は納得してくれます。
3. データ分析:4つの金額を、ざっくりでも示そう。皮算用でも構わない
「データ分析の効果、金額はどのくらいですか?」と聞くと、多くのデータ分析者は戸惑います。データ分析に自信がないというより、どのように金額換算すれば良いのか分からないからです。ただ、いきなり厳密にその効果を金額で示す必要はありません。ざっくりでも良いので、その効果を示すことが重要です。主に以下の4つの金額を見積もると良いでしょう。
- 売上アップ額
- 売上ダウン額
- コストダウン額
- コストアップ額
データ分析を本格活用することで、色々な変化が起こります。例えば、データ分析の結果、ある事業セグメントのリソースを、他の事業セグメントに割いたほうが良いとされたとします。ある事業セグメントの売上は減少し、リソースを割いた事業セグメントの売上は増加することでしょう。このように、売上がダウンする部分もあれば、アップする部分もあります。
例えば、今まで外注化していたデータ分析を内製化するために、有償のデータ分析ツールのライセンスを大量に購入したとします。このようなデータ分析に対するインフラ投資により、その部分のコストがアップします。一方で、外注コストが減ればその部分のコストはダウンします。
つまり、データ分析を本格的導入することで、どのような変化が起こるのかを想像し、その変化は売上アップなのかダウンなのか、コストダウンなのかアップなのかを見極め、その額を見積もれば良いのです。初めは厳密である必要はありません。ざっくりでも良いので、データ分析の効果を金額換算してみましょう。狸の皮算用レベルで、その効果がマイナスであれば、おそらくデータ分析を本格的に実施すると、データ分析をやればやるほど利益が減るという、目も当てられない状況に陥ります。
4. データ分析:効果金額換算の問題
効果の金額換算は、データ分析だけの問題ではありません。IT投資全般にいえることでしょう。下記に例を挙げます。
新しい勤怠システムを導入することで、どの程度の効果があるのか。この効果を金額で見積もる場合、例えば
①働き方改革の一環としてリモートワークを開始するとどの程度の効果があるのか。
②社内研修の一部をe-learningに移行することで、どの程度の効果があるのか。
それぞれの効果を金額で見積もります。
もちろん、金額では推し量れない何かもあります。それはそれとして重要ですが、効果指標の一つとして金額換算...